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第二話 舞踏への勧誘

登場人物


久遠創(くおんはじめ) ・・・ アーリアの救世主。 能力(ギフト) 未来予知(フューチャービジョン)


龍造寺秋(りゅうぞうじしゅう) ・・・ミドラースの英雄。 能力(ギフト) 炎の操り(フレイムマスター)、銃の創造者(ガンクリエイター)


蘭堂(死亡)・・・不明。能力(ギフト)人形製作者(フィギュアクリエイター)

クラスメイト2人の死、うち1人は灰になった。


状況の整理が追いついていないのか先程の機械音声の後口を開くものはいなかった。


静寂を切り開いたのはシュウだった。


「もう理解してる奴も居るだろうが俺も異世界からの帰還者だ、お前らと同じくな...」


誰も口を開かないのでシュウが話を続ける


「俺はミドラースって国の英雄だったんだ、国を支配していた悪い王サマを倒してそう呼ばれるようになった。」


「始めて転移した時は戸惑ったさ、元の世界に戻りたい気持ちも少なからず有った。」


「でも最初にあった住人の老夫婦がいい人達でさ、現実(リアル)の家族と違ってまるで自分の子供の様に何も知らない見ず知らずの俺を迎え入れてくれたんだ。」


シュウは優しげな笑みを浮かべながら語る


「でもその人達はミドラースでは奴隷階級と呼ばれる存在でいつも酷い目に遭わされてたんだ。だから俺は助けたいって思ったのさ。」


「助けるための力はあっちに着く時に手にしていたよ能力(ギフト)って形でな」


やっぱりシュウも能力者(ギフテッド)だったんだ...そして異世界、同じだ、、、


「どうやって英雄になったか、そいつは今は関係ないから話は省く、が俺はあの世界に居る事を幸せだと思っちまった...」


優しげな表情から一転、凍るような視線を周りに向ける


「...あの家族の元に戻れるなら俺は何だってやるぜ、お前らを灰にすることもな」


銃口をクラスメイトに向けながらそう呟いた



どうやらシュウも気付いていたらしい。


僕らは全員異世界に転生しそして帰還した、ただ一つの能力(ギフト)を持って...


そして元の異世界に戻るためなら他の異世界転生者全員を殺す必要があると、そのための能力(ギフト)だと。


先の戦闘(たたかい)、シュウがあの化物(モンスター)を倒すと蘭堂は灰になった。


おそらく蘭堂が能力(ギフト)であの化物(モンスター)を作り出していたんだろう、だから化物(モンスター)が死ぬと、蘭堂も死んだ。


蘭堂はこのコロシアイシステムに気付いていた。


知らなかった天童は殺された。


誰かが仕向けた?目覚めるのがバラバラだったからが? 今は何も分からない。


とりあえず言えるのは生き残らなければ真実(こたえ)を知る事は出来ないという事だ。


クラスメイト全員が僕やシュウと同じように能力(ギフト)を持っているとするならば下手な行動は取れない。


僕の未来予知(フューチャービジョン)は強い能力(ギフト)だが、それ故に弱点も存在する。


幸い先程の戦いでは僕の能力(ギフト)を特定する事は出来ない筈だ。


思考が高速で巡り、現状の把握、そして今すべき事を考えだしていく




「あのー」


張り詰めた空気の中におっとりした声があがる


「私達が殺し合う必要って本当にあるのかな?」


シュウが声の主に問いかける


「三門か、それはどういう意味だ?」


三門棗(ミカドナツメ)、このクラスの委員長で、成績優秀、容姿端麗、運動神経抜群と三拍子揃ったこのクラスの委員長である。


そしてナツメは僕の幼なじみで、それに...



「さっきの放送...怪しいなって思ったの、急に私達がコロシアイっておかしいじゃない?」


「確かに私も異世界からこっちに戻ってきて、龍造寺くんと同じ能力者(ギフテッド)よ。でもそれと殺し合いは関係ない気がするの」


「どういう意味だ?」


「私たちの異世界みたいに悪の親玉がいて、そいつが私たちを共倒れさせようとしてるんじゃないかって」


「なるほど、一理あるな」


シュウが戦闘態勢(ファイティングポーズ)を少し緩める


「仮にそうだとしてそいつをどうやって見つける?」


「それは... あの声も誰かの能力(ギフト)で作ったものなら音声を作成する能力(ギフト)を持ってる人が犯人?みたいな。」



「皆で自分の能力(ギフト)を明かし合えば分かるはず!」


ナツメが訴えかける


「くっくっく



三門確かにお前のいうことは正しい、だが現にアツシは殺された、蘭堂の手によってな。


お前が思うよりも周りの奴らは非情だってことさ。」


冷酷な事を言っているようだが、シュウは正しい、少なくとも今の状況下では


「それはそうだけど...」


納得がいってないナツメにシュウは続けて語った


「それに、、だ俺は蘭堂を倒して2つ目の能力(ギフト)解放(アンロック)した、これはつまり他者を殺すことで他の能力(ギフト)も解放されるということだ」


「それってつまり...」


ナツメの顔が曇る


「殺し合って元の異世界に戻れるかはわからない、確かに三門の言うように黒幕が存在しているのかもしれない。


だがこのシステムは間違いなく俺達を争わせようとしてるのさ」


「そんな...」


そう言い放つシュウに肩を落とすナツメ


話合いの決着が着いたようだ、炎で自らの身体を守るようにしてシュウが教室の外へと足を向けた。


そして顔は見せないがこの場に居る全員に向けてこう呟いた。


「お前ら今のところはお預けにしといてやる

俺は自分の身は自分で守らせてもらう、もしも俺を殺そうとすれば命はないと思え。」


シュウが教室の出口に向かい、僕とすれ違い様に囁く


「ハジメ、お前も俺の邪魔をするなら容赦はしない」


以前ならば萎縮して言葉を発する事が出来なかった状況、けれど救世主になった今ならば...


と熱くなった自分の心を冷静なもう1人の自分がなだめる。


今はそんな事よりも現状をなんとかしなければ


「おい、どうなってんだよこれ...!」


教室を後にしたシュウの叫びが聞こえる。


気付いたら足が勝手に動いていた。


教室の外へ飛び出し、シュウと同じ光景を目にする。


「これは...」


どうやらこの世界には僕たちを逃す気はないらしい


学校の校庭をグルリと囲むように黒い空間が広がっていた


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