3月公式戦 家庭婦人大会 3
第一試合が佳境に入り、間もなく試合終了をむかえ、永竹クラブの初戦が始まろうとしていた時、永竹クラブのメンバーは、普段の練習の通りウォーミングアップを短時間で終え、これまた普段の練習通り試合前の準備練習に入ろうと、第一試合が行われているコートの脇で待っていた。
第一試合が終了し、永竹クラブがコートに入ってパスから始まる試合前の準備練習に入った。ここまでの一連を見ていた陽介は、「遅刻問題の影響はないみたいだな!」と思った。そしてプロトコールを終え、キャプテンのヨシちゃんがコートに戻ると陽介に、「陽ちゃん、サーブ権とった!」と満面の笑みで伝えた。陽介は真剣に伝えにきたヨシちゃんを笑いそうになったが、「これで第一サーバーが良いサーブと打ち続ければ、勝ったも当然だね!」と言って、すぐに3分間の公式練習に入った。
永竹クラブの3分間の公式練習が終わり、対戦相手の公式練習になった時、陽介はメンバーを集め「この初戦の相手は、皆さんの実力を考えれば間違えなく勝てます。ただし、ナメテかかってはいけません。自分たちが練習してきたこと、出来ることを一生懸命やって成果を出しましょう!特にサーブとサーブカット、そして二段トス。さらにはチャンスボールにおけるパスは重要です!」と、相手の公式練習が終わり、試合開始前の整列を待つメンバーに言った。
ホイッスルが鳴り、双方の選手がネットを挟み握手をし、スターティングメンバーがサーブ順に並び、顔を揃えた。永竹クラブのサーブ順は、陽介が試合の主導権を持ちながら進められるよう、原則サーブが得意な順番。しかしサーブを打った者が自分のポジションに戻るのに時間がかからないように、またサーブ順を間違えて無条件に相手に点数を与えないように、後衛選手から打つように考え、
第一サーバーから、
#9井口ちゃん ⇒ #3キーちゃん ⇒ #4川さん ⇒ #6マメちゃん ⇒ #17よっちゃん
⇒ #2ヤマちゃん ⇒ #18ユカちゃん ⇒ #11和気ちゃん ⇒ #1ヨシちゃん
の順番にしていた。
サーブ権を持っている永竹クラブ、主審のホイッスルが吹笛され、第一サーバーの#9井口ちゃんがサーブを打った。この時の対戦相手は『ミカサクラブ』。誰が見ても永竹クラブのレベルより低い。#井口ちゃんのサーブは良いサーブだった。低くて早くてエンドラインまでとどく、良いサーブだった。
しかし、『ミカサクラブ』のバックセンターは、偶然にもレシーブしてしまった。しかもナイスカットである。永竹クラブの誰もがサービスエースを信じて疑わなかったサーブを、偶然とはいえレシーブされてしまった。