都大会 13 やはり強かったHクラブ8
Hクラブのタイムアウトでベンチに戻って来た永竹クラブの面々に、「良い感じだよ!、このまま行こう!、ただし気を抜けばすぐに相手のリズムになってしまうから、集中を切らさないでネ!、やることは変わらないよ!、サーブで崩して相手の攻撃を絞ってレシーブをしよう!、そして粘って粘って相手からチャンスボールをもらって攻撃しよう!、マメちゃん、トスは3枚ブロックが付いていても両サイドで勝負していいからネ!、繰り返すけど出来ることを一生懸命やろう!、そして勝とう!」と陽介は言ってコートに送り出した。
タイム明け、#9井口ちゃんのサーブが続く。
#9井口ちゃんは、#3キーちゃんと一言かわしサーブを打った。
Hクラブはバックセンターがレシーブ。サーブの勢いに押されコート中程に上がったボールをハーフセンターがレフトに二段トスを上げた。
レフトエースは、永竹クラブの高い2枚ブロック目がけ軽くアタックを打ちリバウンドをとった。
そのリバウンドを中衛レフトがセッターにアンダーでパス。
中衛ライトが「C、C!」と言いながら速攻に入る。
Hクラブのセッターは、ライトに低いトスを上げた。
ライトアタッカーは、永竹クラブのレフト#2ヤマちゃんと中衛レフト#8青ちゃんの2枚ブロックからリバウンドをとった。
再度のリバウンドを、バックライトがアンダーでセッターにパス。セッターは「B、B!」と言って速攻に入って来た中衛レフトにトスを上げた。
しかしコンビが合わず辛うじて手に当てたボールが、永竹クラブハーフセンター#16イソちゃんの前に返って来る。
慌てて#16イソちゃんがそのボールに突っ込み何とかレシーブ。
さらにそのボールにセッター#6マメちゃんが突っ込みつなぐ。
そして3コンタクト目を、バックセンター#3キーちゃんがアンダーでチャンスボールを返した。
Hクラブは、「チャンス!、チャンス!」と言って5人が攻撃の体勢に入った。
バックレフトがオーバーでセッターにパス。セッターはハーフセンターのAクイックをおとりに回り込んで来た中衛ライトに時間差攻撃のトスを上げた。
永竹クラブは、中衛レフト#8青ちゃんと#6セッターマメちゃんが申し合わせたように速攻を捨て、時間差攻撃に2枚ブロックで挑み、綺麗にシャットアウトして見せた。
シャットアウトしたのは#8青ちゃん。
両手を天に届かんばかりに上げてガッツポーズ。
皆な#8青ちゃんのところに駆け寄りハイタッチ。物凄い盛り上がり方だ。
しかしここで、「ピッ・ピッ・ピッ」と小刻みな主審の吹笛。
主審のシグナルは、#8青ちゃんのオーバーネット。
永竹クラブは、「えぇぇぇ~!!!」と大きな声を出した。
するとキャプテン#1ヨシちゃんが主審に呼ばれた。
短く何か話された#1ヨシちゃんは、コートのメンバーに「落ち着いて。主審のジャッジにあからさまに抗議の姿勢を見せないように。今度同じ状況になったらイエローカードを出します。」と主審に言われたことを伝えた。
そして主審に向かい、その旨伝えたことをあらわすために、左手を大きく主審に向けて上げた。
Hクラブの中衛レフトは、胸を撫で下ろしながら「ラッキー!」と言って苦笑いをしながらメンバーとハイタッチをした。
永竹クラブ5-1Hクラブ
陽介はすぐさまベンチを立って、「切り替えて!、切り替えて!、このサーブカットは重要だよ!」と大きな声でコートの中のメンバーに言った。
Hクラブのサーブ。
永竹クラブはハーフセンター#16イソちゃんがレシーブ。ライト後方にはじいたボールをバックライト#9井口ちゃんがレフト#2ヤマちゃんに二段トスを上げた。
#2ヤマちゃんは、3枚ブロック目がけアタックを打った。
Hクラブは、中衛ライトがワンタッチ。しかしそのボールはコートライト側外に大きく飛んで行った。
そのボールをバックライトが必死につなぎ、3コンタクト目を前衛ライトが後ろ向きのままアンダーで何とか永竹クラブコートに返した。
永竹クラブは、バックレフト#4丘ちゃんがアンダーでセッター#6マメちゃんにパス。
レフト#2ヤマちゃん・中衛レフト#8青ちゃん・ライト#1ヨシちゃんがトスを呼ぶ中、#6マメちゃんは、#1ヨシちゃんにトスを上げた。
#1ヨシちゃんは、目の前の3枚ブロックに対しブロックアウトを狙うがごとく体をひねってアタックを打った。
Hクラブは、ストレートコースにブロックを飛んでいたレフトアタッカーがワンタッチ。
しかしそのボールは#1ヨシちゃんの思い叶わず、バックレフトがホロー。そしてそのまま二段トスとなって中衛ライトが永竹クラブの中衛レフト#8青ちゃんの1枚ブロックを避け、アタックを打ち込んで来た。
永竹クラブはその強烈なアタックを、バックライト#9井口ちゃんがレシーブ。コート中程に上がったボールをハーフセンター#16イソちゃんがオーバーでライト#1ヨシちゃんに二段トス。
#1ヨシちゃんは3枚ブロックの3枚目を目がけアタックを打った。
Hクラブは、ブロックに入っていたハーフセンターがワンタッチ。そのボールをバックライトが中衛レフトに二段トス。
中衛レフトは、フェイントを見せた。
永竹クラブは、まるでフェイントが分かっていたかのように中衛ライト#19イケさんがレシーブ。
コート中程に上げたボールを、再びハーフセンター#16イソちゃんがライト#1ヨシちゃんに二段トスを上げた。
#1ヨシちゃんは、3回連続のアタック。
三度3枚ブロックに向かいアタックを打ち込んだ。
Hクラブは、ストレートコースに飛んでいたレフトアタッカーがワンタッチ。
ボールはHクラブコートエンドラインまで飛んで行ったが、バックセンターがフライングレシーブでつなぎ、3コンタクト目をバックレフトがチャンスボールを返した。
永竹クラブは、「チャンス!チャンス!」と言いながらバックライト#9井口ちゃんがセッター#6マメちゃんにアンダーでパス。攻撃陣3人は大きな声でトスを呼んでいる。
Hクラブは、4連続ライト#1ヨシちゃんは無いと考えたか、レフトアタッカーは既に下がってレシーブの体勢に入っている。
それに気づいた#19イケさんが、「レフトレシーブに下がってるよ~!」と大きな声を出した。
そしてセッター#6マメちゃんは、ライト#1ヨシちゃんの前がブロック2枚になることを予想して#1ヨシちゃんにトスを上げた。
と思ったら、ハーフセンターがブロックに参加して、さらに#1ヨシちゃんにトスが上がることを予想したHクラブレシーブ陣が向かって左に動き、ポッカリと空いたコートど真ん中にトスフェイントをして、決めた。
この攻撃にはHクラブも「アッ!」と言ってうなだれた。
永竹クラブは、ガッツポーズ。#6マメちゃんのところに駆け寄り頭を手荒くナデナデした。
#6マメちゃんは、「だから、頭はやめてくれ~!!!」と大きな声で言っていたが、まんざらでもない様子だ。
この長いラリーは、いつもながら文字にすると簡単なように思える。
しかしやっている選手は、物凄く長いラリーだと感じている上に、ボールがコートに落ちるまでの間、ずっと集中しながら次のプレーの準備をしなければならず、体力的にも極めてキツイ。
この試合、持っている全ての物を出してプレーをしている。
したがって、余裕など全くない。
陽介は、何とか勝たせてあげたいと、心から願った。
永竹クラブ6-1Hクラブ