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経験を積んだ永竹クラブ 5月一般大会 7

 #6マメちゃんのサーブが続く。今度もバックライトを狙った。


 プーアルは、バックライトが#6マメちゃんの強いサーブをレシーブ。そのボールはプーアルコート中程に上がった。そしてハーフセンターがライトアタッカーに二段トス。ライトアタッカーは永竹クラブの2枚ブロックめがけ軽くアタックを打ち、リバウンドをとった。


 プーアルはそのリバウンドをブロックホローに入っていた中衛レフトがセッターにパス。セッターはバックトスで中衛レフトに高いトスを上げた。


 永竹クラブは、中衛ライトの#19イケさんの1枚ブロック。


 陽介から、何人も1枚ブロックになった場合は、必ずストレートコースを抑えるようにと指示が出ていたので、#19イケさんはその指示に従っていた。


 プーアルのセッターが中衛レフトに上げた高いトスは、ライトアタッカーがリリバウンドを中衛ライトがホローしたボールだったので、プーアルコートライト寄りから上げたものだった。したがってほぼセンターの位置にトスが上がっていた。


 #19イケさんの1枚ブロックでストレートコースを抑えられているプーアルの中衛レフトは、限られた永竹クラブコートの狭いレフト側に打つか、体をひねってこれまた限られたライト側に打つか、後はフェイントをするかの選択しかない状況だった。


 プーアルの中衛レフトは、#19イケさんが抑えているストレートコースの脇(前衛ライト側)にフェイントを落とした。


 永竹クラブは、ライト#1ヨシちゃんが、待ってましたとばかりに軽々とそのフェイントをレシーブしてセッターに入っている#3キーちゃんにつないだ。


 #3キーちゃんは、そのボールをバックトスでレフト#2ヤマちゃんにトス。


 #2ヤマちゃんは、プーアルの2枚ブロックを打ち抜きそのボールはプーアルコートに落ちた。


 アタックを決めた#2ヤマちゃんは、自分が決めたことよりも#1ヨシちゃんがフェイントをナイスホローしたことに大喜びで、#1ヨシちゃんのところに駆け寄った。他のメンバーも#1ヨシちゃんのところに駆け寄りハイタッチ。


 とても良い雰囲気とリズムだ。


 陽介は何も言う事はなかった。


永竹クラブ3-1プーアル


 #6マメちゃんのサーブが続く。


 しかしプーアルは、第一セットから続く永竹クラブの確実なプレーに意気消沈したか、以後声も無くなりあっさりと、#6マメちゃんのサーブに6連続サービスエースを許した。


 プーアルはタイムアウトを要求した。


永竹クラブ9-1プーアル


 陽介は、ベンチに戻って来たメンバーに、「良いよ!、このままの調子で行こう!」とだけ言って、給水をしながらプレーについて打ち合わせをする様子を見守っていた。


 すると#11和気ちゃんが、「陽ちゃん、何かいう事はないの?、いつもちゃんと指示を出したり、嫌味を言ったりするじゃない!」と言い出し、続けて#3キーちゃんが「そうだよ、いつも何か言うのに、何も言わないと何か気持ち悪いし、やりにくいよ!」と不機嫌そうな顔つきで、陽介に言った。


 陽介は、「全くオバサン達は面倒くさいなぁ~、指示を出したりプレーについて指摘したりすれば、嫌な顔をしてブツブツ言うくせに、何も言わないと今度は言わない事に文句を言い出す。オバサンは本当に面倒臭い!」と思いながら、「いやいや、僕が言うことは今の所何もありません。素晴らしいプレーと雰囲気なので、このまま行きましょう!、皆なナイスプレーです!」と、引きつった笑顔で言った。


 #11和気ちゃんは、「そうだよ!、良い時はちゃんと誉めなきゃネ!」と言ったが、陽介は「いつだって、何とか良い所を見つけて、無理矢理誉めてるじゃないか!」と言いたかったが、「はいはい、そうですね。今度から誉めます。」と言った。


 #11和気ちゃんはご機嫌でいつものジャイアントパンダの心持ちに戻り、そのたくましい腕を陽介の肩に回し、「わかりゃぁ、いいんだよ!」と笑顔で言ったが、そのそぶりに皆が大笑いしたので尚更ご機嫌になり、「それと陽ちゃん、返事は一回でいいからね!、『はい』は一回。宜しくネ!」と付け加えた。


 陽介は、「このクソババア、いつかシバイてやる!」と心に決めたが、一応大人の対応でタイムアウトを終えた。


 #6マメちゃんのサーブが続く。


 プーアルはタイムアウトでどのような指示が出たのだろう?


 #6マメちゃんは、相変わらずバックライトを狙ってサーブを打った。


 プーアルはバックライトがレシーブ。乱れたボールをバックセンターがホロー。3コンタクト目をハーフセンターがチャンスボールで返した。


 永竹クラブは、「チャンス!、チャンス!」と大きな声で攻撃の準備に入る。何処かで見た光景だ。これも経験の賜物かも知れない。


 ハーフセンター#16イソちゃんがオーバーで、セッターに入っている#3キーちゃんにパス。#3キーちゃんはライト#1ヨシちゃんにトスを上げた。


 #1ヨシちゃんは、2枚ブロックを避けインコースにアタックを打ち込んだ。


 プーアルは、ライトアタッカーがレシーブ。セッターはレフトにバックトスを上げた。


 高身長レフトアタッカーは、永竹クラブの高い2枚ブロックからブロックアウトをとった。


永竹クラブ9-2プーアル


 なるほどプーアルはさっきのタイムアウトで、ライト側がレシーブするとセッターをはじめコートのメンバーがライトアタッカーにトスを上げる癖があることを永竹クラブが利用していることに気づき、その対策として高身長レフトアタッカーにトスを集めるように指示をしたと、陽介は感じた。


 プーアルのサーブ。


 永竹クラブは、バックセンター#3キーちゃんがレシーブ。コート中程に上がったボールをハーフセンター#16イソちゃんがレフト#2ヤマちゃんに二段トス。


 #2ヤマちゃんは、プーアルの2枚ブロックからブロックアウトをとった。


 感心するほど、冷静なプレーである。


永竹クラブ10-2プーアル


 永竹クラブのサーバーは、#19イケさん。陽介はベンチで余裕をこいている#11和気ちゃんをサーバーに送った。


 #11和気ちゃんは、流れの良い展開に自分の出番はないだろうと、すっかり応援団長と化していたので、このメンバーチェンジに緊張の面持ちでメンバーチェンジエリアに進んで行った。


 陽介は、「そんなに緊張しなくても、思いっきりサーブを打ってその後はレシーブをしっかりしてネ!」と送り出し、さらに「サーブが切れたら、そのまま#19イケさんの中衛ライトに入るからネ!」と声をかけた。


 代わった#11和気ちゃんのサーブ。和気ちゃんは、緊張でガチガチだ!


 それでも思いっきりサーブを打った。


 しかしそのサーブは力なく、ネットすれすれに飛んでいき、やっとの思いでネットを越えた。


 だが、何が幸いするかわからない。今まで強いサーブをレシーブし続けて来たプーアルは、#11和気ちゃんの力のないやっとの思いでネットを越えたサーブに対応できず、一歩も動くことが出来ない状態でコートにボールを落とした。


 #11和気ちゃんは、照れ臭そうに頭をかきながらガッツポーズ。


 コートの中のメンバーも、大笑いだ。


永竹クラブ11-2プーアル


 #11和気ちゃんのサーブが続く。


 今度も弱々しいサーブがプーアルコートに向かった。


 しかし、世間はそれほど甘くない。


 プーアルは、ハーフセンターが簡単にオーバーでセッターにパス。セッターは中衛レフトにBクイックのトスを上げ、決めた。


 少しでも気を緩めれば、簡単に攻撃されてしまう。皆なあらためて気を引き締めたであろう。


永竹クラブ12-3プーアル


 永竹クラブは、#19イケさんに代わった#11和気ちゃんがそのまま中衛ライトに入る。


 プーアルのサーブ。


 永竹クラブは、バックライト#9井口ちゃんがレシーブ。セッター#6マメちゃんはライト#1ヨシちゃんにトス。


 #1ヨシちゃんは、プーアルの2枚ブロックからブロックアウトをとった。


 #2ヤマちゃんが冷静にブロックアウトをとったように、こちらも負けず劣らずの冷静なプレーだった。


 #11和気ちゃんは、たくましい両腕を高々と上げ、まるで自分が決めたように吠えまくりチームのムードを上げた。自分の役割をよくわかっているように思えた。


永竹クラブ13-3プーアル


 永竹クラブのサーバーは、#1ヨシちゃん。やっとサーブが一巡した。素晴らしい展開だ。


 #1ヨシちゃんがサーブを打つために、ボールを持ってエンドラインに下がる。


 その時である。ベンチに座って状況を見守っていた陽介のところに、「ねぇ、ねぇ、陽ちゃん。私も出たい!」と懇願する選手がいた。


 #17よっちゃんだ。


 #17よっちゃん曰く、私もアタックを打って、皆と喜びたい!とのことだった。


 陽介は、せっかく良い雰囲気とリズムで展開をしているので、あまり余計な選手交代はしたくなかったが、選手の積極的な気持ちも汲んであげたいと思い、「チョッと待っててネ。今考えるから。取り敢えず体を動かしておいてネ。」と言い、メンバーチェンジの機会を伺った。


 しかし、すでにメンバーチェンジは1回行っている。もし次のメンバーチェンジをすると2回目になり、#11和気ちゃんと#19イケさんの交代をすれば、#17よっちゃんをコートに出したままで、このセットを終えなければならなくなる。


 メンバーチェンジが上手く当たれば良いが、当たらなかった時のことも考えなければならない。


 特に内容の良い試合では、メンバーチェンジが仇になる時もある。


 永竹クラブの得点はすでに13点。


 陽介は速やかに考えなければならなかった。 

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