理想の子 前編
⚠️この作品には嘔吐を連想させる表現が含まれております。苦手な方はここでブラウザバックしてください
どうもはじめまして。そるとです。
国語が苦手で語彙力が消失していますが
楽しく閲覧して頂けたらと思います。
「それでさー…」
「……………………へー…………」
まただ。私の話ってそんなにつまらないのかな?
太陽が体全体を焦がすように照る暑い夏の帰り道
私と親友の佳奈、美月の3人でいつものように駅まで歩く
自分は中学の時虐められていたこともありそれ以降人一倍人の顔色を疑ってしまう癖があった。だから相手が自分の話を聞いている時の反応である程度考えてることがわかるようになってしまった。
面白くないんだろうな
興味無いんだろうな
そうやってまた自分の存在価値に着いて重く考え、喋るのをやめる
横で佳奈と美月が楽しそうに会話していた
2人の声は大きいはずなのに
やけに蝉の声が脳に焼き付いていた
その日の夜
いつものようにご飯を食べ
風呂に入り歯を磨き
髪も乾かさずベットに横になってスマホを開いた
「一人 寂しい 対処」
自分って可哀想な奴だな、と思いつつ人差し指で検索ボタンを押した
「私だけじゃないんだ。」
どうにも世の中には私みたいな可哀想なやつが多いみたい
対して読まず、検索に引っかかったツイートを下にスライドしていく
ふと、人差し指で液晶をタップしてひとつのツイートを読み上げた
「脳内で理想の子を作り上げ、脳内で理想の返事をしてもらってる……?」
いやいやいや、いくら私でもさすがに虚しすぎるでしょ!!!!
真っ先にそう思ったが
一人で帰り道病むよりは……
私は脳内の理想の子を作ることにした。
「やっぱ同い年の女の子がいいな〜」
「私の学校の制服を着てて…」
「ツヤツヤの黒髪ロングがいいな」
「見とれるくらい綺麗な顔で」
「名前はそうだなー、黒髪のセーラー服で…凛として…そうだ、凛ちゃんにしよっと」
電気もつけていない暗い部屋
ベットの上で考え事をしていた私の意識は気づけば遠くなっていた
翌日
つまらない学校が終わり、
玄関前で佳奈と美月を待つ。
3人組ってきついな
2人で仲良くなったら1人余るんだもんね
その余り物が私なのか………
またしても重いことを考えて落ち込んでいると
遠くから楽しそうに会話してる佳奈と美月が来た
私が喋ってる時にはあんな顔してくれないのにな
「きょ、今日家庭科の時に山田がさー笑」
「……………ふーん…」
っっ………
なんでこんなあからさまに…
ふと昨日の出来事を思い出す
「脳内で理想の子を作り上げ、理想の返事をしてもらっている」
そうだ、凛ちゃん。
(ねえ凛ちゃんはどう思う?)
((えーなにそれ!!!!笑山田くんアホすぎっっ笑笑笑))
…こんな、こんな返事をしてくれる子がホントにいたら…
その日を境に私は
佳奈と美月と帰る時、必ず脳内で凛ちゃんと会話をするようになっていた
凛ちゃんはどんなにくだらない私の話でもなにそれ笑と満面の笑みで返してくれる
凛ちゃんがホントにいてくれたら良いのにな。
本気で思うようになっていた
そんなある日の事
いつもは玄関前で佳奈と美月を待っているのだが
体調が優れていなかったので
直ぐにトイレに駆け込んだ
そして個室のドアを閉めた瞬間
聞き覚えのある声が聞こえてきた
佳奈と美月だ。
私と佳奈と美月以外トイレには誰もいなかったので
2人の声がよく響く
「茜ちょいキモくない?笑」
「帰り道必死に話しかけてる感じ、ちょっときついよね笑」
「ウチらが反応しなかったら焦ってんの、マジで笑える」
私はその場でしゃがみこみ
口元に手を当てた
気づいた時には佳奈も美月もおらず
涙なのか唾液なのかも分からない体液で手のひらがぐちゃぐちゃになっていた
トイレに駆け込んだ後から10分は立っていた
2人からのLINEは無い
恐らく先に帰っているのだろう
「助けて…凛……」
気づけば私はそう口にしていた