都大会出場をかけた大一番。 秋の一般大会 8
「もう情けはかけない!」と言い切った#6マメちゃんのサーブが続く。
#6マメちゃんは、プーアルの自信を無くしコート隅に立っている選手を容赦なく狙ってサーブを打った。
プーアルの自信を無くした選手は、自分の所に向かって来たサーブを、驚いたようにオーバーでレシーブ。しかしそのボールは大きく後ろにはじかれた。
おそらく見逃せばアウトボールだったと思う。
#6マメちゃんのサービスエース。
永竹クラブ11-1プーアル
もう#6マメちゃんの表情に、相手を気の毒に思う気配はない。
スポーツとは言え、勝負をしているのだから当然と言えば当然だが、#6マメちゃんの心中を思うと「偉い!」と陽介は感心していた。
きっと、「チームのために!」と思う心が#6マメちゃんを奮い立たせているのだろう。
#6マメちゃんのサーブが続く。
#6マメちゃんは、またしても自信を無くした選手を狙ってサーブを打った。
プーアルのその選手は、慌ててよけた。
線審の旗が床を指した。
#6マメちゃんのサービスエース。
皆な#6マメちゃんのところに駆け寄り、ハイタッチ。
頭を撫でようとした#2ヤマちゃんに#6マメちゃんが、「頭はやめてくれ~!」と言って後ずさりした。
皆なその様子を見て、大笑い。チームの雰囲気はとても良いと誰もが思った。
永竹クラブ12-1プーアル
永竹クラブの面々が#6マメちゃんに駆け寄りハイタッチをしているころ、プーアルコートでは自信を無くした選手が涙を浮かべながら大声で、「ゴメン!、私プレーするから、バックセンターに戻して!」と叫んでいた。
プーアルのキャプテンは、「ありがとう!、一緒に頑張ろう!」と言って、ポジションをコート隅からバックセンターに戻した。
#6マメちゃんのサーブが続く。
#6マメちゃんが、コート隅に立っている自信を無くした選手を狙おうとサーブを構えた時、その選手がバックセンターにいることを見て、その選手に向かい「行くよ!」と笑顔で声をかけて強いサーブを打った。
バックセンターは、自分を狙うことを宣言して打って来る#6マメちゃんに軽く右手を上げ呼応し、飛んできたサーブに対し、「アウトォォォ~!」と大きな声でジャッジした。
線審の旗は上に上がり、第一サーブはアウト。
プーアルのメンバーは、バックセンターに駆け寄り「ナイスジャッジ!」と声をかけた。
バックセンター行動が、この試合に漂っていた変な雰囲気を吹き飛ばし、双方のプレーヤーやベンチ、そして応援をしている人達を笑顔にした。
#6マメちゃんの第2サーブ。
#6マメちゃんは、バックセンターを狙った。
プーアルは、バックセンターが必死にレシーブ。乱れたボールをバックレフトがこれまた必死につなぐ。そして3コンタクト目をハーフセンターがチャンスボールで永竹クラブコートに返した。
しかし苦しい体勢から返したボールは、ネットを越えるか越えないか微妙な位置に向かっている。
プーアルは、もう誰もボールに触れることは出来ない。ネットに当たる前に触れてしまえばその時点でオーバータイムス。ネットに当たれば9人制特有のルールによる4コンタクト目が認められるが、いずれにせよ微妙な位置にボールは飛んでいた。
双方のチームがボールの行方を見守っている。
永竹クラブの前衛と中衛は、コート中程に上がったボールが、ネットを越えて来ればブロックかアタックで処理しようと、集まっている。
陽介は慌てて、「#8青ちゃんと#19イケさん(両中衛)にませて、両サイドのアタッカーは自分のポジションに戻ってこぼれたボールに対処して!」と早口で指示をした。
ゆっくりと永竹クラブコート中程に向かって来たボール。
中衛レフトの#8青ちゃんが、「ヤァ~!」と声を上げ、ダイレクトでアタックをプーアルコートに打ちつけた。
#8青ちゃんはガッツポーズ。
皆なが#8青ちゃんの所に集まりハイタッチ。
しかし、主審のシグナルはプーアルに得点。
喜んでいる永竹クラブのメンバーに、小刻みに吹笛をしてプーアルの得点であることを伝える。
そして、主審のジャッジは#8青ちゃんのタッチネットだった。
#8青ちゃんは、舌を出して「ゴメン!」と言って永竹クラブの皆なに頭を下げた。
陽介はじめベンチにいたメンバーは、一様にズッコケたが、「切り替えて!、切り替えて!」と声を出した。
プーアルは、必死にレシーブしたバックセンターの所にかけより、「次も怖がらないでレシーブして!、ナイスだよ。ナイス。」と言ってプレーを称えた。
永竹クラブ12-2プーアル
プーアルのサーブ。
永竹クラブは、ハーフセンター#16イソちゃんがオーバーでレシーブ。セッター#6マメちゃんはレフト#2ヤマちゃんにトスを上げた。
#2ヤマちゃんは、プーアルの2枚ブロックからブロックアウトをとった。
永竹クラブ13-2プーアル
永竹クラブのサーバーは、#19イケさん。
バックセンターの#3キーちゃんが中衛ライトに入る。
#19イケさんは、サーブがあまり得意ではない。
山なりのサーブがプーアルコートに向かう。
プーアルは、ハーフセンターがオーバーでレシーブ。セッターはレフトエースにトスを上げた。
レフトエースは、代わったブロックの低い#3キーちゃんめがけアタックを打った。
永竹クラブは、#3キーちゃんが「ワンチぃ~!」と大きな声。
そのボールは、バックレフト#4丘ちゃん後方へ飛んで行った。
#4丘ちゃんは、そのボールをバックステップで追ったが、かろうじて上に出した右手に触れただけで、体はその場で転がった。
プーアルの得点。
#4丘ちゃんのプレーは、決して悪くなかった。必死のプレーだった。
永竹クラブの面々もそれはよく分かっていた。
皆が転がっている#4丘ちゃんの所に集まり、手を差しのべてお越し「ナイスファイト!」と声をかけた。
永竹クラブの大御所も、「ナイスプレー!」と拍手をおくり、子供達も大声援をおくっていた。
永竹クラブ13-3プーアル