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3月公式戦 家庭婦人大会 決勝戦 1

 いよいよ決勝戦。プロトコールが終わると、#1ヨシちゃんが走って陽介のところに来た。


 「陽ちゃん、またサーブ権とった!、陽ちゃんがいつも言う通り、練習は嘘つかないんだね!」と、まるですでに優勝したかのような、満面の笑みとガッツポーズで陽介に伝えた。


 陽介は、「そういう意味で言ってる訳ではない!」と、当然ながら言いたかったが、決勝戦直前と言うこともあり、顔を引きつらせながら、「本当にそうだね。練習は嘘をつかないことを、身を持って理解してくれて、僕も嬉しいよ!」と言ったが、本心は、「こいつマジか?3回目となると、本気で心配になる。ヨシちゃんって何歳だっけ?」だった。


 いずれにせよ、第一セットのサーブ権は永竹クラブになった。偶然とはいえ、ありがたいことである。


 主審の吹笛、陽介はメンバーに円陣を組ませ、「さっき僕が言ったことを、忘れずにプレーして下さい。絶対優勝しましょう!」と言い、#1キャプテンヨシちゃんに声かけさせた。


 ところが皆な、蚊の鳴くような声。顔を見ると物凄く緊張している様子だ。陽介は、「緊張している人は、もっとガチガチに緊張して下さい。これ以上ないくらいに。せっかくの機会だから!」と言って、送り出した。


 永竹クラブは、第1試合1セット目と同じ布陣。


 双方のメンバーがエンドラインに並び、主審の吹笛で握手を交わし、プレーボールを待った。


 主審のプレーボールの吹笛に続き、サーブ許可の吹笛。


 3月家庭婦人大会の決勝戦が始まった。


 永竹クラブのサーバーは、#9井口ちゃん。


 練習の成果が見受けられる鋭いサーブ。


 蕨クラブのバックライトが、驚いた面持ちでレシーブをはじく。


 #9井口ちゃんのサービスエース。


 マネージャーの彩姉さんが、立ち上がって吠えた「ナイスサーブ!、井口ちゃん素敵ぃ~!」


 監督以外の者が、ベンチの席を立ってコートに向かい声を発したので、主審がキャプテンの#1ヨシちゃんを呼び、ベンチに対し注意するように、指示した。


 それを受けて彩姉さんは、ベンチに座ったまま、たくましい右腕を高々と上げ、主審に向かい「ゴメンなさい!」と大声で言った。(当時のルールでは、監督以外がベンチの席を離れてコートに向かって声を発することは、許されなかった。注意だけだったので、別に謝る必要もなかったが、きっと彩姉さんの性格なのであろう。ちなみに席を離れなければ、コートに向かって声を発しても問題ない。)


 しかし、この彩姉さんの一吠えが、あまりにも律儀で、しかも今度は席に座ったまま発したので、主審をはじめ会場中を和やかにした。


 永竹クラブのメンバーも、笑みを浮かべた。


第一セット

永竹クラブ1ー0蕨クラブ


 引き続き#9井口ちゃんのサーブ。


 速くて低くて、エンドラインまでとどくサーブが、蕨クラブのコートに向かう。


 蕨クラブクラブのバックセンターがはじく。


 またもや#9井口ちゃんのサービスエース。


永竹クラブ2ー0蕨クラブ


 #9井口ちゃんのサーブが続く。


 蕨クラブのバックライトがレシーブ。


 しかし上手くつなげず、チャンスボールが永竹クラブに返って来た。


 中衛レフト#2ヤマちゃんが、セッター#18ユカちゃんにパス。


 #18ユカちゃんは、レフト#17よっちゃんにトス。


 #17よっちゃんは、蕨クラブの2枚ブロックを弾き飛ばし、アタックを決めた。


永竹クラブ3ー0蕨クラブ


 蕨クラブは、早目のタイムアウトをとった。


 蕨クラブには監督がいない。従って、キャプテンがタイムアウトを申し出た。

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