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14-1 姫野美姫 「異世界コーラ」

視点変わります。ヒメちゃんこと姫野(ひめの)美姫(みき)

ほか今話登場人物(ニックネーム)

沼田睦美(むっちゃん)

友松あや(あやちゃん)

有馬和樹(キング)

蛭川日出男(ゲスオ)

坂城秀(ドク)

根岸光平(コウくん)

山田卓司(タクくん)


 女子が「むっちゃんランプ」で大騒ぎ。


「ヒメ、知ってたの?」


 友松あやが私に聞いてきた。


 むっちゃんのスキルは知っていた。わたしは、ほぼ全員のスキルを聞いて表計算にメモしてある。むっちゃんのは、彼女が書いている時にのぞき見した。


「知ってたけど、言いたくなさそうだったから」

「そうよね! おどろきだったわ、笑われるからって」

「えっ? そっち!」

「そうよ」


 うわぁ。わたしはまた、他人に使いたくないのかと思ってた。うがった見方をして、本人に悪い。こういうところが、わたしは小利口で嫌になる。


「あれは、炎ではないのですか?」


 いつのまにか隣に精霊さんがいた。


「ええ。熱くもないし。あなたの周りはあれにするね」

「娘よ、そなたの気遣い、誠に感謝を申し上げる」


 精霊さんが、いたく感動している。まあ、普通は崇められるはずの存在。それがなんとも軽く扱われている。


「沼田! 沼田!」


 キングが、むっちゃんを呼んでる。


「なんでもできるの?」


 むっちゃんがうなずいた。どこかに連れて行く。悪い予感しかしない。


 ピッカー! と菩提樹に明かりが灯った。


「うおー!」と周りからどよめき。


「こ、これは……」


 精霊さんが、口パクパクしてる。


「ゲスオ! ゲスオ!」

「はいはーい!」

「これをこうして……」


 三人が何かをしている。


「なるほどでござる! お茶目な落書き!」

「ピカール!」

「よし、そーれ!」


 キングが樹に向かって砂を投げた。それは、小さな赤い光になっている。なるほど、ゲスオでスキルを「赤い光」に改変したのか。


 光る砂は葉っぱや枝に乗り、イルミネーションのように輝いた。


「クリスマスだー!」


 みんながジングルベルを歌い出す。


「娘よ、あれはいったい……」

「あっ、えーと、クリスマスと言って、自然の恵みに感謝をする祭りです」

「そ、そうであるか。ならば致し方ない」


 気の毒すぎて、ほんとの事を言えない。ああやって飾られると、太古の樹でも威厳もへったくれもないわね。


 いい匂いがしてきた。


 えっ? この香りって……


「カレーだ!」


 みんなが騒ぎ出す。調理班が料理を出し始めたようだ。


 焚き火より、菩提樹のほうが明るい。その周りに輪になって座った。


 スープカレーに、ローストチキン。ほんとにクリスマスみたい!


「飲み物できたよー」


 ドクが大きな鍋を抱えてやってきた。そういや、今まで、何してたんだろ?


「なんやそれ!」


 シュタッ! とコウくんこと根岸光平がカップを持って並んだ。早っ。スキルの無駄使いもいいとこだわ。


 コウくんが持ってるカップはガラスだ。自分が選んだ家にあったらしい。わたしが選んだ家には陶器しかなかった。


 液体が注がれる。液体は真っ黒だった。


 コウくんが恐る恐る口をつける。


「……嘘やん」


 今度はタクくんが、にょきっと地面から出てきた。ほんとに、あの二人はスキルを無駄使いするわね。タクくんも黒い液体を飲んで、驚愕の顔をする。


「ねぇ、なにそれ?」


 誰かが聞いた。


「ありえへん……コーラや」


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