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経験を積んだ永竹クラブ 5月一般大会 20

 #3キーちゃんのサーブが続く。


 ドリーム化繊は、バックライトがレシーブ。セッターはライトアタッカーにトス。ライトアタッカーは、#2ヤマちゃんと#8ハリちゃんの2枚ブロックからブロックアウトをとった。


永竹クラブ10-11ドリーム化繊


 ドリーム化繊のサーブ。


 ドリーム化繊のキャプテンが、「皆な、ここから引き離すよ!、このセットをとって3セット目で勝負するよ!、気合を入れて~!」と、真顔でチームに気合を入れた。


 ドリーム化繊のサーバーは、大きな声で「行くぞっ!」と言い、サーブを打った。


 永竹クラブは、バックレフト#13シズさんがレシーブ。乱れたボールをバックセンター#3キーちゃんがホロー。


 しかしそのボールは永竹クラブの攻撃には至らず、3コンタクト目をレフト#2ヤマちゃんがチャンスボールで相手コートに返した。


 ドリーム化繊は、中衛ライトがオーバーでセッターにパス。セッターはライトアタッカーにトスを上げ、ライトアタッカーは永竹クラブの2枚ブロックからブロックアウトをとった。


永竹クラブ10-12ドリーム化繊


 ドリーム化繊のサーブが続く。


 今度もバックレフト#13シズさんを狙って来た。


 永竹クラブは、#13シズさんがレシーブ。やはり乱れたボールをバックセンター#3キーちゃんがホローして、何とかライト#1ヨシちゃんに二段トス。


 しかし苦しい体勢からアンダーで上げた二段トスは、ライト#1ヨシちゃんの所までとどかず、中衛ライトの#19イケさんがチャンスボールで相手コートに返した。


 ドリーム化繊は、ハーフセンターがセッターにオーバーでパス。セッターは走り込んできた中衛レフトにBクイックのトスを上げると見せかけて、中衛ライトにセミのトスを上げた。


 永竹クラブは、#8ハリちゃんが1枚ブロックで対応したが、ドリーム化繊の中衛ライトのアタックは、#8ハリちゃんの右手の脇を抜け、バックレフト#13シズさんの所へ向かった。


 #13シズさんは、そのボールをナイスカット。ハーフセンター#16イソちゃんがレフト#2ヤマちゃんに二段トス。


 #2ヤマちゃんは、ドリーム化繊の2枚ブロックめがけ思いっきりアタックを打った。


 ドリーム化繊はライトがワンタッチ。そのボールをハーフセンターが再びライトアタッカーに二段トス。ライトアタッカーは、永竹クラブの2枚ブロックめがけ力いっぱいアタックを打った。


 永竹クラブは、レフト#2ヤマちゃんが「ワンチーぃ~!」と叫んだが、そのボールはドリーム化繊コートに落ちた。


 #2ヤマちゃんのブロックポイント。


 #2ヤマちゃんはガッツポーズ。メンバーも駆け寄りハイタッチ。


 「ナイスプロックで~す!」と、観客席から黄色い声援が飛んだ。


永竹クラブ11-12ドリーム化繊


 陽介は、明らかにバックレフト#13シズさんが狙われていると思った。


 ドリーム化繊はサーブだけではなく、攻撃も若いレフトアタッカーに打たせず、ライトア側にトスを集め、アタッカーにストレートコース(バックレフト#13シズさんを狙って)を打たせているように見えたからだ。


 陽介は、タイムアウトを#9井口ちゃんの負傷で1回使っているので、#16イソちゃん・#13シズさんの次のサーバー、前衛レフト#2ヤマちゃんがサーブに下がって来るのを待って指示を出そうと思った。


 それまでの間、何とか点数を離されずにいてほしいと、祈った。


 永竹クラブのサーバーは#16イソちゃん。


 ドリーム化繊は、バックレフトがレシーブ。セッターは速くて低い、平行トスを若いレフトアタッカーに上げた。


 若いレフトアタッカーは、永竹クラブの高い2枚ブロックめがけアタックを打ち、ブロックアウトをとった。


永竹クラブ11-13ドリーム化繊


 ドリーム化繊のサーブ。


 やはりバックレフト#13シズさんを狙って来た。


 #13シズさんは、何とかレシーブ。乱れたボールに中衛レフト#8ハリちゃんが突っ込む。


 しかし、ボールはコートに落ちた。


永竹クラブ11-14ドリーム化繊


 ドリーム化繊のサーブが続く。


 狙われているバックレフト#13シズさんがレシーブ。ほぼコート中程に上がったボールをハーフセンター#16イソちゃんが、レフト#2ヤマちゃんに二段トス。


 観客席から、「ヤマちゃんさ~ん!!!」と大きな声援。


 #2ヤマちゃんは、ドリーム化繊の2枚ブロックからブロックアウトをとった。


永竹クラブ12-14ドリーム化繊


 永竹クラブのサーバーは、#13シズさん。


 陽介はすかさず、#17よっちゃんをピンチサーバーとしてコートに送った。


 #17よっちゃんをコートに送り出す前に陽介は、「思いっきり打って、3点はとって来て!」と耳元で言った。


 #17よっちゃんのサーブ。


 ドリーム化繊は、#17よっちゃんのサーブの威力をよく知っている。


 ドリーム化繊のキャプテンが、「このサーブは強いよ。勢いに負けないようにレシーブしよう!」とメンバーに声をかけた。


 しかし当の#17よっちゃんは、緊張でガチガチになっている。


 観客席からも、「よっちゃんさ~ん、肩の力を抜いてぇ~!」と声が飛ぶくらいだ。


 #17よっちゃんがサーブを打つ。


 「ソーレ!」と観客席からの声援。


 #17よっちゃんは、思いっきりサーブを打った。


 その瞬間、観客席からも永竹クラブベンチからも、どよめきが起こった。


 #17よっちゃんが打ったサーブは、打った瞬間からネットより遥かに低く、セッター#6マメちゃんの顔の横をかすめ、物凄い勢いでネット下方に当たった。


 第一サーブ失敗。


 皆な、セッター#6マメちゃんに当たらなくて良かったと思ったに違いない。


 ドリーム化繊も、「ラッキー!」とは言ったものの、あまりのサーブの威力に笑えなかった。


 #17よっちゃんは、顔を両手の平で覆って恥ずかしがる。


 観客席から、「肩の力を抜いてぇ~!!!」と、再び声がかかる。


 それでも陽介は、「第二サーブも、勝負して!」と声をかけた。


 #17よっちゃんの第二サーブ。


 主審のサーブ許可の吹笛。


 体育館全体が一瞬静かになった。


 「ソーレ!」と観客席からの声だけが、響く。


 そして#17よっちゃんが、勝負の第二サーブを打った。


 だが、ガチガチの緊張の中で思いっきり打ったサーブは、#17よっちゃんの右手指先にチップして、逆回転をともない弱々しくドリーム化繊コートに向かった。


 ボールは運よくネットを越えたが、明らかにチャンスボールがごとくのサーブだった。


 しかしドリーム化繊は、強いサーブが来ると思いガッチリと構えていたので、その弱々しくやっとネットを越えたボールに、一歩も動くことが出来ず、ボールはコートに落ちた。


 サービスエース。


 #17よっちゃんは、レシーブの位置に入ることなく、呆然とサービスライン上に立ちすくんでいる。


 永竹クラブの面々は、主審のボールデッドの吹笛があった直後、全員コートの中でひっくり返った。


 それはそうであろう。誰も予想しなかったサーブだったのだから…。


 観客席は、大笑い。手を叩いて笑っている。


 そして、「ナイスサーブ!、よっちゃんさ~ん、もう1本!」と声援が飛んだ。


 永竹クラブは誰も#17よっちゃんの所に駆け寄らない。


 なぜなら、ズッコケた体を起こすのが精一杯だったからだ。


 陽介をはじめベンチも、口を開けたまま無言だった。


永竹クラブ13-14ドリーム化繊 

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