2回目の遠征 親睦大会 2
親睦会の会場に入った永竹クラブの面々は、皆な口元にハンカチやタオルをあてていた。
結構な量のお酒を飲んだので、他の人に酒臭いと言われないためだそうだ。
企業の担当者が、取り敢えず各チームごとにテーブルに座るように指示をし、「これから明日の対戦相手の抽選を行います。対戦相手が決まったらそのグループであらためてテーブルを決めて座って頂きますので、絶対にテーブルのお皿を触らないようにお願い致します。」とアナウンスした。
陽介は、「おかしいな?、確か彩姉さん達は企業の担当者に根回しして、永竹クラブとの対戦相手を意中のチームになるようお願いしたって言ってたけど、抽選じゃどうなるか分からないじゃない?」と思い、彩姉さんに聞いてみた。
すると彩姉さんは、「私も抽選って聞いて、チョッと不安になってるのよ。でも担当者は「分かりました。出来るだけ永竹クラブが意中のチームと対戦出来るように、考えてみます!」と飲み会で言ってたから、きっと何か作があるのよ。取り敢えず見守りましょう!」と、若干顔を引きつらせて答えた。
全員が席に着くと企業の担当者が、「それでは対戦相手の抽選を行います。いつものように、最初は各地域の代表チーム3チームが1グループになって予選リーグ戦を行います。そして各リーグの1位のチームが、決勝リーグを行い順位を決めます。試合当日は時間の関係もありますので、決勝リーグの全ての試合が最後まで出来るかはわかりません。その場合はその時点で勝敗を決めます。また最後の試合がフルセットになっている場合に時間が来てしまったら、その時点で点数の多い方を勝ちとします。優勝・準優勝・3位の決め方は、決勝リーグでの勝ち数・勝ち数が同じ場合は失ったセットが少ない方・以上の2つが同じ場合は、総得点数の多い方、全てが同じ場合はジャンケンで決めます。それでは各チームのキャプテンは会場前方にお集まり下さい!」とアナウンスをし、抽選箱に入っているチーム名を記載した紙を順番に引かせた。
そして、ステージにあるホワイトボードの対戦表にチーム名を書いて行き、抽選会を終了した。
続いて企業担当者が、「それでは対戦するチームごとにテーブルにに座って頂きます。チーム人数にもよりますが、各予選リーグのグループでおおよそ2~3テーブルになると思います。」 とアナウンスし、全員を席に着かせた。
永竹クラブの対戦相手は、昨年と同じ『八葉クラブ』と今回初めて対戦する『燕クラブ』。
陽介は、A区の役員と大御所(合計4名)に、八葉クラブの役員と監督と選手1名(合計3名)、燕クラブの役員と監督と選手1名(合計3名)と一緒のテーブルで親睦を深めることになった。
早速八葉クラブの監督さんが、「昨年は、大変にお酒をご馳走なりまして、ありがとうございました。今年も楽しみにしています。」と、笑顔で大御所に挨拶をしに来た。
また、燕クラブの監督さんも、「うちの地域の役員から、永竹クラブさんがお酒が大変強い!という評判を聞いています。昨年は夜遅くまで盛り上がったって、他のチームから伺いました。今年は私達もまぜて下さいネ!。宜しくお願い致します。」と、こちらも笑顔で挨拶に来た。
永竹クラブは、大御所の三輪さんが、「試合の評判が良ければいいのですが、お酒の評判とは全くもってお恥ずかしい。皆さん、こちらこそ宜しくお願いします。」と挨拶を返した。
陽介も、三輪さんの挨拶に合わせて頭を下げ、挨拶をかわした。
企業のお偉方さんの挨拶が終わり、今回の開催県チームのキャプテンが乾杯の音頭をとって、親睦会が始まったが、その直後に彩姉さんと和気ちゃんの猛獣コンビが陽介の所にやってきて、「チョッと陽ちゃん、こっちに来て!」と言って、陽介を会場の外に連れ出した。
陽介は、「どうしたの?」と彩姉さんに聞いた。
彩姉さんは、「あの企業の担当者、話しが違うのよ!、全然意中の対戦相手じゃないのよ!、どうしよう!?、八葉クラブさんには当日対戦がなくても二次会は部屋で飲もう!って言ったけど、『燕クラブ』さんの情報は全くないし…。陽ちゃん、企業の担当者に、どうして対戦相手がこういう結果になったのか?聞いてきてもらえないかしら?」と言って来た。
陽介は、「そんなの自分で聞けばいいじゃないですか?何で僕が聞きに行かなきゃならないんですか?」と不満げに言ったが、猛獣コンビの圧力には勝てず、渋々と企業担当者に聞きに行った。
企業の担当者は、「ごめんなさいね。彩さんと和気さんにはいつもご馳走になっているのに、永竹クラブの意中の対戦相手にならなくて…。自分の中でお二方の意向に沿えないかと考え、仲間とも相談したんですが、公平に対戦相手を決めるには、いつも通りの抽選でやるしかないという結論に達しまして…。本当にゴメンナサイ!」と話してくれた。
陽介は、さもあろうと思い、「いやいや、ご迷惑をかけたのはあの2人です。担当者を困らせるような事を言って、本当に申し訳ありませんでした。」と2人の強引さを詫びた。
すると担当者は、「でも、いつもお2人にご馳走になっていましたので、何か後ろめたさがありあす。」と申し訳なさそうに言った。
「そんなことは気にしないで下さい!、本人達も意中のチームと対戦出来るなんて思ってないと思いますよ。希望を話していただけだと思います。本当にゴメンナサイ。」と陽介はホローした。
それを聞いた担当者は、「監督さんにそう言ってもらうと、何だかホッとします。ありがとうございます。」と言い、続けて「それにしてもあの2人はお酒が強いんですネ!私も仕事柄お酒の席ににはよく行くのですが、お2人のようにお酒を召し上がるご婦人を見たことがありません。それにもの凄く楽しくお酒を召し上がっていて、その姿を拝見するたびに、私もああいう風に歳を重ねたいと思いました。」と言った。
陽介は慌てて「あの2人は特別です。決してあのように歳を重ねないよう助言します。」と真顔で言った。
「でも、私からもお2人にお詫びをした方が良いですよね?」と担当者言うので、陽介は「ついでの時に、対戦相手は抽選で決めるようにと、会社から指示があったので…。とでも言っておけば良いと思います。僕も2人には、会社の指示で抽選になった!と言っておきますので…。かえってお気遣いをさせてしまい申し訳ありません。」と言い、担当者との話を終えた。
陽介が担当者と話が終わったのを見て、違うテーブルに座っていた猛獣コンビがスクット立ち上がり、陽介を会場の外に連れて行った。
「陽ちゃん大変よ!、八葉クラブさんはもとより、今回対戦する燕クラブさんも、昨年対戦した国吉クラブさんも、二次会に来たいって言ってるの!、これじゃぁ私達の作戦が功をなさなくなっちゃう。どうしよう!?。で、担当者は何だって?」と彩姉さんが、既に親睦会前にしこたま飲んでいたせいで物凄く酒臭い息で陽介に言った。
陽介は、ハンカチで鼻を覆いながら「物凄く酒臭いんですけど!!!」と言い、続けて「永竹クラブが酒好きだと言う噂がだいぶ広がっているようですね。彩姉さん達が参加チームの戦力を探っていたように、他のチームも永竹クラブを探っていたということですね。いいんじゃないですか?皆な親睦を第一の目的にこの遠征に来たんですから。そうそう担当者は、会社の指示で抽選になったと言ってましたよ。」と言った。
猛獣コンビは、「会社の指示じゃ、しょうがない。」と言って、アッサリ引き下がったが、「そんなことより、他のチームがたくさん二次会に来ちゃったらどうしよう?、絶対にヤバイよ!、作戦も遂行出来ないし…。それに…。」と言った。
陽介は、「それに…、何ですか?」と聞いた。
すると彩姉さんは、「大人数が二次会に来ちゃったら、絶対酒が足らなくなる!、どうしよう!?」と言った。
陽介は、「ご自由に!」と言ったが、作戦が遂行出来ないことよりも、酒が足らなくなる心配をしている猛獣コンビを愛おしく思いながら、席に戻った。
席に戻った陽介は、大御所に今の出来事を報告しようと三輪さんに話しかけたが、三輪さんは下を向いたまま陽介の話を聞こうとしない。陽介が「三輪さん!、実は…」とあらためて話しかけた時に、三輪さんがテーブルの下で、二次会で話す予定のA区の歴史について、自分で書いて来たメモを確認していることに気付いた。
陽介は、「俺、し~らねぇ!」と、隣の八葉クラブの監督さんにビールを注いで会話を始めた。




