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都大会を目指す永竹クラブ。11月の一般大会 13

 3セット目(本日の最終セット)が始まった。


 陽介は、自信を失っている#4川さんとケガで未だに#9井口ちゃんの友人である看護師さんに診てもらっている#19イケさんをベンチに置き、2セット目終了時の布陣で臨んだ。


 サーブ権は永竹クラブ。


 サーバーは#13シズさん。


 #13シズさんはあまりサーブが得意ではない。


 主審のサーブ許可の吹笛。


 #13シズさんは、渾身の力でサーブを打った。


 しかし山なりのサーブ。


 スリーメディスンは、バックセンターが下がる。なお下がる。さらに下がる。


 バックライトが、「入ってる!、入ってる!」と大声でジャッジする。


 バックレフトも、「入ってるっ~!」とジャッジする。


 だが、バックセンターは、その山なりのサーブを見送った。


 スリーメディスンのメンバー全員が、線審を見つめた。


 線審は、首をかしげながら旗を上げた。


 スリーメディスンのメンバーは、「危ねぇ~!」と胸を撫で下ろしたが、主審が「ピッ、ピッ、ピッ」とこまかく吹笛をし、担当線審と副審を自らの所に呼び寄せ、今のジャッジについて確認を始めた。


 5~6秒位の確認であったろうか、線審と副審が定位置に戻ったところで、あためて吹笛があり、結果は第一サーブ失敗。エンドラインギリギリに落ちた#13シズさんの第一サーブはアウトであった。


 (多くの地域のトーナメントによる大会では、家庭婦人大会であろうと一般大会であろうと、原則各試合の直前に負けたチームが線審・記録・得点係をすることになっていた。(第一試合は連盟が指定するチームが行うことが多かった。)A区の決勝戦の場合、主審・副審は連盟の審判資格を有している者が行い、永竹クラブに準決勝で敗けたチームから半分の人数、スリーメディスンに準決勝で負けたチームから半分の人数が線審・記録・得点係をしていた。勿論例外もあり、主審・副審・記録を含め全部の審判を審判資格を有す者が行ったり、またその逆に、全部を準決勝で負けたチームが行うこともあった。したがって、ジャッジに慣れていない人が線審をすると、ボーっとしていたり、ゲームを見入ってしまったりして、ボールの着地点を見ておらず、トラブルになることもあった。審判アルアルである。)


 #13シズさんの第二サーブ。


 今回も力の限り打ったが、やはり山なりのサーブだった。


 スリーメディスンは、ハーフセンターがオーバーでレシーブ。セッターは高身長のレフトアタッカーに高いトスを上げた。


 高身長レフトアタッカーは、ジャンプ一番高い打点から、無いのと同じ中衛ライト#11和気ちゃんのブロックめがけアタック打った。


 永竹クラブは、ノーブロック状態から打ち抜かれる物凄いアタックを、顔面を痛打しているハーフセンター#16イソちゃんがレシーブ。


 しかし、そのレシーブしたボールは、相手コートに直接向かい、大きくエンドラインを割りアウト。


 高身長レフトアタッカーは、ガッツポーズ。


 #16イソちゃんも、良いコースでレシーブをしたが、残念な様子。


 永竹クラブの面々は、「大丈夫!、レシーブ出来る!、次!、次!」と声を出し、サーブレシーブの準備に入った。


永竹クラブ0-1スリーメディスン


 スリーメディスンのサーブ。


 永竹クラブは、またもバックレフト#13シズさんが狙われる。


 #13シズさんは何とかレシーブ。そのボールをレフト#17よっちゃんがホロー。3コンタクト目を中衛レフト#8ハリちゃんがチャンスボールで返した。


 スリーメディスンは、チャンスボールをバックレフトがオーバーでセッターに返す。セッターは再び高身長レフトアタッカーに高いトス。


 高身長レフトアタッカーは、同じように永竹クラブのハーフセンター#16イソちゃんめがけアタックを打ち決めた。


 スリーメディスンは、永竹クラブの中衛ライトが#19イケさんから#11和気ちゃんに代わってから、チャンスボールが返ってくると、同じ攻撃を繰り返す。


 永竹クラブは、2セット目終盤からその攻撃になす術が無い。


永竹クラブ0-2スリーメディスン


 スリーメディスンのサーブが続く。


 永竹クラブは、相変わらずバックレフト#13シズさんが狙われる。


 #13シズさんは、サーブレシーブをはじいた。


 スリーメディスンのサービスエース。


永竹クラブ0-3スリーメディスン


 スリーメディスンのサーブが続く。


 またバックレフト#13シズさんにサーブが飛んできた。


 #13シズさんは、何とかコート中程にレシーブを上げた。


 そのボールをバックセンター#3キーちゃんが、レフト#17よっちゃんに二段トスを上げようと試みるも、ハーフセンター#16イソちゃんとお見合いをしてしまい、慌ててアンダーでボールをつないだが、3コンタクト目を中衛レフト#8ハリちゃんがチャンスボールを返した。


 スリーメディスンは、バックセンターがオーバーでレシーブ。セッターは、やはり高身長レフトアタッカーに高いトスを上げ、高身長レフトアタッカーは同じように決めた。


 バックレフト#13シズさんがサーブで狙われ、誰かがそのボールをつなぎ、それを中衛レフトハリちゃんがチャンスボールで返すというパターンが続き、スリーメディスンはやはり同じように高身長レフトアタッカーが攻撃をする。


 サーブカットがある程度上がらないと、いくら弱小地区の決勝戦でも、中々良い内容の試合は出来ない。


 永竹クラブも、2セット目終盤からほぼ同じメンバーしかボールを触れない状況が続いているが、その他のメンバーもボール触れないとはいえ、その都度次のプレーを予測して動いている。決してボーっとして体を休めている訳ではない。(勿論、#11和気ちゃんは(ジャイアントパンダ)は別格。体を休めているとは言わないが、動こうにも重くて動けない訳で…)


 したがって、一見無駄な動きでも、体力的にはかなり消耗をする。


 そして自チームの得点にならないと、精神的にも消耗する。


 永竹クラブは、2セット目からその状態が続いている上に、積み重なる疲労も手伝い、皆なの疲れがピークに迫っているように陽介には思えた。


 陽介は、早目のタイムアウトを要求した。


永竹クラブ0-4スリーメディスン


 メンバーがベンチに戻って来ると、開口一番#13シズさんが「ゴメン~!、私が狙われちゃって。」と皆に詫びた。全員が多分そう思っていたに違いないが、陽介は「皆でホローしよう!、チームで頑張ろう!」と言った。


 それを聞いていた#4川さんは、自分が弱気になってベンチに下がっているせいか、下を向いていた。


 陽介は、「タイムが明けたら、バックレフトに#9井口ちゃんとバックライトに#13シズさんを入替ます。姑息な手だと言われるのであれば甘んじて受けます。しかし何とかしてこの状態を抜けて自分達のリズムを取り返さないと!、ただ直ぐに相手が気付くと思うから、タイムが明けた最初のプレーが重要ですよ!、何回も使えないと思うので…。」


 さらに陽介は、#8井口ちゃんと#13シズさんに「主審のサーブ許可の吹笛があってから、相手のサーバーが打つまでに若干の時間があります。ついては、そのわずかな時間を利用してポジションをチェンジして下さい!、最初からポジションを変えてレシーブの準備に入らないように!」と付け加え、円陣を組みキャプテン#1ヨシちゃんに声がけさせて、コートに送った。


 ベンチからコートに戻る時、#3キーちゃんと#9井口ちゃんと#13シズさんが言葉を交わし、コートに入った。

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