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経験を積んだ永竹クラブ 5月一般大会 13

 陽介が振り返ると、そこには連盟顧問の笑顔があった。


 陽介は試合中ではあったが、以前貴重な経験をさせていただいた連盟顧問に立ち上がって、「先生(連盟顧問)今日の大会にいらっしゃるご予定だったんですね?存じ上げず失礼致しました。」と挨拶をした。


 すると連盟顧問は、「実はさっきまでA区の体育館の近くで練習試合をしてたんだよ。早く終わったんでA区の一般大会を見せて勉強させようかと思って、学生を連れて来たんだ。それにこの前の練習試合の後、三輪さんと川さんと和気ちゃんがわざわざ某体育大の体育館まで来てくれて、先日のお礼だと言ってたくさんドリンクをいただいたんで、そのお礼も学生にさせたかったんでね。」と言った。


 そう、連盟顧問は某体育大女子バレー部の監督もしている。


 陽介は、「そうだったんですか。三輪さん達から何も聞いていませんでした。」と大御所や和気ちゃんの方を見た。


 連盟顧問は、「亀の甲より年の劫。永竹クラブは気の利く大御所がいるから幸せだよ。」と笑顔で言ってくれた。


 「ということは、観客席にいる上下白のジャージで身を固めている団体は、先生のところの学生さんだったんですね。応援していただいてありがとうございます。」と陽介は感謝したが、同時に「そういうことなら、大御所と一緒に気を利かせてくれた#11和気ちゃんが、白装束の団体の正体をわかりそうなもんだけど、どうしてわからなかったのだろう?」と不思議に思った。


 永竹クラブのサーバーは、#16イソちゃん。


 #16イソちゃんも、ドリーム化繊コートエンドラインまで届くサーブを打った。


 某体育大の学生さん達が、「ソーレ!」と大きな声援を贈る。


 ドリーム化繊は、バックセンターがレシーブ。セッターがややコート中程まで動き、若いレフトアタッカーにトス。


 若いレフトアタッカーは、永竹クラブの3枚ブロックめがけ思いっきりアタックを打った。


 永竹クラブは、3枚目のブロックを飛んでいた#2ヤマちゃんが、ナイスブロック。まともに相手コートにボールが落ちた。


 #2ヤマちゃんはガッツポーズ。皆なが駆け寄りハイタッチ。


 観客席の某体育大学生さん達も、立ち上がってお互いにハイタッチ。


 「もう1本イケ~!」と大きな声援。


永竹クラブ8-7ドリーム化繊


 #16イソちゃんのサーブが続く。


 「ソーレ!」と某体育大の黄色い声援。


 ドリーム化繊は、#16イソちゃんが打った強いサーブをバックレフトがレシーブ。乱れたボールをバックセンターがつなぎ、3コンタクト目をハーフセンターがチャンスボールで永竹クラブコートに返した。


 永竹クラブは「チャンス!、チャンス!」と大きな声を出して攻撃の準備をする。と同時に観客席からも「チャンス!チャンス!下がって!、下がって!」と大きな声が飛ぶ。


 バックライト#9井口ちゃんが、「#2ヤマちゃん、行くよ~!!!」と大きな声をだして、ネットに向かって速めのパスいやトスを上げた。


 #2ヤマちゃんは、気合もろともそのトスを相手コートに打ち込んだ。


 ドリーム化繊は、速くてしかも2コンタクトでの攻撃に一歩も動けず、ボールをコートに落とした。


 #2ヤマちゃんの高身長が生きた攻撃だ。


 #2ヤマちゃんと#9井口ちゃんがガッツポーズをしながら、駆け寄る。皆も駆け寄って来てハイタッチ。


 今までにない良い攻撃だった。


 観客席からも、「ナイストス!、ナイスアタック!」と声援が飛び、皆でハイタッチをしている。


永竹クラブ9-7ドリーム化繊


 #16イソちゃんのサーブが続く。


 「ソーレ!」と観客席から声がかかる。


 ドリーム化繊はバックライトがレシーブ。セッターはライトアタッカーにトス。


 観客席から「17番~、ブロックついて~!」と声が飛ぶ。


 #17よっちゃんは、思い出したかのようにブロックに飛んだ。


 しかしドリーム化繊のライトアタッカーが打ったアタックは、その#17よっちゃんのブロックに当たりコートの外に飛んで行った。ブロックアウト。


 観客席から、「切り替えて!、切り替えて!、ワンカット!、ワンカット!」と声がかかった。


永竹クラブ9-8ドリーム化繊


 ドリーム化繊のサーブ。


 永竹クラブは、#17よっちゃんが何とかレシーブ。またもや#17よっちゃんが狙われている様子だ。


 そのボールをバックレフト#6マメちゃんが、ライト#1ヨシちゃんに二段トス。


 #1ヨシちゃんは、冷静にドリーム化繊の2枚ブロックからブロックアウトをとった。


 #17よっちゃんが、二段トスを上げた#6マメちゃんに駆け寄り「ありがとう!」と言った。


永竹クラブ10-8ドリーム化繊


 永竹クラブのサーバーは、#6マメちゃん。


 「ソーレ!」と観客席から声がかかる。


 #6マメちゃんはサーブを打ち損ない、緩くて山なりのサーブが相手コートに向かってしまった。


 ドリーム化繊はハーフセンターが難なくオーバーでレシーブ。セッターは走り込んできた中衛レフトにBクイックのトスを上げ、決めた。


 やはり生易しいサーブでは、あっさりと攻撃されてしまう。


 「切り替えて!、切り替えて!」と観客席からの声。


永竹クラブ10-9ドリーム化繊


 ドリーム化繊のサーブ。


 永竹クラブは、バックセンター#3キーちゃんがレシーブ。セッター#2ヤマちゃんは中衛レフト#8ハリちゃんにトス。


 #8ハリちゃんは、ドリーム化繊の1枚ブロックの指先を狙ってアタックを打ち、ブロックアウトをとった。


 「ナイスアタックぅ~!」、観客席から黄色い声援が飛んだ。


永竹クラブ11-9ドリーム化繊


 永竹クラブのサーバーは、#17よっちゃん。


 「17番~、思いっきり打てぇ~!」と某体育大の応援を背に受ける。


 しかし、#17よっちゃんはガチガチに緊張している様子。


 案の定、第一サーブをミスった。


 その瞬間、観客席の某体育大の一人が、永竹クラブのコートに向かい、「スミマセン~、17番の方のお名前は何ておっしゃるんですかぁ~!?」と大きな声で聞いて来た。


 それに気づいた#3キーちゃんが、「よっちゃん」と答えると、某体育大学生さん達は全員立ち上がり「よっちゃんさ~ん!、全力で打てぇ~!!!」と大声援を贈った。


 この大声援には両ベンチとも驚きを隠せないほどだった。


 緊張でガチガチの#17よっちゃんも、さすがにこの大声援には苦笑い。


 緊張がほぐれたようだ。


 #17よっちゃんは、声援に押され第二サーブを思いっきり打った。 

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