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夢破れた11月の一般大会 『これからの時間』 7

 陽介は、「これからは、ほめることに徹しようと思います。例えばさっきヨシちゃんが言っていたサーブをミスした時は、「いやぁ~、残念!、一生懸命サーブを打ったのにぃ~!、相手に点数が入っちゃったけどしょうがないよね!、次はレシーブ頑張って!」とか、「しょうがないよ、サーブをミスって相手に点数が入っちゃったけど、女の子だから仕方によね。次は女子力で点数を取ってネ!」」とか言うようにします。


 チャンスボールのパスや、レシーブをいい加減にした時も、「仕方ない。雑なプレーだったけど、普段の練習が足らないから、しょうがないよ!、下を向かないで笑顔で次のプレーをしよう!、大きな声を出すと喉がやられるから、黙ってていいよ。だって女子は、試合中より普段の可愛い声が重要でしょ?」と言うように気を付けます。


 相手の流れになってしまって、タイムアウトをとってベンチに戻って来た時も、「今は相手の流れになっているから、自分達のプレーで自分達のリズムにして行こう!、そのためには、いい加減なパス・レシーブ。ミスをしても笑顔で下を向かず、大きな声を出さずに、無理をせず頑張ってネ!」と励ますように気を付けます。


 「バレーボールにおける全てのプレーにおいて、皆さんが選手ではあるけど女子だから出来ないと言っている言い訳や、もっと優しい物言いをしてほしいと、自分達のミスや士気に対しての指摘ではなく、臭い物には蓋をガッチリと閉めて、むしろ誉めるように気遣います。これで問題ないですよね?、きっと周りで聞いている人達は、「永竹クラブはミスをしても相手に点数が入っても、いつも笑顔で静かにプレーをしていて、おしとやかでつつましい家庭婦人チームだ!、うらやましい!、勝っても負けてもいつも一緒だから…。」と思うでしょうネ!、そして僕ももう少しほめ言葉を勉強してチームが窮地の状況でも、叱咤激励するのではなく「せっかくほめて木に登ったんだから、木の上でしばらく休んで、皆なが木に登って来るまで待ってなよ!、皆なが木に登ってくれば木の上でバレーをやろうよ!」と奨励激励に言うようにしますから…」と、嫌味たらたらで言った。


 さらに、「それともう一つ肝心なことを言います。皆さんは「私達に気遣いを!」とのたまっていましたが、逆に僕に気遣いをしていますか?、飲み会の事を言っているのではありません。あくまでもバレーのことです。一応僕は皆さんの総意で監督を引き受けたつもりです。永竹クラブの実力からすれば、監督=指導者です。その僕に対して一般常識の範囲の気遣いを皆さんはしていますか?練習しかり試合もしかりですが…。あえてオバサン達と言いますが、自分達の言い分は一生懸命言う。しかしそれについての異論は、議論をする以前に受け入れない。そして妙な仲間意識から、普段はさほど仲良くも無いのにその異論がごもっともであっても、それを言ったオバサンをかばい正論を言っている方を責める。そういったことが貴女達にもありませんか?上げた拳を降ろせず自ら事をこじらすことはありませんか?大御所を前に僕のような若輩者が誠に失礼なこととは思いますが、永竹クラブにもそのようなことを感じます。僕の口汚い物言いは、この場から十分に気を付けるようにします。皆さんも僕に対してこの場から気を遣って下さい。」と言って、席に座った。


 さすがに最後の部分は、皆な静かに聞いていたが、陽介の想像通りヨシちゃんが「陽ちゃんのそういう所が嫌なんです。だって私達に対する嫌味を言っただけじゃない!しかも思いっきり!、私は陽ちゃんにそんな『ほめ殺し』をしてほしい訳じゃなくて、もっと優しく言葉を選んで指導してもらいたいんです!」と言い出した。


 陽介はすかさず、「ヨシちゃん、僕が優しい言葉で指導するこで貴女達のプレーが良くなると、本気で思っていますか?、僕は暴力をふるったことは一度もありませんし、暴言を吐いたこともありませんよ。もっともブラックジョークがブラックすぎたことはあったかもしれませんが…。要するにヨシちゃんや数人は自分のプレーを否定されるのが嫌なだけなんです。もちろん誰しも自分のプレーを否定されるのは嫌に決まっています。しかしながら、ママさんバレーは最低9人でやるスポーツです。従って1人が良くても或いは1人だけが満足してもチームは勝てないのです。だから叱咤激励をするのです。特にキャプテンや中心的な選手に対しては叱咤激励するのです。それはその人に言っているだけではなく、チーム全体を叱咤激励しているのです。まぁ時々個人に言っている時もありますが…。そのことをヨシちゃんはわかっていませんがね。そして皆なの意識が同じ方向を向いてくれれば、そのチームは良いチーム、強いチームになるのです。僕は永竹クラブがそういうチームになるように指導しているつもりですが、どうしてもそれが気に入らずヨシちゃんの言うことがごもっとだ!と考えるなら、どうぞ僕をクビにして自分達に合う監督をさがして下さい。僕に遠慮することはありません。」と言った。


 すると大御所の三輪さんが、「陽ちゃん、チョッと待って!」と立ち上がった。  

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