3 天界で
「おい、ウリエル!早く代われよ。」
「はいはい。」
ウリエルはラファエルに「写世の硝子玉」を名残惜しそうに譲った。ラファエルは硝子玉を手に取って覗き込んだ。
「おー、いつ見てもすげぇな、地上は。前見た時よりもずっと発展してるじゃねぇか。プルーネ、元気かな?」
「ふふっ。おもしろいことになってるわよ。」
ウリエルはラファエルの反応が楽しみでたまらないようだ。
ラファエルが、硝子玉を握りしめた。握った手が震えている。
「お、おいウリエル。こ、こいつは誰だ?」
「ふふっ。偶然プルーネと出会ったみたいよ。」
悪戯っぽい笑みを浮かべ、ウリエルは言った。
「お、おい。ここ、こいつ、プルーネに手を振ったぞ!プ、プルーネに、て、手をだ、出すつもりなんじゃねぇか?」
ラファエルは真っ赤になって言った。今にも硝子玉を投げそうになっている。
「大丈夫よ。…たぶん。」
ウリエルは硝子玉をラファエルの手から取った。投げ出して壊されてはたまらない。
「た、たぶんってどう言うことだ、ウリエル!」
「おー、ウル姉とラファ兄!楽しそうですねー。ワタシにも観せてくださいよ。」
リュエルがやって来た。
「お、リュエルじゃねえか。ここ、こいつどう思う?」
ラファエルはウリエルから硝子玉を奪い取り、リュエルに見せた。
「おー。この人ですか?おー!なかなか良い感じの人ですね。」
「…。」
ラファエルはブルブルと震え出した。
「あ、もしかして、ラファ兄、この人、プルーネちゃんに何かあったんですか?」
「ギャわああぁぁぁ!」
ラファエルは突然奇声を上げ、床にに硝子玉を叩き付けた。
当たり前のことで、硝子玉は音を立てて粉々に砕け散った。
「ラ、ラファエル!」
リュエルは茫然としていた。ウリエルは硝子玉のかけらを拾い上げた。
「…ふう。取り乱しちっまったぜ。」
ラファエルは何事も無かったように立ち上がり、大きく息をついた。
「あいつ、プルーネに手を出してたら承知しねぇ。」
「…こ、これじゃあ手を出そうがわかりませんよ…。」
「…フン!」
「こ、こら、ラファエル!」
ラファエルは不機嫌になりどこか行ってしまった。
「はあ。これくらい片付けていきなさいよ…。まあ良いわ。」
ウリエルは呆れながら硝子玉の残骸を纏めていく。ウリエルはリュエルに布袋を出させてその中に残骸を入れるように言った。
「ウ、ウル姉。ワタシ何か悪いことしましたかね…?」
リュエルはおどおどしていた。この硝子玉は貴重なのだから。
「ラファ兄が怒ったのはワタシが原因なのでしょうか…?」
「大丈夫よ。全く、ラファエルは過保護すぎるわ。」
「過保護だってのはワタシも同感です。プルーネちゃんは可愛いですけど…。」
何故かリュエルは少し不機嫌になって、硝子玉の残骸を集め出した。とても小さなかけらも拾っていく。
「ウル姉、これどうするんですか?」
おおかた拾い集めた硝子玉の残骸を布袋に入れたリュエルは尋ねた。
「…だ、大丈夫よ。ミカエルに直して貰うから。」
布袋をリュエルの手から取ってウリエルは言った。
「ミカ兄って細かい事凄く得意ですよね。優しいし。」
「少し変だけどね。」
「あはは。」
大天使位のミカエルが青い衣をまとっていることを思い浮かべながら、リュエルは愛想笑いをした。
あとがきです。
天界での反応でした。
自分で書いててなんですけどラファエルってシスコンだったんですね。
活動報告で設定とか書いていこうかなと思います。
まあ、あとで番外編として書くんですけどね。