表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

357/377

都大会 16 やはり強かったHクラブ11

 Hクラブのサーブ。


 永竹クラブは、バックライト#9井口ちゃんがレシーブ。Hクラブの強烈なサーブに押されそのレシーブはライト#1ヨシちゃんの所に上がった。


 #1ヨシちゃんは、中衛レフト#8青ちゃんに「#8青ちゃ~ん、何とかしてぇ~!」と言いながらトスを上げた。


 #8青ちゃんは、「OK!!!」と言ってアタックの助走に入る。そして目の前の3枚ブロックからリバウドをとった。


 そのボールをブロックカバーに入っていた、ハーフセンター#16イソちゃんがナイスホロー。真上に上がったボールをセッター#6マメちゃんが、ライト#1ヨシちゃんにトスを上げた。


 Hクラブは、レフト#2ヤマちゃんにトスが上がると思い、ハーフセンターが3枚目のブロックに行かれない状況。


 ライト#1ヨシちゃんの前は2枚ブロックとなった。


 #1ヨシちゃんは、「あいよ!」と大きな声を出して、2枚ブロックの内側を狙ってワンタッチをとった。


 そしてそのボールは物凄い回転を伴って、Hクラブのバックライトに向かい飛んで行った。


 Hクラブのバックライトが下がる、下がる、さらに下がって右手を精一杯伸ばし何とか触った。


 かろうじてつながったボールを、バックセンターが必死に走り込んでフライングレシーブで永竹クラブコート返そうと試み、ボールはネット方向に向かった。


 しかしそのボールはネットに当たり、永竹クラブコートには返って来なかった。


 と思ったら、4コンタクト目(ネットに触れたので、4コンタクト目が許可される)をネット下にいた中衛ライトが手を出し、不規則な回転になったボールが再びネットに触れて永竹クラブコートに返って来た。


 そしてそのボールは永竹クラブコートに落ちた。


 Hクラブは、全員がガッツポーズ。「ラッキー!!!」と言いながらハイタッチ。


 誰も予想だにしなかった展開だった。


 陽介は、直ぐにベンチを立ち上がり、この試合最後のタイムアウトを要求した。


永竹クラブ16-15Hクラブ


 ベンチに戻って来たメンバーは全員肩で息をしている。


 さもあらん。体力的には限界に近い。


 陽介は、「さぁ、ここで踏ん張らないと!、内容は悪くないですよ!、相手もきっと疲れてると思います。その意味では両チームとも一緒です。何回も言いますけど、今まで練習して来た全てを出して下さい!、絶対に勝てます!、いや勝とうと全員が思うのです。そして必死にプレーしましょう!、次のサーブカットは重要ですよ。ナイスカットでなくていいので必ずコートの中に上げましょう!、そして二段トスで攻撃しましょう!、チャンスボールが来たら丁寧にパスを出して攻撃しましょう!、さぁ頑張ってあと少しで勝利ですよ!」と言ってコートに送り出した。


 マネージャー登録の彩姉さんは、泣きながらコートのメンバーの飲み物受け取り、「頑張って!、あと少し!、皆な勝って楽しく飲もう!」と言っていた。


 そして陽介はベンチに戻ると、#13シズさんに直ぐにコートに入れるよう準備をするように指示をした。


 タイム明け、Hクラブのサーブが続く。


 永竹クラブは、ハーフセンター#16イソちゃんがオーバーでレシーブ。セッター#6マメちゃんはレフト#2ヤマちゃんにトスを上げた。


 #2ヤマちゃんは3枚ブロックの指先目がけアタックを打った。


 Hクラブは中衛ライトがワンタッチ。そのボールをバックレフトがライトアタッカーに二段トスを上げた。


 ライトアタッカーは、少し離れた二段トスを体を上手く使って永竹クラブの2枚ブロックに当ててリバウンドをとる。


 そのボールを、ブロックカバーに入っていた中衛ライトがオーバーでセッターにパス。


 セッターは、走り込んで来たハーフセンターに後ろを向いたままCクイックのトス上げた。


 しかしそのトスは低く、ハーフセンターがネットの下から片手でボールを持ち上げるような状態で永竹クラブコートに返した。


 ここで主審の吹笛。


 Hクラブのホールディングの反則だ。


 永竹クラブは、「ラッキー!!!」と言ってコートを走り回った。


永竹クラブ17-15Hクラブ


 永竹クラブのサーバーは、#19イケさん。


 陽介は、ベンチを立って#13シズさんとのメンバーチェンジを副審に申し出た。


 これでこの試合にユニフォームを着た者は、全てコートに立った。


 あらためて永竹クラブのサーバーは、#13シズさん。


 陽介は大きな声で、「全ての力を出して、思いっきりサーブを打ってぇ~!」と言った。


 #13シズさんは、コクリとうなずき思いっきりサーブを打った。


 しかし#13シズさんの思いとはかけ離れ、#13シズさんの手に当たったサーブはチップをした状態で逆回転のままヨロヨロとネットに向かった。


 だが何が幸いするか分からない。


 ネットギリギリに飛んで行った、結果としてレシーブが難しくなったサーブを、陽介のかけ声で強いサーブが来ると思い、後ろに下がっていたHクラブの中衛レフトが、慌ててネット際にしゃがみこみながらアンダーでレシーブ。


 そしてレシーブしたボールは、ネットの下を通過し永竹クラブコートに入ってしまった。


 #13シズさんのサービスエース。


 皆な大笑いしながら、ガッツポーズ。#13シズさんの所に駆け寄りハイタッチ。


 Hクラブは、神妙な面持ちだ。


永竹クラブ18-15Hクラブ


 #13シズさんのサーブが続く。


 しかし、人生でこれ以上ない力を出して打ったサーブは、2本ともアウトになりサーブ失敗。


 陽介は、#13シズさんに代えて#19イケさんをコートに戻した。


 ベンチに戻って来た#13シズさんと陽介はグータッチ。


 ベンチの三輪さん・彩姉さん・#10芦さん・#11和気ちゃんともグータッチをしていた。


永竹クラブ18ー16Hクラブ


 Hクラブのサーブ。


 永竹クラブは、バックセンター#3キーちゃんがレシーブ。やや乱れたボールをセッター#6マメちゃんが走り込みながらレフト#2ヤマちゃんにトスを上げた。


 #2ヤマちゃんは、3枚ブロック目がけ渾身の力でアタックを打った。


 Hクラブは、3枚目のブロックハーフセンターがワンタッチ。


 しかしここで主審の吹笛。


 ジャッジは永竹クラブの得点。ワンタッチしたハーフセンターにネットタッチの反則があった。


 Hクラブのハーフセンターは右手を上げ、自分にネットタッチがあったことを認めている。


 永竹クラブは、「ラッキー!!!」と言ってコートを走り回った。


永竹クラブ19ー16Hクラブ


 永竹クラブのサーバーは、#1ヨシちゃん。


 Hクラブは、#1ヨシちゃんのサーブをハーフセンターがオーバーでナイスカット。


 中衛ライトのCクイックをおとりに、回り込んで来たライトアタッカーに時間差のトス上げ綺麗に決めた。


 永竹クラブは、ゲーム終盤だというのに「スゲー!」と口々に発し、笑顔だった。


永竹クラブ19-17Hクラブ


 陽介は、このまま行けば次に永竹クラブがサーブを打つ時は、マッチポイントの時に違いない。と願った。


 Hクラブのサーブ。


 永竹クラブは、バックレフト#4丘ちゃんがレシーブ。


 しかしコート外にはじいてしまった。


 Hクラブのサービスエース。


 Hクラブのメンバーは、「まだまだ、ここからだよぉ~!」と声をかけあっている。


永竹クラブ19-18Hクラブ


 Hクラブのサーブ。


 永竹クラブは、バックセンター#3キーちゃんがナイスカット。


 セッター#6マメちゃんは、ライト#1ヨシちゃんにトスを上げた。


 #1ヨシちゃんは、3枚ブロック目がけアタックを打った。


 しかしここでも主審の吹笛。


 3枚目のブロックに飛んでいたハーフセンターが、踏ん張りがきかずブロックの際前に飛んでしまいネットにもたれかかってしまった。


 Hクラブのハーフセンターは、レシーブにブロックにそしてアタックにと運動量が多い。さすがに疲労がかくせないのであろう。誰も精一杯のプレーを責めることは出来ない。


 しかし得点は永竹クラブ。


 いよいよマッチポイントだ!


永竹クラブ20ー18Hクラブ


 永竹クラブのサーバーは、#9井口ちゃん。


 #3キーちゃんと一言交わしてサーブを打った。


 速くて低くてエンドラインまで届くサーブが、Hクラブコートに向かった。


 しかし線審の旗が大きく上に上がった。


 第1サーブ失敗。


 続く第2サーブ。またもや#3キーちゃんと一言交わしサーブを打った。


 そして同じような強烈なサーブが、Hクラブコートに向かった。


 Hクラブは、バックライトとバックセンターが大きな声で「アウト!、アウト!」と叫んだ。


 しかし線審は、旗を勢いよく床に向けておろした。


 #9井口ちゃんのサービスエース。


 永竹クラブのメンバーは、皆な飛び上がりながらガッツポーズをし、そして抱き合っていた。


 陽介も惜しみなく拍手を贈った。


 観客席も、大会役員で試合を観戦していた人も、皆な拍手を贈っていた。


 両チームがエンドラインに並び、試合終了の挨拶を交わした。


 三輪さんも、彩姉さんも大泣きしている。


 ここにA区史上初めて、家庭婦人の構成員だけで都大会1勝をあげたチームが誕生した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ