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異界の勇者の日記帳~ブキヤのおじ様と素晴らしい防具~

 転生した後、初めて褒めてくれたのが装備屋『ブキヤ』のおじ様でした。

 その頃殆ど話し相手もおらず、受付さんもお優しい方ですが、色々な冒険者を相手にされているので、どうしても事務的な対応がにじみ出ていたのです。


 魔物を数匹討伐したことを受付さんに話すと、お店を紹介されたのです。

 恐る恐る裏路地を通って行ってみると、いかにも怖そうな方がお店の奥でどっしりと座られていたのを覚えています。大柄で浅黒く、頭を剃り上げているのですから、その威圧感といったらありません。


 勇気を振り絞って店に入りましたが、案の定素っ気ない返事が返ってきただけでした。ですが、スライムちゃんを介した収納魔法から一角狼の角を取り出すと、飛び上がるように驚いていました。


「見るからにひよっこで、スライムしか連れていないテイマーが一角狼を倒すなんて信じられない。それにその収納魔法もすごい。嬢ちゃんはきっと大物になるぜ」


 本当にうれしくて、もしかするとあの時涙が浮かんでいたかもしれません。あれからしばらく経ちますが、一字一句覚えています。

 まるでついさっき言われたかのように、いつでも思い出せるのです。その度につい頬が緩んでしまうので、できるだけ我慢しています。


 その後毎日のように顔を出していました。今思えば商売の邪魔になってしまっていたかもしれませんが、おじ様は嫌な顔一つせずに私の話を聞いてくださいました。

 少しでもお役にたちたくて、色々な魔物の素材を持ち込ませていただきました。

 珍しいものもいっぱいでしたので、それを見るおじ様の目は、まるで少年のように輝いていたのですから、私も嬉しくなりました。


 スライムちゃんもとても強かったので、珍しい素材といっても、その魔物の生息地に行けさえすれば倒せました。

 ほとんどの魔物を素早く倒せたからこそ、色々な素材を持ち込むことが出来たのです。


 しかし、そんな中でもある魔物だけは倒せず、困っていました。虹色鷲と呼ばれるAランクの魔物です。

 森中に配置したスライムちゃんのおかげで発見は出来るのですが、倒そうと近づくとす直ぐに逃げてしまいます。受付さんにも相談しましたが、これまで倒したという話は聞いたことがないとのことでした。


 おじ様への感謝の気持ちに虹色鷲の羽を送りたかったのですが、半ばあきらめかけていました。

 そんな時、おじ様から『スライムちゃんの装備品』を提案されたのです。魔物が装備するという想像をしていない私は、目から鱗でした。

 そして翌日、おじ様は大変なものを私に下さったのです。思い通りの姿にスライムちゃんを変身させられる素晴らしい装備品です。可愛くないなんて言ってごめんなさい。


 レースのついたドレスを着させたり、色々なコスプレをしてみましたが、最後は兜に落ち着きました。小さくてもメタリックで少しごつごつとした兜が、ぷにぷにしたスライムちゃんとのギャップがとても可愛くてたまりませんでした。


 しかも、そのおかげで透明化したスライムちゃんで虹色鷲の隙をついて倒すことが出来たのです。私が魔力で補助をすれば、一角狼に変身して素早く移動することもできる様になりましたし、おじ様は本当にすごいです。


 これで、もっともっとも~っと珍しい素材をもっていけるよう、頑張りたいですね。

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