都大会出場をかけた大一番。 秋の一般大会 5
永竹クラブのサーバーは、#3キーちゃん。
#3キーちゃんは、#9井口ちゃんと言葉を交わしサーブを打った。
最近の#3キーちゃんと#9井口ちゃんのルーティーンだ。
速くて低いサーブが、プーアルコートに向かった。
プーアルは、バックライトがレシーブ。乱れたサーブカットをハーフセンターがレフトエースに二段トス。
レフトエースは、永竹クラブの高い2枚ブロックめがけアタックを打った。
永竹クラブは、ライトでブロックに飛んだ#1ヨシちゃんが「ワンチぃ~!!!」と大きな声を出した。
そのボールは、#1ヨシちゃんのブロックを大きく弾き、永竹クラブコートライト外側へ高~く上がった。
それをバックライト#9井口ちゃんが、「ハイハイハイッ!」と言って、二段トスを上げようと回り込む。
コート外から、かなり無理な体勢で「青ちゃ~ん、センターに上げるよ~!!!」と言って二段トスを上げた。
センターと言うにはかなりライト側に上がった二段トスだが、中衛レフト#8青ちゃんはそれを予想してたが如くライト側により、アタックを打ち込んだ。
ジャストミートとのアタックとはいかなかったが、それでもそれなりの勢いでボールはプーアルコートに返った。
まさか二段トスが上がり、アタック打ち込んでくるとは想像していなかったプーアルは、バックレフトがかろうじてレシーブ。
ナイスカットとはならず、二段トスをハーフセンターがレフトエースに上げた。
しかしそのトスはネットから離れ、レフトエースは軽く叩いて永竹クラブコートに返した。
永竹クラブは、「チャンス!チャンス!」と大きな声を出して、ハーフセンター#16イソちゃんがオーバーでセッター#6マメちゃんにパス。レフト#2ヤマちゃん・中衛レフト#8青ちゃん・中衛ライトイケさん・ライト#1ヨシちゃんが、一斉に大きな声でトスを呼んだ。
そして#6マメちゃんはレフト#2ヤマちゃんにトスを上げた。
#2ヤマちゃんは、プーアルの2枚ブロックを跳ね飛ばしブロックアウトをとった。
永竹クラブ4-1プーアル
決めたのは確かに#2ヤマちゃんだったが、バックライト#9井口ちゃんの、難しいボールを諦めずに上げた二段トス。そしてそれを打ち込んだ中衛レフト#8青ちゃんがつないだ得点だ。
永竹クラブの面々もそれがわっているかのように、#9井口ちゃんの所に駆け寄りハイタッチ。続いて#8青ちゃんの頭をポンポンと叩いて笑顔になっていた。
もちろんアタックを決めた#2ヤマちゃんにも、「ナイスアタック!」とコートの中で声がかかる。そしてベンチからは「ナイスプレー!」と拍手。観客席から三輪さんと川さんと子供達の歓声と拍手が起こっていた。
プーアルは、永竹クラブのプレーを見て、力の差を感じたに違いない。
#3キーちゃんのサーブが続く。
#9井口ちゃんと言葉を交わし、思いっきりサーブ打った。
しかし第一サーブはネットにかかり失敗。
続く第二サーブ。失敗はよろしくない。なぜなら無条件に相手に1点を献上してしまうからだ。
だが、ただ相手コートに入れるだけのサーブを打ってはならない。と、いつも陽介は選手に言い聞かせていた。
#3キーちゃんは、ややスピードを落としたが、相手のコート奥深くサーブを打った。
プーアルはバックセンターがレシーブ。そのカットはセッターに届かずハーフセンターがレフトエースに二段トス。
レフトエースは、離れた二段トスを打ち切れずオーバーパスで永竹クラブコートに返した。
永竹クラブは、再び来たチャンスボールをバックライト#9井口ちゃんがセッター#6マメちゃんにパス。アタッカー全員がトスを呼ぶ中、#6マメちゃんは「レフト行くよ~!!!」と大きな声を出しながら、ライト#1ヨシちゃんにトスを上げた。
#1ヨシちゃんは、プーアルの2枚ブロックを大きく弾きブロックアウトをとった。
#6マメちゃんの声で、プーアルのレフト側ブロッカーが一瞬ネットを離れレシーブ体勢に入った為、2枚ブロックの内側のブロッカーのブロックが遅れたところを、#1ヨシちゃんは見逃さなかった。
セッター#6マメちゃんと、ライト#1ヨシちゃんのファインプレーだった。
メンバーが#1ヨシちゃんの所に駆け寄ってハイタッチ。#1ヨシちゃんは#6マメちゃんの頭を、これでもか!というくらい激しく撫でて称えた。
レフト#2ヤマちゃんも、ライト#1ヨシちゃんも、相手のブロックを上手く利用している。
無駄な体力を使わないようにしているのかも知れない。
良く考えながらプレーをしてると、陽介は思った。
永竹クラブ5-1プーアル
プーアルは、タイムアウトを要求した。
陽介は、ベンチに戻って来たメンバーに、「ナイスプレー!、今の所言う事はありません!、このままこのまま!」と言って選手の前から外した。
副審のタイムアウト終了の吹笛。
陽介は再びメンバーの前に来て円陣を組んだ。
そしてキャプテン#1ヨシちゃんが声がけをしようとした時、#3キーちゃんが「皆な気を抜いちゃダメだよ!、しっかり集中してこのセットとるよ!」と言った。
それを聞いたキャプテン#1ヨシちゃんは、「皆な、集中して行こう!」と言って、声がけをしてコートに戻って行った。
タイム明け、#3キーちゃんのサーブが続く。
#3キーちゃんは、サーブを打つ前、コートのメンバーに「思いっきり打つから、ダイレクトで返って来たボールを、しっかりレシーブしてぇ~!」と言って、サーブを打った。
しかし第一サーブは、ネット。
少し照れながら、力を加減して第二サーブを打った。
プーアルコートエンドラインに向かったサーブを、プーアルのバックライトが「アウト!アウト!」とジャッジの声。バックセンターはその声に反応し、#3キーちゃんの第二サーブを見逃した。
プーアルは、「アウト」を確信して両手を上げて喜んだ。
しかし線審の旗は、床を指しインジャッジ。
これに不満を表したバックセンターが、線審に何か言った。
続いてプーアルのキャプテンが主審の所に行って、今のジャッジについて質問をした。
主審は、プーアルのキャプテンの質問を受け付け、副審とラインズを呼び話を聞いている。
15秒位話が続いただろうか、副審と線審が定位置に着いたのを確認して、あらためて永竹クラブのサービスエースを認め、インジャッジのシグナルをした。
さらに、主審はあらためてプーアルのキャプテンと、線審に物申したバックセンターに何やら注意を与えコートに戻した。
後でこの件について、担当した主審に聞いたのだが、それによるとプーアルのバックセンターに線審のジャッジにクレームを付けないように言い、キャプテンには次にそのようなことがあった場合には、どの選手であれイエローカードを出しますよと伝えたと言っていた。
プーアルのバックセンターは、不満げである。
明らかに不機嫌な様子が、永竹クラブ側からも見てとれた。
プーアルベンチは、選手を落ち着かせようと、このタイミングで2回目のタイムアウトをとることになった。
永竹クラブ6-1プーアル