秋の一般大会に向けて…。全員参加の練習をするための作戦 1
陽介は、連盟顧問に相談した内容と助言を『これからの時間』で話した。
連盟顧問から、「メンバー全員が揃わなくても、出来る練習はある。」と助言され、どのような練習が出来るか?皆なと一緒に考えたかったからだ。
しかし、大御所をはじめ皆から出る意見は、
①アタッカーの代わりがいないんだから、チーム練習は難しい。
②あの2人が秋の一般大会までほとんど練習に来れないのであれば、別のフォーメンションを考えるべきだ。
③別のフォーメンションを考えるのは良いけど、前衛でプレー出来る人がいなければ、オーソドックスなフォーメンションではなく、極めて複雑なポジションを考えなくてはならなくなる。
④複雑なフォーメンションを練習するには、時間が無さすぎるし私達では対応出来ない。
などであった。
こうした意見が飛び交う中、ヨシちゃんが、「ねぇ、ねぇ。皆な2人がいない事を前提に話しているけど、この問題は2人が練習に来れるようにすればいい事なんじゃんない?」と言い出した。
陽介は、「だから、2人が来れない前提で話をしているんだよ!、ヨシちゃんは人の話を聞いてないでしょ?。2人が練習に来れるんなら、誰も何も悩まないんだよ!」と、ムッとしながら強めの語気で言った。
ヨシちゃんは、「それは良く分かってる。でもさっき陽ちゃんは連盟顧問が、「練習が出来ない(参加出来ない)メンバーが、自分が必要とされている。チームもその人を必要としている。そうゆう風に思いもわせることも重要なことだ!」って助言されたと言ってたじゃない!」
「そうだよ。」と陽介は言った。
続けてヨシちゃんが、「だから、2人が練習に参加出来るような環境やチームの思いを、伝えるようにすればいいんじゃない?」と言った。
陽介はさらに語気を強め、「今までも、そういう風にやってきたじゃない。でも現実練習に参加出来ない事情が変わらないから、どうしたら良いか皆なで考えようとしてるんじゃないか!、ヨシちゃんはいつも無責任に話をするけど、じゃぁヨシちゃんには何か良い作戦でもあるの?、この際だからハッキリ言うけど、具体的な作戦や方法もないのに無責任に発言するのはやめてくれ!」と言った。
これには陽介の様子を見ていた大御所も、さすがに「陽ちゃん、言い過ぎよ!、ヨシちゃんだって良かれと思って話をしているのに…。もう少し落ち着いて話をしましょう!」と陽介を注意した。
「それでヨシちゃんには、何か良い作戦があるの?」と大御所は続けて言った。
するとヨシちゃんは、「永竹クラブが2人を必要としている思いが伝わることと、2人が必要とされていると、今以上に認識してもらえる場を作りたいと思いま~す。そのために、学校や幼稚園が夏休みに入ったら直ぐに2人の歓迎会と称し、ボーリング大会を開催したいと思いま~す。2人の子供や旦那さんも含めた家族全員参加で!。ボーリングの後はファミレスで親睦会をやれば子供の食べ物もたくさんあるし、お酒を飲む人はお酒もあるし問題無く親睦が出来ると思いま~す。2人とその家族の費用は、永竹クラブの参加者全員で割れば大きな金額にならないし、ボーリングも子供はガーターを無くす器具を使えば、子供も楽しめると思いま~す。そして2人の家族が揃っている前で、あらためて永竹クラブが2人を必要としていることを伝えてみるというのは、どうですか?」と話した。
確かに、家族に対して家庭婦人である青ちゃんや丘ちゃんを、永竹クラブが必要としていることは話したことはない。
打開策が浮かばない状況では、1歩前に進んで話をするという意味で、一理も二理もあると思ったのか皆なヨシちゃんの話を真剣に聞いていた。
大御所も、「やってみようか?」と言ったが、良さそうな案が出れば当然否定をしたがる者も出てくる。
ある者は、「別に悪いってことはないんだけど、なんで2人のためにそこまでやらなきゃいけないの?」と言い、またある者は、「歓迎会を兼ねて、ボーリング大会や親睦会を家族同伴でやるのはいいけど、その費用を永竹クラブだけで割るのは、どうかしら…?」と言った。
ごもっともな言い分でもある。
しかし、ヨシちゃんの提案以上の案が出て来ず、大御所から「とにかくやってみましょう!、夏休みは来週からだから私が連絡してみるから、ヨシちゃんは会場を予約してね。ファミレスはボーリング場近くのパーティールーム(大き目の個室)が有るところがいいわ。それと確かに2人の費用を永竹クラブだけで割るのは相手も気にしてしまうだろうから、どうかしら1家族2000円、合計4000円を会費としてもらうというのは?」と話が出た。
陽介は、意外にもヨシちゃんが具体的な考えがあって話をしていたことに驚き、また語気を強めてヨシちゃんに発言したことを申し訳なく思い、ヨシちゃんに詫びを入れた。
ヨシちゃんは、「気にしないで!。こういう時もあるから…。」と笑顔で許してくれた。
ず~っと黙っていた和気ちゃんは、この状況を早速彩姉さんに携帯で伝え、「陽ちゃん、彩ちゃんがこっちに来るから、絶対に帰るな!って伝えるように!だってさ。」と、ネギチャーシューをほおばっている陽介に言った。
はたしてどうなることやら、いずれにせよこの後大御所が2人に連絡をとり、意外にも簡単に旦那さんを含めた2人の家族が参加することになった歓迎会と称する、ボーリング大会・親睦会が開催されることとなった。