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経験を積んだ永竹クラブ 5月一般大会 21

 #17よっちゃんのサーブが続く。


 観客席から、「よっちゃんさ~ん、サーブを打ったら直ぐにレシーブのポジションに入らないとダメですよ~!」と激が飛んだ。


 合わせて、「肩の力を抜いて、ナイスサーブお願いしま~す!」と、声援も飛んだ。


 #17よっちゃんは、その声に軽くうなずき思いっきりサーブを打った。


 「ソーレ!」と観客席からのかけ声とともに、「早くレシーブに入って!!!」と激。


 #17よっちゃんは、サーブを打ち終わった後、思い出したように慌ててバックレフトのポジションに走った。


 ドリーム化繊は、#17よっちゃんの強烈なサーブをバックライトがレシーブ。


 しかしその勢いに押され、直接永竹クラブコートのバックレフトに返って来た。


 代わった選手の所にボールが来るとは、よく言ったものだ。


 #13シズさんに代わりバックレフトのポジションに、サーブを打ち終わり慌てて入った#17よっちゃんが、そのボールをオーバーでセッター#6マメちゃんにパス。かと思ったらドリブルでそのボールはコート中程にクルクル回りながら低く上がった。


 予想もしてなかった事態に、ハーフセンター#16イソちゃんが「エぇ~~!」と言いながら突っ込む。そして3コンタクト目を中衛レフト#8ハリちゃんが、「もぅ~!」と言いながら何とか相手コートに返した。


 ドリーム化繊は、ハーフセンターがオーバーでセッターにパス。セッターは走り込んできた中衛レフトをオトリに使い、若いレフトアタッカーに低い平行トスを上げた。


 そもそも永竹クラブの前衛と中衛は、監督である陽介の指示でクイックをマークしていない。従ってオトリを使ってレフトアタッカーにトスを上げても、永竹クラブは中衛ライト#19イケさんとライト#1ヨシちゃんの高い2枚ブロックは、基本的に綺麗に揃う。


 ドリーム化繊の若いレフトアタッカーは、永竹クラブの高い2枚ブロックめがけアタックを打った。


 永竹クラブの中衛ライト#19イケさんが、「ワンチーぃ!」と大きな声を出す。


 #19イケさんに当たったボールは、高くコート中程に上がり、待ってましたとばかりにハーフセンター#16イソちゃんが、レフト#2ヤマちゃんに二段トスを上げた。


 #2ヤマちゃんは、冷静にドリーム化繊の2枚ブロックからブロックアウトをとった。


永竹クラブ14-14ドリーム化繊


 #17よっちゃんのプレーについては、言いたいこともたくさんあるが、取り敢えず永竹クラブは追いついた。


 観客席から、「#19さ~ん、ナイスブロック、ナイスワンチ!、お名前何ていうんですかぁ~?」と声が飛んだ。


 サーブを打ちにサービスラインに下がって来た、#17よっちゃんが「イケさん」と観客席に伝えると、「イケさ~ん、ナイスブロックぅ~!」とあらためて声がかかった。


 #17よっちゃんのサーブが続く。


 「ソーレ!」と観客席からのかけ声。


 ドリーム化繊は、バックセンターがレシーブ。サーブの勢いに押されバックライト側に上がったボールを、バックライトがアンダーで若いレフトアタッカーに二段トス。


 若いレフトアタッカーは、離れた二段トスをここが勝負所だと思ったか、思いっきり打ったが、ネットを越えることはなかった。しかし9人制は4コンタクト目がある。


 ネットに当たったボールを、ブロックカバーに入っていたセッターがホローし、永竹クラブコートに返した。


 「ラッキー!!!」と観客席も相手のミスだと思い、つい声が出てしまったくらいだったが、返って来たボールに直ぐにバックライト#9井口ちゃんが反応し、オーバーでセッター#6マメちゃんにパス。


 #6マメちゃんは、離れた二段トスを思いっきり打ち込み、体勢を崩しているドリーム化繊の若いレフトアタッカー側、つまりライト#1ヨシちゃんにトスを上げた。


 #1ヨシちゃんは、ノーブロックのストレートコースを打ち抜き、得点した。


 陽介はベンチを立ち上がり、「ナイスプレー!」と拍手をおくった。


 観客席も大歓声。拍手が巻き起こった。


永竹クラブ15-14ドリーム化繊


 #17よっちゃんのサーブが続く。


 #17よっちゃんが、サーブを打ちにサービスラインに下がったとき、


 「もしもし、えーとね某体育大の学生さんが大勢応援に来てくれてるのよ。うん、そうなの。だからヤッパリ貸し切りじゃないとダメだね。うん、この調子なら18時30分には行けると思う。うん。でも学生さんは、お酒は飲まないんじゃない?うん。分かった。また後で電話するネ!」


 と、明らかに『これからの時間』について誰かと相談している#11和気ちゃんの声が聞こえた。


 さすがの陽介も、これには憤りを感じ、「和気ちゃん、貴女はユニフォームを着て、ここで何をしているの?今やらなきゃいけない事は、飲み会の予約じゃなくて自分達のチームの応援でしょ!、そんなことしてると負けちゃうよ!いい加減にしなさい!」と命令口調で怒った。


 #11和気ちゃんはこれはマズイと思ったらしく、「スミマセン。今から大きな声で応援します!」と言って頭を下げた。


 #17よっちゃんのサーブ。


 物凄い勢いのサーブが、ドリーム化繊のバックライトに向かった。


 ドリーム化繊はバックセンターが、「アウト!、アウト!」と大きな声でジャッジ。


 勢いのあるサーブをレシーブしようと、体を固めていたバックライトが、その大きな声のジャッジに反応し、体を開いてボールを見送った。


 線審が旗を上げ、第一サーブ失敗。


 続いて#17よっちゃんの第二サーブ。


 陽介は、ここでも#17よっちゃんに「第二サーブも勝負して、思いっきり打って!」と指示を出した。


 #17よっちゃんは、軽くうなづき思いっきりサーブを打った。


 「ソーレ!」観客席から、かけ声。


 地肩の強い#17よっちゃんから打ち出されたサーブは、ドリーム化繊のバックレフトをはじき飛ばした。


 サービスエース。


 #17よっちゃんはその場でガッツポーズ。メンバーが駆け寄りハイタッチをした。


 しかし、一人だけそのハイタッチに加わらず、皆が各ポジションに戻った後に、サーブを打とうとしている#17よっちゃんに、ゆっくりと近づいて行く者がいた。


 #9井口ちゃんである。


 #9井口ちゃんは、「サーブは良いけど、打ち終わった後、ボートッ立ってんじゃねぇ!、レシーブに入れ!、何回言われたらわかるんだ!、今は試合中、もっと集中しろ!!!」


 皆な、一瞬こわばったが、#9井口ちゃんが大きな声で言った事が当然の事であったため、「そうだ!、そうだ!」と#17よっちゃんに言った。


 観客席からも、「そうだ!、そうだ!」と激が飛んだ。


 ベンチで#11和気ちゃんも「そうだ!、そうだ!」と言っていたのにはさすがに驚いたが、この試合に勝とうとする気持ちのあらわれであろう。


 陽介は、#17よっちゃんに、「さぁ、切り替えて、思いっきりサーブを打って!」と伝えた。


永竹クラブ16-14ドリーム化繊 

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