表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

306/377

お仲人さんからの突然の電話

 地方遠征の親睦大会が終わり、永竹クラブはその年の戦いを終えた。


 忘年会はいつもの通り、いつものメンバーで行い、年が明けて永竹クラブの『公式飲み会』である新年会が、猛獣コンビの主導で決めたお店で行われた。


 相変わらず低予算でありながら、豪華で美味しい店を探してきて皆なを満足させる。


 猛獣コンビは、さすがだ!


 確か以前の新年会は、『超』が付く有名天ぷら店で行ったと記憶している。


 約2時間、楽しいひと時を過ごした永竹クラブの面々は、今年の活躍を誓い、都大会出場の目標を掲げ三本締めで、お開きとなった。


 そしていつものように、数名を引き連れて中華料理屋のママさんにお土産を持って行くことになった。


 その数名の中には、当然陽介もいるはずだったが、陽介は前日からの体調不良で、新年会会場でもほとんど酒を飲まずにいた事情から、さすがに猛獣コンビも陽介の不参加を容認した。


 そして陽介が帰宅をし、軽く缶ビールを飲んで寝ようとしていた時、陽介の携帯に電話がかかって来た。


 陽介は、どうせ猛獣コンビからの電話だと思い、「あぁ~ぁ、面倒くさいなぁ!」と思いながら携帯を手に取ったが、その着信表示名は『お仲人さん夫人』だった。


 慌てて陽介は電話に出て、「ご無沙汰をしております。お元気ですか?」と応対した。


 陽介は学生時代からアルバイトをしていた前職の会社に就職したが、その会社に在籍中に結婚した。


 アルバイト時代からお世話になっていたその当時の上司に仲人をお願いしたのだが、上司は若くして他界。その後も年末年始のご挨拶などの交流はあったので、お仲人夫人から電話があるのは不思議なことではない。


 しかし、この時は暫く会っていなかったので、突然の夜の電話に陽介は「何かあったのか?」と多少驚きながら電話に出たのであった。


 お仲人夫人の電話の背後は、かなり騒がしく大人数がいる場所からだと想像出来た。


 おそらくは、飲み屋かと…。


 お仲人夫人は、「陽ちゃん、ご無沙汰。ところで陽ちゃんはまだバレーボールやってるの?」と、江戸っ子のお仲人夫人は、簡潔にそして気さくに聞いて来た。


 陽介は、「はい。今A区の9人制バレーボールチームの監督をしています。」と答えた。


 するとお仲人夫人が、「良かった!、陽ちゃんに見てもらいたいチームがあるのよ!、今その人と代わるからね!」と、陽介の返事も聞かずに電話を代わった。


 代わって電話に出たのは、酒焼けで声がかれた様子の女性であった。


 その女性が話すには、


 ①某地区の、家庭婦人チームでプレーをしている。

 ②某地区は60以上のチームが加盟していて、1部~8部ある。

 ③自分の所属しているチームは8部で、練習するも中々勝てず、昇格出来ないでいる。

 ④ついては、陽介に監督としてチームを見てもらいたい。


 とのことだった。


 陽介は一通りその女性の話しを聞いた後、「お話は分かりました。しかし今僕は他のチームの監督をしているので、練習日が重なったり試合日が重なったりするとそちらのチームを見ることは出来ません。したがって、現状ではチョッと難しいかもしれませんネ!」と答えた。


 しかしその女性は、「そのような場合は、どうぞ今監督をしているチームを優先して結構です。何とか私達のチームを見てもらえないでしょうか?」と重ねて話しをして来た。


 陽介は、お仲人夫人からのお願いということもるので、無下に断る訳にもいかず、「分かりました。ただ貴女とは一度もお会いしたことがないし、貴女のチームと監督としての僕との相性もあると思います。まずはお仲人夫人と一緒に貴女とお目にかかり、その上で一度練習を見学しに行き少し練習を付き合いますので、その後で僕に監督を頼むのか?頼まないのか?、また僕が監督をさせていただくか?について、あらためて考えるというのは如何でしょうか?」と答えた。


 その女性は、「分かりました。宜しくお願いします。」と言い置き、お仲人夫人に電話を代わった。


 陽介はその女性との話しを、お仲人夫人に簡単に説明をし、一緒に会う日の都合を伺った。


 お仲人夫人は、一緒に会う日を決めた上で、早々と「陽ちゃん、監督してあげてネ!、宜しくね。」と言って電話を切った。


 陽介は、慌ててA区の連盟役員で競技委員である人に電話して、「色々な事情があって、同時に2チームの監督をやることになるかも知れないのですが、ルール上問題がありますか?」と聞いた。


 結論としては、ルール上全く問題はないとのことだったが、A区の連盟役員は、「陽ちゃん、永竹クラブだけでも大変なのに、もう一つ監督をやるなんて大丈夫なの?、体力的にも大変だよ!」と言い出す始末だった。


 陽介も、「お仲人夫人からの話しなので、無下には断れない状況ですが、まだ監督をやるって決まった訳ではありません。先方のチームが僕を見て断って来るかもしれないし…。ただ、もし監督を引き受けることになった時、ルール上はどうなのか心配だったのでご連絡させて頂きました。」と伝えた。


 結局陽介は、お仲人夫人から紹介されたチームの監督になるのだが、これが物凄いチーム。


 何が物凄いかというと…。


 ①家庭婦人チームであるが、構成員が若い。

 ②構成員が若いから、子供も小さく練習中に歩行器でコートに入って来たり、子連れで来る構成員が

  多く、練習中でありながら「ママぁ~、おしっこ!」などの呼びかけで練習が中断する。

 ③そもそも、ほぼ全員がバレーボール初心者で、サーブがネットを越えないような状況である。

 ④しかし、酒は飲む。


 などであるが、とてもその凄さを書ききれない。


 なので、ここでは永竹クラブの話しを続ける。


 お仲人夫人に紹介されたチームでの、陽介の監督奮闘記は、それはまた別の話し。


 あらためて紹介させて頂く。 乞うご期待!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ