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都大会 23 ベスト8をかけた戦い7

 メンバーチェンジをしたGクラブ。


 代わった前衛レフトは、180cmは優に超える風貌だった。


 永竹クラブの面々は口々に「デカイ!」と言い、「あの身長は既に反則だ!」と言わんばかりにベンチの陽介を見た。


 #1ヨシちゃんのサーブ。


 #1ヨシちゃんは、速くて低くてエンドラインまで届く強いサーブを打った。


 Gクラブは、バックライトがレシーブ。コート中程に上がったボールをバックセンターがアンダーで代わったばかりのレフトアタッカーに二段トスを上げた。


 レフトアタッカーは、力強い助走からジャンプをし思いっきりアタックを打って来た。


 しかしそのアタックは、フルスイングチップ。ナチュラルにフェイントとなった。


 永竹クラブは、高身長から打ち込んでくるアタックがさぞかし物凄いのだろうと、レシーバー陣が足を踏ん張り構えていたので全く動けなかった。


 ボールが永竹クラブコートに落ちた時、まるで時間が止まったかような雰囲気になり、静けさが走った。


 そして#9井口ちゃんが、「あぁ~、全くもう!、切り替えて行こう!、次!次!」と言ったのをかわきりに、「そう!そう!」次!次!」とお互いが声をかけあい、静けさを破った。


 Gクラブの代わったレフトアタッカーは、苦笑いをしながらハイタッチ。少々照れ臭い様子だった。


永竹クラブ15-9Gクラブ


 陽介はセッター#6マメちゃんに、「代わった前衛レフトのブロックの様子を見てみたいので、ライト#1ヨシちゃんにトスを上げて!」と指示を出した。


 Gクラブのサーブ。


 永竹クラブは、ハーフセンター#16イソちゃんがオーバーでレシーブ。セッター#6マメちゃんは陽介の指示通りライト#1ヨシちゃんにトスを上げた。


 #1ヨシちゃんは3枚ブロック目がけアタックを打った。


 しかしGクラブの代わった前衛レフトのブロックにかかり、シャットアウト。


 しかも前衛レフトはほとんどジャンプせずにブロックを決めた。


 身長が高いというのはバレーボールにおいて、それに勝る物はないということを証明するようなプレーだった。


 何も高いブロックを狙ってアタックを打つ必要はないだろう!と誰もが思うかもしれない。

 

 しかし#1ヨシちゃんは、決して身長の高いブロッカーを狙って打った訳ではない。


 代わった前衛レフトが、#1ヨシちゃんのアタックコースを読んでブロックの位置を移動したのだ。


 これは手強いと思った陽介は、「#2ヤマちゃんと#8青ちゃんにトスを集めて!」とあらためて指示をした。


永竹クラブ15ー10Gクラブ


 Gクラブのサーブが続く。


 Gクラブのサーバーが、ベンチの監督と何か言葉を交わし、永竹クラブのバックライト#9井口ちゃん目がかなり山なりのサーブを打って来た。


 永竹クラブは、バックライト#9井口ちゃんが中々落ちて来ないサーブを腰を落として丁寧にレシーブ。


 セッター#6マメちゃんは、自分の背後から来るサーブレシーブに体をライト側にに向け、陽介の指示通りレフト#2ヤマちゃんに後ろ向きでトスを上げた。


 するとレフト側にトスが上がることを予想していたように、既に#2ヤマちゃんの前に3枚のブロックが準備万端とばかり揃っていた。


 #2ヤマちゃんは、それでも3枚ブロックを打ち抜かんばかりに思いっきりアタックを打った。


 Gクラブは中衛ライトがワンタッチ。高く後方に上がったボールをバックライトがアンダーで高身長のレフトアタッカーに高い二段トスを上げた。


 レフトアタッカーは、「ヤぁ~~~!」と言う声を上げて思いっきりアタックを打った。


 しかしこのアタックもフルスイングチップ。


 再び永竹クラブコートにボールは落ちた。


 以前にも話したが、フルスイングでチップされると、レシーバーがボールを拾うのはほぼ不可能だ。


 メンバーチェンジしたばかりで、まだプレーに馴染めないでいるかも知れないという偶然のプレーだとその時は思っていたが、それにしてもこの点数の失い方は永竹クラブのリズムを崩しかねない。


 陽介は不安に駆られた。


永竹クラブ15-11Gクラブ


 Gクラブのサーブ。


 またしても、バックライト#9井口ちゃんを狙いかなり山なりのサーブを打って来た。


 まるで天井サーブだ。


 (天井サーブとは、ミュンヘンオリンピックの金メダリストでセッターだった、故猫田氏が相手のリズムを崩すため、また普段練習をしない高さから落ちてくるサーブでレシーブのミスを誘うために打ったサーブ。(誰が最初に始めたかは諸説あります)また、ブラジルの屋外ビーチで行われた国際大会で、ブラジルのライズマン氏が夜空に向かってサーブを打ち上げ連続得点を取り、ブラジルの熱狂的なファンから月に向かって打ったサーブ「ムーンサーブ」と称され、大人気となったサーブ(これも諸説あります)。)


 #9井口ちゃんは、今度も丁寧に腰を落としてレシーブ。


 セッター#6マメちゃんは、またしてもくるりと体をライト側にに向け、中衛レフト#8青ちゃんに後ろ向きでトスを上げた。


 #8青ちゃんの前には、しっかりと準備が出来ている3枚ブロック。


 #8青ちゃんは、3枚ブロックの真後ろにフェイントを落としたが、待ち構えていたようにフェイントカバーに入っていたセッターがいとも簡単にボールをつなぎ、後ろから前に出て来たバックライトが再び高身長のレフトアタッカーに高い二段トスを上げた。


 レフトアタッカーは勢いよく助走に入る。


 ここで『2度あることは3度ある』と思ったか、#9井口ちゃんが「フェイントに気を付けて~!」と大きな声を出した。


 しかしレフトアタッカーは、永竹クラブの高い2枚ブロックを避けてアタックを打った。


 だがそのアタックは、ネット上方の白帯に当たり、さらにその白帯をつたうようにレフト#2ヤマちゃんの方に向かって行った。


 このままアンテナに当たれば、アウトの判定になり永竹クラブの得点になるが、ウソのように途中で永竹クラブコートに落ちた。


 Gクラブは、連続得点で大喜び。


 相変わらず代わった高身長のレフトアタッカーは、苦笑いをしている。


 陽介は、完全に永竹クラブのリズムが崩さられたと思い、タイムアウトを要求した。


永竹クラブ15-11Gクラブ 

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