表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

269/377

5月一般大会 優勝後の『これからの時間』 1 

 5月の一般大会を、家庭婦人の資格で構成されたチームで、A区史上初の優勝に輝いた永竹クラブ。


 勝っても負けても、優勝してもしなくても、必ず行われるのが『これからの時間』と称す飲み会だ。


 試合中にいつもの中華料理屋に電話をするという、不届きな行為で貸し切り予約した和気ちゃんは、手際よく彩姉さんにも連絡を付け、永竹クラブの面々がシャワーを浴びている間に、お誘いしたA区の連盟顧問と大声援をおくってくれた某体育大の学生さん約20名をいつもの中華料理屋に引率をさせる役目までも指示をしていた。


 全く、こうゆう事には、極めて気の利く輩である。


 陽介とA区の連盟顧問。それに某体育大の学生さん達が体育館を出ると、彩姉さんが「今日は応援ありがとうございました。皆さんのおかげで優勝出来ました。本当にありがとうございます。」と挨拶をして、「お店までご案内しますので、ご一緒にお願いします。」といつもの中華料理屋に向かい歩きはじめた。


 某体育大の監督も兼ねているA区の連盟顧問は、「陽ちゃん、学生の中に未成年者がいるので、飲酒は絶対にさせないでネ」とお願いされたので、陽介は「ハイ。了解したしました!」と言った。


 確かに時は5月。大学1年生は18歳。成人した学生さんもいるが、何か間違えがあるといけないという、監督としての配慮であろうと、陽介は思った。


 「では、お腹がいっぱいになるまで、遠慮なく何でも召し上がって下さい!」と陽介がA区の連盟顧問に言うと、それを聞きつけた某体育大の学生さんの一人が、「何でも、好きなだけ注文していいんだって!」と全員に大きな声で伝達した。


 陽介も彩姉さんも、「全然大丈夫。お店の食材を全部食べちゃっても構いませ~ん!!」とにこやかに言った。


 ほどなくして、いつもの中華料理屋に着くと、ママさんが「陽ちゃん、優勝だって!?、家庭婦人チームが優勝するのは快挙だって和気ちゃんが言ってたけど、凄いじゃない!」と出迎えてくれた。


 彩姉さんが、「はい、学生さん達はこちらにお願いしま~す!」と言い、「はい顧問と陽ちゃんはこの席ネ!」と段取りをした。


 続いて彩姉さんはママさんに、「皆が来るまで少し時間がかかるから、先に学生さん達に食べさせてあげて!」とお願いし、学生さん達に「このお店は、何でも美味しいで~す!、好きな物を好きなだけ注文して下さ~い!、飲み物も遠慮なく注文して下さいネ!、ただしアルコールは禁止だそうなので、それだけは絶対に守って下さ~い!」と言った。


 一通り段取り終えた彩姉さんは、連盟顧問と陽介を案内した席の隣に座り、「私達は、取り敢えず生ビールだネ!」と確認をして、「ママぁ~、生ビール3つ頂戴ぃ~!」と、たくましい腕を高々と上げて吠えた。


 「あとね、いつものやつ(ネギチャーシュー)もネ!」と言うと、某体育大学生さん達が「私もいつものやつが食べた~い!」と言ってママに注文したが、「いつものやつって、一体何???」といいながら顔が強張っていたのが印象的だった。


 飲み物が各人の前に出てきて、連盟顧問が「永竹クラブさん、優勝おめでとうございます。私の他に学生までご馳走して下さりありがとうございます。また優勝出来るように頑張って下さい。まだ永竹クラブのメンバーは揃っていませんが、陽介監督のご好意もありますので先にカンパイをして、皆が揃ったらあらためてカンパイをしましょう!」、「それでは、ご唱和下さい。」、「カンパ~イ!!!」と発声してくれた。


 陽介は、連盟顧問とグラスを重ね、学生さん達にはグラスを向けて、「応援ありがとうございました!」と言った。


 彩姉さんは、学生さん達一人一人とお礼を言いながらグラスを重ねた。そして陽介と連盟顧問の席に戻った。


 陽介は、「あの~、彩姉さんは、今日も僕の隣に座るんですか?」と尋ねたが、彩姉さんは「何?嫌なの?」と威嚇するような面持ちで陽介に言い、陽介が返事をするまでも無く当然のごとく隣に座った。


 連盟顧問は、「小さい時から一緒だと、仲がいいね。」と笑っていた。


 徐々に料理が出てきて、学生さん達が「本当だ!、このお店の料理凄く美味しい!!!」と言いながら、食べ始めた頃、シャワーを浴び終わったメンバーがお店に到着した。


 陽介は、ジョッキを片手に「お疲れさん!」といいながら、店の入り口の方に振り返ったが、口に含んでいた生ビールを噴き出してしまった。


 何と、普段は試合の後スッピンで飲みに来るのに、化粧をバッチリとしていたのだ。一人・二人ではない。ほぼ全員化粧を塗りたぐっている。そしてジャージだ。


 陽介は、「何で化粧してるの?、普段はしないのに!?、それにジャージ。」と言ったが、ヨシちゃんは、「だって学生さん達が一緒だから、老けて見られたくないんだもん!」と言って除けた。


 女性の気持ちは、よくわからない。と陽介は思った。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ