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経験を積んだ永竹クラブ 5月一般大会 8

 #1ヨシちゃんがバックライトを狙ってサーブを打った。


 プーアルは、バックライトがレシーブ。セッターは高身長レフトアタッカーにバックトス。


 高身長レフトアタッカーの前には、#1ヨシちゃんがサーブで下がっているので、#3キーちゃんがブロックを構えている。


 従って永竹クラブの2枚ブロックは、本人はジャンプしているつもりでも10cmも飛んでいない中衛ライト#11和気ちゃんとの2枚ブロック。


 高さは全く無い。


 プーアルの高身長レフトアタッカーは、そのブロックの上からアタックを打ち込んだ。


 永竹クラブは、サーブを打ったあとバックセンターに入っている#1ヨシちゃんがレシーブ。バックレフト#13シズさんがライトに入っている#3キーちゃんに二段トス。


 しかし、主審の吹笛。#13シズさんがドリブルの反則だった。


 陽介は、ここでタイムアウトをとった。


永竹クラブ13-4プーアル


 ベンチに戻ってきたメンバーに、「チョッとここで一息入れよう!」と言い、続けて「タイムが明けたらすぐに#13シズさん⇒#17よっちゃんのメンバーチェンジをします。ポジションはセッターに#2ヤマちゃん・バックレフトに#6マメちゃん・レフトアタッカーに#17ヨシちゃんにします。これは、決勝に向けてブロックを強化しなければならない場合の一つのポジション変更だと思って下さい。それとベンチでサーブ順を確認している人は、サーブ順を間違えないように必ず指示して下さい!」と伝え、選手をコートに送り出した。


 陽介は、若干文句がでるかな?と覚悟をしていたが、意外にも全員が受け入れた様子でコートに向かったので、ホッとした。


 タイム明け、間を置かずメンバーチェンジを行い、#17よっちゃんがレフトのポジションについた。


 すぐさま#9井口ちゃんが#17よっちゃんのところに行き、「トスが上がったら、とにかく思いっきり打ってよ!、とぼけてレシーブを忘れたりブロックを忘れたりしたらただじゃ済まないからネ!」と、釘を刺した。


 プーアルのサーブ。


 永竹クラブは代わったばかりのバックレフト#6マメちゃんがレシーブ。代わった人にボールが行くとはよく言ったものだ。


 セッター#2ヤマちゃんは、レフト#17よっちゃんにトス。#17よっちゃんは思いっきりプーアルコートめがけアタックを打ち込んだ。


 しかしそのアタックはネットにかかり、プーアルの得点。


永竹クラブ13-5プーアル


 #17よっちゃんは頭をかかえながら皆に「ゴメンなさ~い!」と詫びを入れたが、バックライト#9井口ちゃんが#17よっちゃんに駆け寄って来た。


 メンバーに緊張が走る。


 以前にも#9井口ちゃんが、#17よっちゃんの不甲斐ないプレーを厳しい物言いで叱ったことで、チームの雰囲気を悪くしたことがあるからだ。


 #17よっちゃんも身構える中、#9井口ちゃんが#17よっちゃんに言ったことは、「良いよ!、下なんか向かないで、次も思いっきり打とうよ!、ブロックなんて#17よっちゃんには関係ないんだから、とにかく次も思いっきり打ってよ!」ということだった。


 皆な胸を撫で下ろした。そして#9井口ちゃんの大人の対応に全員がコート中程に集まり、「一つ一つ丁寧に行こう!、#17よっちゃんはアタックを思いっきり打ってネ!」と言って次のプレーの準備に入った。


 陽介はその姿を見て、頼もしくさえ思った。


 プーアルのサーブ。


 永竹クラブは、ハーフセンター#16イソちゃんがレシーブ。セッター#2ヤマちゃんは再びレフト#17よっちゃんにトス。


 #17よっちゃんは、プーアルの2枚ブロックめがけ思いっきりアタックを打った。


 しかしまたもやネットを越えず、ボールは永竹クラブコートに落ちた。


 #17よっちゃんは下を向いて、「スミマセン!」と小さな声で言った。


 だが、主審のシグナルは永竹クラブコートを指した。


 プーアルのネットタッチの反則だった。


 #17よっちゃんは主審を見上げ、突然両手を上げてガッツポーズ。走りながら皆なのところに自ら寄って来た。


 皆な苦笑いをしながら、#17よっちゃんの頭を軽くたたいた。


永竹クラブ14-5プーアル


 永竹クラブのサーバーは、一巡して#9井口ちゃん。


 相変わらずバックライトを狙った強烈なサーブがプーアルコートに向かう。


 プーアルは、バックライトがレシーブを試みるもはじかれた。


 サービスエース。


 皆な#9井口ちゃんに駆け寄りハイタッチ。


永竹クラブ15-5プーアル


 #9井口ちゃんのサーブが続く。


 #9井口ちゃんが、バックセンター#3キーちゃんに何か声をかけて、再び強烈なサーブを打った。


 プーアルはまたもやバックライトがレシーブ。しかしボールを大きく後ろにはじいた。そのボールをバックセンターが必死に追い、ボールが落ちる寸前に滑り込んで触った。しかし健闘むなしくそのボールがつながることはなかった。


 永竹クラブは、全員でガッツポーズ。


 プーアルは、2回目のタイムアウトを要求した。


永竹クラブ16-5プーアル


 ベンチに戻ったメンバーに陽介は、「今#9井口ちゃんのサーブが当たっているから、1コンタクトで直接コートに戻ってくるかもしれないよ!、皆なしっかり集中して対応してネ!」と指示をし、さらに「#17よっちゃんは、ブロックを気にせず思いっきりアタックを打つこと。それとレシーブや自分のブロックを忘れずにすること。それを念頭にプレーしてネ!」と言った。


 すこし間を置いて#9井口ちゃんが皆に、「バックライトに強いサーブを打つから、今までと同じようにライトアタッカーが打って来ることを気にかけてレシーブの準備をしておいてほしい。レシーブが乱れればライトアタッカーにトスが上がる確率が高いと思うから…。でもこの前提はライトアタッカーにトスが上がった時、ブロックが2枚付いていることが重要だから、#17よっちゃん、絶対にブロックをサボらないでよ!」と伝えた。


 陽介は、ウン、ウンとうなずき、給水をとらせコートに送り出した。 

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