表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

321/377

都大会出場をかけた大一番。 秋の一般大会 4

 永竹クラブの第二試合は、プーアル。


 以前も戦った相手だ。


 この試合に勝てば決勝戦に進むことが出来る。


 そして、決勝戦で勝てば、念願の都大会出場が決まる。


 しかし陽介は、「目の前の試合に集中しないと、次の試合は無い!」と永竹クラブのメンバーに強い口調で話し、チームを引き締めた。


 プロトコールが終わり、キャプテン#1ヨシちゃんが走って陽介の所に戻って来た。


 サーブ権は永竹クラブだ!


 願っても無いサーブ権。やはりジャンケンの神様も永竹クラブを応援してくれていると、陽介は勝手に思っていた。


 (当時の9人制バレーボールは、サーブ権をキャプテンがジャンケンで決めていた。永竹クラブのキャプテン#1ヨシちゃんは、永竹クラブ全メンバーでジャンケンを繰り返し繰り返し行った結果、ジャンケンに一番強いという理由でキャプテンになった。もちろん『これからの時間』でたっぷりとお酒が入った状況で行われたキャプテン選考で、その決め方に陽介は不満だらけだったが、今となれば楽しい思い出である。)


 永竹クラブの布陣は、第一試合の蕨クラブ戦と同様。


 第一サーバーは、強烈なサーブを打つバックライト#9井口ちゃんだ。


 双方のチームがエンドラインに並び、主審の吹笛で全員が中央のネットまで駆け寄り握手を交わした。


 続いてスターターがサーブ順に並び、ベンチの控えメンバー共々副審と記録員の確認を受け、あらためて主審の吹笛でコートに入った。


 双方のチームがコート内で円陣を組み、気合を入れて大きな声を出し、それぞれのポジションに散った。


 主審は双方のチームの円陣がとけるかとけないかのタイミングで、大きな音でプレーボールの吹笛をした。


 (当時の9人制バレーボールは、試合開始の合図としてプレーボールの吹笛が行われていた。)


 永竹クラブは第一サーバーの#9井口ちゃんが、副審からボールを受け取り、#3キーちゃんと言葉を交わしてサーブを打つ準備をしている。


 副審の両手が高々と上がった。


 主審に対して、準備OKのサインである。


 この試合もA区の連盟役員の中で、審判の資格を有する者が主審と副審を務めていた。


 主審が小さくうなずき、サーブ許可の吹笛を行った。


 体育館に一瞬静けさが走った中、#9井口ちゃんは、鋭いサーブを打った。


 そのサーブはプーアルのバックセンターのレシーブをはじき、サービスエース。


 ギャラリーで応援していた川さんの「井口ちゃ~ん!、ナイスサーブ!」と言う大きな声と拍手で、静けさが歓声に変わった。


永竹クラブ1-0プーアル


 皆な#9井口ちゃんのところに駆け寄りハイタッチ。


 ベンチも「このまま!、このまま!」と大きな声を出している。


 #9井口ちゃんのサーブが続く。


 主審のサーブ許可の吹笛。


 今度も#3キーちゃんと一言交わし、サーブを打った。


 プーアルはバックライトがレシーブ。乱れたボールをハーフセンターがレフトエースに二段トス。


 レフトエースは、そのボールを永竹クラブの高い2枚ブロック(前衛ライト#1ヨシちゃんと中衛ライト#19イケさん)を避けてアタックを打ち込んできた。


 永竹クラブは、ブロックのコースに入っていたバックレフト#4丘ちゃんがレシーブ。ハーフセンター#16イソちゃんがレフト#2ヤマちゃんに二段トス。


 #2ヤマちゃんは、プーアルの2枚ブロックめがけ思いっきりアタックを打ち、プーアルの2枚ブロックからブロックアウトをとった。


 #2ヤマちゃんは大きな声を出して、ガッツポーズ。


 気合が入っている。


 皆が駆け寄りハイタッチ。


永竹クラブ2-0プーアル


 日頃の練習で繰り返しやっている、二段トスからの攻撃だった。


 陽介は、「ナイスプレー!、これに満足しないで次のプレーに集中するよ!」と大きな声をベンチから出した。


 ビックリすることに、コートにいるメンバーが全員陽介の方を向いて、軽くうなずいた。


 全員が陽介の指示に反応するという、初めての出来事に陽介は驚いたが、それだけ皆な勝ちたいのだととも思った。


 #9井口ちゃんのサーブが続く。


 今度も速くて低くて鋭いサーブ。


 プーアルはハーフセンターがオーバーでレシーブ。乱れたボールを中衛ライトがレフトエースに二段トス。


 レフトエースは、永竹クラブの高い2枚ブロックめがけアタックを打った。


 永竹クラブは、中衛ライト#19イケさんが「ワンチぃ~!」と大きな声。


 そのボールは、プーアルコートに返った。


 プーアルは、中衛レフトがブロックホロー、そのボールをハーフセンターが再びレフトエースに二段トスを上げた。


 レフトエースは、こちらも再び永竹クラブの高い2枚ブロックめがけアタックを打ち、ブロックアウトをとった。


 永竹クラブ2-1プーアル


 プーアルのサーブ。


 永竹クラブは、ハーフセンター#16イソちゃんがオーバーでレシーブ。セッター#6マメちゃんはライト#1ヨシちゃんにトスを上げた。


 しかしそのトスは、普通に打てばネットタッチになってしまうほど、ネットに近かった。


 #1ヨシちゃんは、窮屈な体勢からネット近くに上がったボールを左手で押し込んだ。(#1ヨシちゃんは左利き)


 しかしそのボールはプーアルのブロックに押し込まれ、永竹クラブコートに落ちた。


 セッター#6マメちゃんが、#1ヨシちゃんの所に駆け寄り「ゴメ~ン!」と手を合わせた。


 #1ヨシちゃんは、「大丈夫!、次、次。トスが上がれば私が何とかするから!」と言って、#6マメちゃんに声をかけた。


 陽介は、#1ヨシちゃんの言動に感心していた。


 #1ヨシちゃんも、勝ちたい一心なのだと。


 そしてチームプレーに徹しようとしているのだと。


 中衛ライトの#19イケさんが、自陣のコートに落ちたボールをプーアルコートに返そうとネットの下から転がした時、主審が「ピッ、ピッ、ピッ」と小刻みに吹笛した。


 何事だろうと、主審の方を見上げる永竹クラブの面々。


 しかしその心配と裏腹に、主審は永竹クラブコート側に腕を上げていた。


 ジャッジのシグナルは、プーアルのオーバーネット。


永竹クラブ3-1プーアル


 #1ヨシちゃんが、苦し紛れにボールを押し込んだ時、プーアルのブロッカーがオーバーネットをしてしまったらしい。


 ネットに近いトスを上げてしまったセッター#6マメちゃんは、急に笑顔になり「ラッキー!!!」と言って頭をかいた。


 どうやら、今の所バレーボールの神様は、永竹クラブに微笑んでくれているようだ。


 ジャンケンの神様とバレーボールの神様に微笑まれた永竹クラブは、試合の序盤を順調に戦っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ