都大会出場を決めた永竹クラブ、『これからの時間』は大騒ぎ。ウンっ?「結団式」って何!? 3
ウーロン杯を飲み干したヤマちゃんは、「ママ~、カシスオレンジ頂戴!」とアルコールのおかわりを頼み、それを一口飲んでから『結団式』について話し始めた。
「私もA区の連盟役員をやってるから、結団式には行ったことはある。ただ一度も当事者になったことがないから、結団式に対してのありがたみも感謝もましてや意気込みも感じたことがないのよ。だから見ていたことだけを話すね。」と言い置き、「都大会出場が決まると、都大会に出場する各種目の代表者が、その大会におけるルールや会場での注意事項などを打ち合わせる会議が行われるの。そして都大会前には(1週間位前?)各区や市の役所で都大会に向けて参加全種目の代表チームが集まり、都大会での活躍を祈念する会を開催するの。ちなみに都大会では、その種目に出場したチームがベスト8になるとその区や市などににポイントが入り、ベスト4になるとさらにポイントが加算され、優勝と準優勝にはさらにポイントが入ることになっていて、そのポイントの積み重ねが各区や市などの獲得点数となり、そのポイント数が一番多い区や市が都大会での優勝区あるいは市となるの。だから区や市の代表は健闘を誓い、かなり盛り上がる会なのよ。そしてその会は飲食が伴い会費は無料。結構な料理とアルコールが振舞われる。都大会出場常連チームはどうか分からないけど、初めて出場するチームとか久しぶりのチームとかは、かなり楽しめる会だと思うよ。もちろん、各区や市の事情もあるから全部の区や市で団結式を行っているかは分からないし、さっきも言ったけど私は当事者として結団式に出てないから、その気持ちは分からないけど…。でも結団式の開始から宴会に入るまでの時間に行われる行事はかなり厳粛に行われて、区長やお偉方さん達も出席のもと各種目の代表チームが整列して、宣誓をしたり激励の言葉をもらったりする場面もあるから、決してただの飲み会とは違う会と言えばいいかしらね。」と、酔っぱらって所々ろれつが回らないながらも語ってくれた。
気付いてみれば、皆な無言でヤマちゃんの話しを聞いていいた。
ヤマちゃんの話しが一通り終わって、「マジで!?」、「それじゃぁ、ただで酒が飲めるってこと?」と、予想はしていたものの「ヤッパリ、その言葉が出たか!」と周りの期待を裏切らない発言で、その沈黙を破った彩姉さんと和気ちゃんの猛獣コンビ。
しかし、そのおかげで再び『これからの時間』に火がつき、まだ見ぬ結団式の話題を中心に話がはずんだ。
マメちゃんが、「ヒョットして、結団式はドレスアップして行かなきゃいけないの?」と言い出すと、キーちゃんが「それは困る。だって私は仕事に行くんだってジーパンだし…。もっとも会社に行けば制服があるからいいんだけどね。」と笑いながら話し、和気ちゃんは「そのためだけに服を買うのはもったいないしね」と話した。
それを横で聞いていた陽介が、「そうだよね。和気ちゃんがその時のためだけに服を買うんじゃ、もったいないよ!、すぐ太って着られなくなっちゃうしね!」と言うと、和気ちゃんが「陽ちゃん、覚悟しとけよ!」と威嚇。
陽介は、「しまった!、また余計なことを言った!」と思ったが、周りが陽介の雑言に構うことなく以外にも考え込んでいる姿に、「ヒョットして、女性陣には深刻な問題なのか?」と、あらためて自分の発言を反省した。
そして陽介が、「ヤマちゃん、結団式ってジャージとかで行っちゃいけないの?」と聞くと、「別に普段着で参加している人もいるから、何を着て行っても良いと思うけど、ジャージで参加している人は見たことがないね。男性はスーツの人が多いし、女性はそれなりの格好だったけど会社に通勤する格好なら、ジーパンでも良いんじゃない!」と言った。
その他にも、「アルコールは、焼酎とかあるのかな?」とか、「料理は中華?、和食?、洋食?」とか、「タッパ持参して、持ち帰っちゃお~」とか、「何人参加出来るの?」とか、とにかく結団式の話題で盛り上がった。
ヤマちゃんは、「タッパはまずいだろ!、見たことないし!、第一永竹クラブは卑しいって言われるよ!」と大笑いしながら言った。
続けて、「でも、結団式に参加出来るのは、各種競技の許されている構成員の人数。例えば9人制バレーボールであれば、監督・コーチ・マネージャー、登録メンバー15人合計18人ってことになるよ。残念ながら永竹クラブ関係者っていうだけじゃ、参加出来ない。」と言った。
この時の永竹クラブは、陽介が永竹クラブに来てから多少の出入りがあったものの、登録メンバーだけで15人、監督の陽介、選手は引退したがマネージャー登録をしている彩姉さん。の17人。
全員参加出来そうだ。
一同も、指を折りながら人数計算をしていたが、どうやら全員が参加出来そうなことが分かると、「それじゃぁ、結団式参加を祝してもう一度カンパイしよー!」とヨシちゃんが音頭をとり、グラスを重ねた。
時刻は0時30分を過ぎたところ。
陽介は、電車組みのヨシちゃんに「盛り上がっているところ、水を差すようで申し訳ないんだけど、電車無くなっちゃうんじゃない?」と聞いた。
するとヨシちゃんは、「今日は優勝の予定だったから、明日の会社は有給休暇。本日はキーちゃんの旦那に許可をとって、キーちゃんと一緒にそこのビジネスホテルに泊まるの。門限ないって言ってたしね!、だから時間は全く問題なし!、さっ、飲もう!!!」と言って、手元のウーロン杯を一気に飲んだ。
陽介は、「僕は明日仕事なのに…。」と、いつもの如く下を向いた。