都大会出場をかけた大一番。 秋の一般大会 12
タイムアウトでベンチに戻ったスリーメディスン。レフトエースは大きな声で、「ゴメ~ン!、今度は決めるからトス持って来て!」と言っていた。
当然永竹クラブベンチにもその声は聞こえた。
陽介は、「おそらく次のトスはレフトエースに上がるから、#3キーちゃん(中衛レフトの#19イケさんがサーブで下がっているので、そのポジションにバックセンターの#3キーちゃんが入っている)と#1ヨシちゃんはしっかりとマークしてネ!、ブロックの低い#3キーちゃんの方を狙ってくると思うから、レフト側でレシーブする人は心がけるように!、それと#6マメちゃんはフェイントを気を付けてネ!」、「そして#19イケさん、サーブを思いっきり打って!」と指示をし、円陣を組み声がけをさせてコートに送り出した。
副審がタイムアウト終了の吹笛をした。
双方の選手がコートに戻った。
主審のサーブ許可の吹笛。
#19イケさんのサーブが続く。
#19イケさんは、陽介の指示通り思いっきりサーブを打った。
しかし、やはり山なりのサーブが相手コートに向かった。
スリーメディスンは、コート奥まで山なりに向かって来たサーブを、バックセンターが下がって下がってさらに下がってオーバーでレシーブ。
コート最深部からのオーバーでのレシーブは、コート中程までしか上がらなかった。
そのボールをハーフセンターが、レフトエースに二段トス。
しかしトスが短くネットから離れていたので、軽く叩いて相手コートに返した。
永竹クラブは、観客席を含め大きな声で「チャンス!、チャンス!」と大きな声を出して攻撃の体勢に入り、バックレフト#4丘ちゃんがオーバーでセッター#6マメちゃんにパス。
中衛レフト#8青ちゃんが「セミ!、セミ!」、レフト#2ヤマちゃんが「レフト!、レフト!」、ライト#1ヨシちゃんが「ライト!、ライト!」と大声でトスを呼ぶ。
セッター#6マメちゃんは、レフト#2ヤマちゃんにトスを上げた。
そしてセッターがレフトにトスを上げたと同時に、バックセンターに入っている#19イケさんを除き全員がブロックホローに向かい腰を落とした。
#2ヤマちゃんは、上がって来たナイストスを、気合諸共「ヤァァァー!」と言ってスリーメディスンの2枚ブロックめがけ打ち込み、そのブロックをはじき飛ばした。
明らかに強いチームに見られる、決めたい時に決めてくれるエースのアタックだった。
相手チームのタイムアウト明け、このタイミングで点を取るのは極めて重要なことだ。
セッター#6マメちゃんも、そういうことを考えて一番確率の高い攻撃を選んでトスを上げたのに違いない。頼もしいかぎりだ。
永竹クラブは、皆が集まりハイタッチ。全員笑顔で声を出している。
永竹クラブ14ー8スリーメディスン
#19イケさんのサーブが続く。
今度も山なりのサーブ。#19イケさんはサーブが苦手だ。
スリーメディスンは、ハーフセンターがオーバーでサーブカット。セッターはレフトエースにトスを上げた。
3度アウトに出来ないレフトエースは、陽介の想像通りブロックの低い#3キーちゃん側を狙ってアタックを打ち込んできた。
永竹クラブは、それを予測していたバックレフト#4丘ちゃんがナイスカット。ハーフセンター#16イソちゃんがレフト#2ヤマちゃんに二段トスを上げた。
しかし主審の吹笛。
#16イソちゃんのドリブルの反則。
#16イソちゃんは右手を軽く上げて、「ゴメン、ゴメン」と言った。
永竹クラブ14-9スリーメディスン
スリーメディスンのサーブ。
永竹クラブは、バックライト#9井口ちゃんがレシーブ。少し乱れたボールをハーフセンター#16イソちゃんが、今度は丁寧にライト#1ヨシちゃんに二段トスを上げた。
#1ヨシちゃんは、スリーメディスンの2枚ブロックを上手に使い、ブロックアウトをとった。
#1ヨシちゃんは、してやったり!という様子で、集まって来たメンバーにペロリと下を出しながら笑顔でハイタッチした。
永竹クラブ15-9スリーメディスン
永竹クラブのサーバーは、#1ヨシちゃん。バックセンターの#3キーちゃんが前衛ライトに入る。
#1ヨシちゃんが強いサーブをバックレフトに向かって打った。
スリーメディスンは、バックレフトがレシーブするもサーブの勢いに押され、コート右後方に上げてしまった。そのボールをバックセンターが追いかけてホロー。直接永竹クラブコートに返って来た。
永竹クラブは、中衛レフトの#8青ちゃんがオーバーでセッター#6マメちゃんにパス。セッターマメちゃんは、パスを出した#8青ちゃんにセミのトスを上げた。
#8青ちゃんは、スリーメディスンの中衛レフトとセッターの2枚ブロックが付いているのを見て、そのブロックの真後ろにフェイントを落とした。
スリーメディスンは、一歩も動けず下を向いた。
#8青ちゃんは、ガッツポーズ。
永竹クラブ16ー9スリーメディスン
#1ヨシちゃんのサーブが続く。
今度もバックレフト側を狙ってサーブを打った。
陽介は、#1ヨシちゃんがサーブに下がり、身長が低い#3キーちゃんが前衛にポジションしていることから、相手のレフトエースにトスが上がりにくくするように、バックレフトを狙っているのだろうと思っていた。
そして、考えながらプレーをしている#1ヨシちゃんを感心していた。
スリーメディスンはバックレフトがレシーブ。やはりサーブの勢いに押されコート右にボールを上げてしまった。再びバックセンターがホローし二段トスをレフトエースに上げたが、トスが離れレフトエースは軽く叩いて返すのが精一杯だった。
永竹クラブは、これまた観客席を含め「チャンス!、チャンス!」と大きな声を出して攻撃の体勢に入る。
スリーメディスンは、ライトに入っている#3キーちゃんにトスが上がらないと見て、レシーブの隊形を取っている。
そしてバックライトの#9井口ちゃんがセッター#6マメちゃんにアンダーでパス。#6マメちゃんはいつもならレフト#2ヤマちゃんの方を向いてトスを上げる準備をするのだが、クルリと身をひるがえしライトの方を向いてトスを上げる準備をした。
さらに、「ライト!、ライト!、トス上げるよ!!!」と大声を出している。
がしかし、#6マメちゃんはバックトスで中衛レフト#8青ちゃんにセミのトスを上げた。
これには、さすがに驚いた#8青ちゃんだったが、それ以上に驚いているスリーメディスンの前衛がノーブロックになっていたのが幸いしてボールを上手く押し込み、相手コートに落とした。
#8青ちゃんが、胸に手を当てながら#6マメちゃんに駆け寄り、「普通にやろう!」と言って笑った。
永竹クラブ17-9スリーメディスン
スリーメディスンは、2回目のタイムアウトを要求した。