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旅行一日目、第二ラウンドッ!

「わーすごいよすごい! 山ッ! 海も! この部屋函館が全部見えるッ!」

「いや全部じゃないけどね……」


 部屋に一歩足を踏み入れた途端に、綸子のテンションはMAXだ。


「この函館は全てこの私のモノよッ……!」

「それは今度湯の川方面も制覇してから言おうね」


 喋りながら窓の端から端まで走り回っては身を乗り出して窓の外を見詰めている。

 動きが完全に子供のそれである。


「それに、いや~ん、べッドもしっかりダブルじゃん! ふーこってばやるぅ~!」

「いや、自分のベッドが元々ダブルだからホテルもダブルでって言ったのはそっち……」


 ダメだ。

 聞いちゃいねえ。


 とりあえず満足するまで部屋の中を探検させておくことにした。

 私はとりたててやる事もないので、窓辺の椅子にいったん腰掛ける。

 

 確かに最上階の部屋なので函館山方面は一望できる。

 ロープウェイが動いているのも良く見える。


(明日の夜は晴れるといいな)


 良く晴れた空の下に見える街並みを眺めていると、ついつい長居してしまいそうだ。


「あ、コーヒー自分で挽けるようになってんだね」


 そう言われて窓辺のテーブルを見ると、大きな一枚ガラスの窓の前に焙煎珈琲のセットが用意されている。

 手回し式の随分と本格的な設えだ。


「クッキーもあるよ、食べる?」


 聞きながらもうモシャモシャと食べている。

 多分それ、明日の朝コーヒーと一緒に食べるために置いてあると思ったんだけど----。


「ふーこって、コーヒー淹れれる?」

「……やったことない。うちの父親が淹れてたのはたまに見た事あるけど」


 朝これを飲みながら函館山を見て欲しいという心遣いなのだろうが、果たして私にできるのだろうか。


「えー、私、明日の朝、二人で夜明けのコーヒー、の・み・た・い・な ?」

「……善処します」


(……後で動画ググッとこ)


 綸子の方はとっくに靴を脱いでベッドにダイブしている。

 脚をバタバタさせているという事は、まだ体力的には大丈夫と言うことだろう。


(あ、あとで鴨島さんに報告のメール入れとかなきゃ)


「あー、結構歩けたなぁ」

「結構疲れた? 大丈夫?」


 すこしくらいなら休んで行こうかとも思ったが、冷蔵庫の水を飲ませ再び出発の準備をする。

 時刻はもう夕方だ。


 良かった。

 今日なら外人墓地で見る夕日が綺麗そうだ。


「じゃ、忘れ物ない?」

「大丈夫!」


 函館の一日目は、こんなんじゃまだ終わらない。


 私達は再び函館の街へと繰り出した。

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