秋の一般大会に向けて…。全員参加の練習をするための作戦 2
前回の『これからの時間』でヨシちゃんから提案のあったボーリング大会を開催すべく、青ちゃんと丘ちゃんに連絡とった大御所の三輪さんは、翌練習日の『これからの時間』で両人の都合が合う日が、子供達の夏休みが始まった最初の土曜日、しかも昼間しかないことを報告をし、永竹クラブの出欠を確認することにした。
前回話し合ってから夏休みまでは1週間しかなかったため、この日は両人の都合がつく日の3日前だった。
ここで疑問がわく。
そもそも3日前に出欠をとること自体が極めて急な話だが、ボーリング場とファミレス(宴会会場)の予約は大丈夫なのであろうか?
夏休みに突入した最初の土曜日の昼間に、はたしてボーリング場とファミレスの予約がとれるのであろうか?
普通であれば難しい。何より予約をするにはあまりにも時間が無い。
陽介はその辺のことを、三輪さんに聞いてみた。
すると三輪さんは、「普通はそう思うでしょ?、私達もこの話が出た時ヨシちゃんの提案に舞い上がっちゃって、その辺のことは一切頭に無かった。彩ちゃんだって後から来てあらためて飲みなおした時、「ヨシちゃん、たまには良いことを言うネ!」って盛り上がって、皆なご機嫌で帰ったしね。でも深夜に彩ちゃんからメールが来たのよ。「ボーリング場とファミレスの予約はどうするんですか?」ってね。私もハッと我に返って酔いがいっぺんに覚めちゃった!。結局翌日彩ちゃんから再度メールをもらって、予約してもらったのよ!」と言った。
陽介は、「でも、日程がわからない状況で、よく今度の土曜日を予約出来ましたね?」と再び聞いた。
三輪さんは、「そう思うよね、普通は。でも彩ちゃんは普通じゃないから!…。」と笑いながら言った。
彩姉さんが三輪さんに提案したのは、
①夏休み以降の土曜日と日曜日の17:00から、5レーン貸し切れるボーリング場を探し予約する。
②それに伴い、近くのファミレスを19:00から予約する。
人数は大人と子供を含めて20人で予約するとのこだったそうだ。
しかし、ここでまた陽介には疑問がわいた。
①青ちゃんと丘ちゃんの都合が良いのは、今度の土曜日の昼間。17:00からではないはずだ!
②それに、夏休みに突入して以降に、そんなに都合よく予約がとれるはずは無い!
ということだ。
その疑問を三輪さんに聞こうとした時、「遅くなりましたぁ~!」と彩姉さんが中華料理屋に到着した。
陽介は、あらためてのカンパイもままならない状況で、彩姉さんに直接疑問をぶつけた。
彩姉さんは、取り敢えず生ビールでカンパイを済ませ、「いやぁ~、実は大変だったのよ!、私から言い出したことだから、何とかしなきゃと思ったけど、現実は結構厳しかった!、ヤッパリ夏休み中の間際の予約は難しいわよネ!、でも今度の土曜日で良かった!」と言った。
陽介は、「それはわかりましたけど、17:00からの予約のはずなのに、どうやって昼間の予約を取り直したんですか?、まるで最初から日程がわかっていたように思えるんですけど…」と言った。
彩姉さんが予約のやり方は、、
①A区にあるボーリング場を片っぱしから予約する。(実際には3件のボーリング場で済んだ)
②その予約したボーリング場近隣のファミレスに、予約を入れる。(歩いて行ける範囲のファミレス5件をあたった。最悪ファミレスが予約できなければ、子供も入場できる居酒屋でもやむを得ないと思った。)
であった。
それだけでも、凄い労力と努力だと頭が下がるが、どうしても今度の土曜日の昼間に予約ができたのか納得がいかない陽介だった。
陽介がまたしてもそのことを聞こうとした時、彩姉さんが、「それでね、思い通りの時間に予約が出来なかったのよ。結局今度の土曜日は12:00から、その他の土曜日と日曜日も全部はとれなくて…。三輪さんには予約がとれた日だけを報告したの。そうしたら三輪さんが、「あとは、運を天に任せましょう!」と言って青ちゃんと丘ちゃんに連絡をしたら、あ~らビックリ!、うまくハマったっていう訳!、偶然よ。偶然!」と笑顔で言った。
陽介は、「すご~い!、彩姉さんの労力・努力・執念には本当に頭が下がります。それに彩姉さんは『持ってますネ』、本当に普通じゃない!」と握手をしながら、あらためてグラスを重ねカンパイをした。
そんなことを知ってか知らずか、永竹クラブの出席者は12人、青ちゃんの家族が旦那さんと子供3人で5人、丘ちゃんの家族が旦那さんと子供2人で4人、合計21人となった。
永竹クラブの出席者の内、大御所の2人と彩姉さんはボーリングをプレーせず、子守りに徹するとのことで、大人13人を4人・4人・5人の3組に分け、子供5人を1組、合計4レーンで行うことにした。(予約は5レーンであったが、1レーンを返した)
歓迎会を兼ねたボーリング大会当日、青ちゃんも丘ちゃんも子供から離れ、また旦那さんとも離れ、無邪気にまるで学生のようにはしゃぎながらボーリングを楽しんだ。それぞれの旦那さんも永竹クラブの熟女に囲まれチヤホヤされ、まんざらではない様子でその雰囲気を満喫していた。
ボーリング終了後、子守りをしていた大御所と彩姉さんに引率された子供達は、各々の両親の所に走って行き、「ママぁ~、僕ストライク出した!、あのね私のボールがねゆっくり転がって、白いやつに当たって倒れた!、またやりた~い!」などと、満面の笑みでとっかえひっかえ報告していた。
その姿があまりにも微笑ましく、また永竹クラブの面々も遊んだ充実感からか、皆な笑顔でその様子を見ていた。
三輪さんが子供達に、「皆なぁ~、お腹減ったでしょ!?、これからごはん食べに行くからネ~!」と言った。
ところが子供達は、よほどボーリングが楽しかったと見え、「えぇ~、もっとやりた~い!」と口々に言う始末で、中々その場所から動こうとしない。
すると彩姉さんが、「またボーリングやりたい人ぉ~?」と声をあげると、子供達全員が「はぁ~い!」と手を上げた。
陽介は、火に油を注ぐようなことを言ってどうするのか?と彩姉さんの方を見ていたが、彩姉さんは、「じゃぁね、ママ達がバレーボールで勝ったらまたボーリングをやろう!、オバちゃんが必ず約束守るから、今日はご飯を食べに行こうネ!、わかった人ぉ~!」と言うと、青ちゃん・丘ちゃん親子ともどもそして永竹クラブの面々も、元気よく手を上げて「ハーイ!」と言った。
彩姉さんは3人の子供を育て上げた賢母でもあるが、さうすがにツボを心得ていると陽介は感心した。
そして同時に、いつの間にか大人までその気にさせてしまった。
ホッキョクグマ恐るべし!!!!!
さて、ご機嫌でボーリング場を後にした御一行は、徒歩でファミレスに向った。
予約していたパーティールームでは、これまた大御所が子守りをかって出て、青ちゃん・丘ちゃんの夫婦に食事(飲酒)を楽しむように配慮した。もちろん子供達は大御所を『お婆ちゃん』と呼びながら遊具で遊びながら、一緒に食事もした。
素晴らしい気遣いで始まった宴会。しかしこの後ファミレスの店員から、「お客様、誠に申し訳ありません…」という切り出しで、頭を下げに来てしまう出来事があった。
永竹クラブらしいと言えばその通りだが、ファミレスの店員もきっと予想外の出来事であったのであろう。