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都大会を目指す永竹クラブ。11月の一般大会 8

 #6マメちゃんの息子が高熱を出して、やむを得ずメンバーチェンジをし、2セット目に向かった永竹クラブだが、ここでコートのメンバーをあらためて整理してみると、


 前衛レフト   #17よっちゃん

 中衛レフト   #8ハリちゃん

 セッター    #2ヤマちゃん

 中衛ライト   #19イケさん

 前衛ライト   #1ヨシちゃん(主将)

 ハーフセンター #16イソちゃん

 バックレフト  #4川さん

 バックセンター #3キーちゃん

 バックライト  #9井口ちゃん


 ベンチには、#11和気ちゃん・#13シズさんの2名。


 またサーブ順は、ここ1年間、後衛のレシーバーからバックライト#9井口ちゃん ⇒ バックセンター#3キーちゃん ⇒ バックレフト#13シズさん ⇒ ハーフセンター#16イソちゃん ⇒ 前衛レフト#2ヤマちゃん ⇒ 中衛レフト#8ハリちゃん ⇒ セッター#6マメちゃん ⇒ 中衛ライト#19イケさん ⇒ #1ヨシちゃんの不動の順番でサーブを打っていた永竹クラブだが、メンバーチェンジにより2セット目は、 


 #6マメちゃんとメンバーチェンジした#4川さん ⇒ #19イケさん ⇒ #1ヨシちゃん ⇒ #9井口ちゃん ⇒ #3キーちゃん ⇒ #13シズさんとメンバーチェンジした#17よっちゃん ⇒ #16イソちゃん ⇒ #2ヤマちゃん ⇒ #8ハリちゃんの順番となり、前衛と後衛のサーブ順が多少複雑となってしまった。(当然今までもこのパターンはあったが、試合中にコートのメンバーが帰らなくてはならない状況は初めてであった。ましてや一般大会の決勝戦である。)


 サーブ順を間違えると、無条件に相手に1点が入り、尚且つ相手にサーブ権が移る。そして自軍のサーバーは、次にサーブを打つべき選手が飛ばされ、その次のサーバーが打たなければならなくなる。


 要するに、良いことは何もない。


 2セット目の永竹クラブは、サーブレシーブから。


 陽介はベンチの#11和気ちゃんと#13シズさんに、サーブ順を決して間違えないよう、チェックするように指示した。


 主審のサーブ許可の吹笛。


 スリーメディスンのサーブ。


 永竹クラブは、バックレフト#4川さんがレシーブ。コート外にはじくもレフト#17よっちゃんがホローして、3コンタクト目を中衛レフト#8ハリちゃんがチャンスボールで相手コートに返した。


 スリーメディスンは、ハーフセンターがオーバーでセッターにパス。


 それと同時に、中衛レフト・ハーフセンター・中衛ライト・ライトアタッカーが、一斉に速い攻撃をするために助走に入る。


 レフトアタッカーは、「オープン!、オープン!」と高いトスを呼んでいる。


 セッターは、走り込んできた4人をおとりにレフトアタッカーに高いトスを上げた。


 レフトアタッカーは、高身長とジャンプ力を生かし、永竹クラブの高い2枚ブロックの上から凄まじいアタックを打ち込んだ。


 そのアタックは、バックレフト#4川さんに向かって行ったが、#4川さんはその威力に恐怖を抱いたのか顔をそらし目をつぶってしまい、レシーブする動作も無くボールはコートに突き刺さってしまった。


 皆な#4川さんの所に駆け寄り、「大丈夫?」と声をかけ、さらに「頑張ってレシーブしよう!」と言った。


 しかし#4川さんは大御所。年齢も他のメンバーに比べれば重ねている。


 永竹クラブ創部期からのメンバーで、1度も練習を休まず頑張って来たが、都大会出場を目指し、この一般大会で優勝まで後1セットという状況は、荷が重かったのかもしれない。


 #4川さんは、皆がポジションに戻り、サーブレシーブの準備に入ったところで、突然涙を流し始めた。


永竹クラブ0-1スリーメディスン


 スリーメディスンのサーブ。


 やはり、バックレフト#4川さんが狙われた。


 #4川さんは、何とかボールを体に当てるもレシーブすることは出来なかった。


 スリーメディスンのサービスエース。


 スリーメディスンは、コートの中程に集まり、円陣を組んで「さぁ、行こう!」と言って士気をを高めた。


永竹クラブ0-2スリーメディスン


 永竹クラブの面々は#4川さん所に行き、#川さんを励ましたが、その時#4川さんが涙を流していることに気が付いた。


 数人のメンバーが陽介の方を向き、首を振って両腕をお腹の前でクルクルと回す仕草をした。


 #4川さんを代えた方が良い!と、陽介にアピールをしたのだ。


 しかし、その判断を陽介がするまで、スリーメディスンのサーブは待ってくれない。


 主審のサーブ許可の吹笛。


 慌てて#4川さんの所にいたメンバーが、サーブレシーブのポジションに戻る。


 スリーメディスンのサーブは、今度もバックレフト#4川さんに向かった。 


 永竹クラブは、#4川さんをかばうように前衛レフト#17よっちゃんが下がってオーバーでレシーブを試みた。


 しかしボールはオーバーでレシーブしようとした手をかすり、エンドライン後方に落ちた。


 またもスリーメディスンのサービスエース。


 皆な#17よっちゃんの所に来て、「次!、次!、切り替えよう!」と声をかけたが、#4川さんは下を向いている。


永竹クラブ0-3スリーメディスン


 陽介は、#13シズさんを先発で使わなかったことを悔やんだ。


 1セット目に、やはりサーブで狙われた#13シズさんに代えて#17よっちゃんをレシーバーとして使い、予期せぬメンバーチェンジだったとは言え、ベンチに残っていたレシバーの#4川さんを、戦力が落ちるのを承知で交代させる賭けに出た。


 いや、それしか選択肢が無かった。


 勿論、日頃の練習に一生懸命ついて来て、現状の永竹クラブの全メンバーの中でユニフォームを着るに値する。また、このような状況になったとき必ず何とかしてくれると思ったし、1セット目に最後までコートにいたことで、リズムや感覚また体が温まっていると判断して、2セット目のスターターとして起用した。


 しかし、どうやら#4川さんは、精神的に限界だったようだ。


 自らベンチの方に歩、陽介に「交代させて下さい!」と懇願した。


 この状況では、#4川さんに限らずメンバー全員が、体力的にも精神的にも不安になっていたであろう。


 陽介は、早いタイミングではあったが、タイムアウトを要求した。

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