51話 正々堂々と禁止です
「さて、まあやっぱりここになるよな」
以前と同じ場所の平原まで来た俺達。
周りに障害物も殆ど無いし、平地だしで特に言う事はない、模擬戦にはもってこいだ。
大会って事は多分平地で戦うだろうしな。
石のリングみたいなもので戦うんだろうか?
天下一なんちゃらとか、なんとかトーナメントみたいな。
「来てしまいましたか……」
「あれ、ティリアスは乗り気じゃないのー?」
「以前にボコボコにされましたからね……シルヴさんとの戦いを見たでしょう? ノータイムで連打してくる光の刃、今は光羽でしたか。強化されている光羽が連打されるんですよ……?」
「あー……まあなんとかなるよー」
「そうそう、三対一だし大丈夫っしょ!」
「そ、そうですよね! 三人いればなんとかなりますよね! 頑張りましょう!」
あれ、いつのまにか俺が一人で三人と戦う事になってるぞ。
……まあ良いか。三人の連携も見てみたかったしな。
「んじゃ、こっちの準備は良いぞ」
剣を出現させる。
そうそう、黒い手袋は有事の時以外は着けていない。
大会では付けるかもしれないが、今は着けずにやるつもりだ。
あれは慣れておくとかそういうものじゃないしな。
「ええ、こちらも大丈夫です」
ティリアスは刀を握り、アルマダは鎌を、マキナは……手の甲当たりからブレードのような物を出している。うーん機械っぽい。
「じゃあ……始めるか」
その言葉で一斉に散開する三人。
なるほど、俺の光羽でまとめて喰らわないようにする仕組みか。
「これなら一人しか狙われませんよ!」
「なるほどなるほど……【開け、光輝の幽世門】
「あ……」
地面に剣を刺すと俺の周りに魔法陣が生まれ、効果を知っている二人は忘れていたと言わんばかりに口を開ける。
「え? 何あれ」
一方知らないマキナはハテナマークを浮かべながら回り込んでいたが
「ちょっと! 話が違うんですけどー! この玉追ってくるんですけどー!!」
「そういえばそんな誘導弾ありましたああああああああああ!」
「これ避けるのは難しいよー!」
ふむ、なるほどな。
ティリアスはかわしながらも隙を見て追ってきた玉を斬る。
マキナはひたすらかわしているな。三人に分散して数が少ないとはいえ避けきっている。
アルマダは流石か、来た玉を鎌で斬っている。
「ほい【開け、光輝の幽世門】【開け、光輝の幽世門】【開け、光輝の幽世門】」
ならば3倍プッシュだ。
「ちょまままま多い多い多い多い!!」
「これ斬ったら爆発するんですかー!」
「あー普通だと辛いよねー」
玉を斬った瞬間爆発してやばいと顔で表現するティリアス。
数が増えたにもかかわらず避け続けるマキナ。いや別の意味ですげえな。
しかし、アルマダ強いな。
「アルマダ、お前が斬った玉は爆発しないんだが?」
「あーボクの鎌、魔力を食べちゃうからそれでかな?」
魔力食いとは随分と強そうな武器だな。
まあ、鎌の最終強化系みたいな形しているからな。こう、万死ヲ切リ刻ム、みたいな名前をしてそうだし。
「はいはい【開け、光輝の幽世門】」
「わああああああ! 誰かなんとかしてください!」
「そんな! こと! いわれても! にゃー! 今かすったんだけど!!」
ダメそうだな……。
「仕方ないなあ……ごめんね。ご主人様」
うん? なんだ?
「ちょっとだから我慢してね。【闇からの恐怖】」
その瞬間、俺の視界が真っ暗になる。
なんだ、暗闇にする魔法か? しかしあれは誘導だから見えなくても問題はないんだが。
そう思った瞬間、ぞわりと背筋が凍る。
闇の奥、そこに、ナニカが居る。
恐ろしい存在。目に入れたくない存在。
身体が震えだす程の、ナニカ。
それが、闇から姿を……
「【精神回帰】」
視界が戻った。
「……うむ、【開け、光輝の幽世門】」
「あ、ごめん、駄目みたい」
「えええええええええ!」
「だめなんかーい! 何したかわからんけど!」
「精神異常を引き起こす魔法なんだけど、解除されちゃったーごめんねー」
やはり精神異常系の魔法だったか。名前的にそうかなと思って思わず使ったが。
いや、実は本当怖かったんだがな。恐怖とかホラーに耐性があるとかそういう話じゃない。
根源的といえばいいのか、本能的というべきか。理屈じゃない怖さだったからな。
……意外とリバレース使えんじゃねえか。
「おっと、追加だ。【開け、光輝の幽世門】」
……しかしこれ唱えるのと行動が面倒だな」
毎回剣を抜き差ししている姿はなんかこう、みっともないな?
なんとかならんかなと思って、ふと思いついた。
「こんな感じで……おお! いけるじゃないか!」
指したまま魔力をずっと込めるようなイメージをすると、魔法陣が消えずに玉が再び出現した。
これはいい、オートビット製造装置のようなものだ。
「こりゃ楽だ」
「こっちはめちゃくちゃ大変だよばかやろうぼあーーーーーーーーー!!」
流石に増え続ける玉に対応しきれなくなり詰みとなったマキナは一度玉が直撃した隙に残りの玉も直撃した。
……なんかあれだ。こう、爆発のせいでえぐれたクレーターで有名なポーズのままやられている姿はハッキリ言って笑いそうだ。
「対応しきれああああああ武器がああああ!」
斬り続けたティリアスは握力が落ちたか、油断したか斬った時の爆発の衝撃で刀が飛ばされる。
その後、対応する手段が無くなったティリアスはマキナと同じ終焉を辿った。
「やはりこの二人は要修練だな。……しかし、アルマダが予想以上に強かったな」
「それほど余裕ってわけじゃないけど、ね!」
二人が脱落し、残りの玉が全てアルマダに向かうがそれらを切り払っていく。
アイツ使い魔になって力が落ちたんだよな……?
いや、それでも俺よりも強かったしな。
……お互い本気で戦ったらどうなるやら。
いやまだティルトニクス以上の力が使えない俺じゃ、勝てんか。
忘れてたけど俺、コイツに本来負けてるんだよな。
「あー、コレは駄目かなあ。降参だよー流石に二人が居ない中じゃねえ、意味もないでしょ?」
と、アルマダからそんな声が飛ぶ。
「んー……まあいいか。確かにアルマダじゃ意味がないか」
そう思って発動をやめる。
思うだけでオンオフが出来るって便利だなコレ。
別の方面から新しい戦法が生まれてしまった。
「ずるい! ずるいずるい! ずるずるです!」
「そーだそーだ!」
「お前ら……」
二人を起こした後、まず第一声がそれかよ。
「無限誘導弾禁止です!」
「ソーダソーダ!」
「またかよ、ティリアス、お前さ前も同じ事言ったじゃねえか」
「あんなの出されたら無理に決まってるじゃないですか! こっちに向かって追ってくるし! 斬ったら爆発するし!」
「コーラコーラ!」
「それをずっとやるのは反則ですよ! ダメダメですよ!」
「サイダーサイダー!」
「 マ キ ナ ち ゃ ん ?」
「はい、すみませんでした」
笑顔のまま何故か迫力があるティリアスにマジトーンで謝るマキナだった。
【TIPS】
特化と言われる人間は少ない。
それは特化すれば格上に勝てる可能性はあるが、たった一つのミスで死ぬことがあるからである。
そのため、全体的に能力を向上させるものも多いが、一番多いのは遠距離から安全に倒す者である。




