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試合に負けない永竹クラブ

 思いの他素直に陽介の指示指導を受け入れ、練習を重ねる永竹クラブであったが、この年の永竹クラブは周りから見ても強くなったと思われるくらいに結果を出した。


 以前話したように、A区の公式戦は5月の一般大会・7月の企業の冠が付いた家庭部人大会・9月の家庭婦人大会・11月の一般大会・3月の家庭婦人大会の年間5回で、その他に臨時に大会が開かれる場合があった。


 さらに11月の一般大会に優勝すると、原則A区の連盟から推薦され上部の大会である都大会に出場することが出来た。


 この年の新年から、正確なバス・強いサーブ・しつこいレシーブをあらためて目標に掲げ、試合に勝つことを目的として練習を重ねた。


 そして迎えたこの年の3月の家庭婦人大会。永竹クラブは他を寄せ付けず優勝した。


 優勝するまでには3試合を行わなければならないが、全てのセットを10点以下に抑える内容での優勝であった。


 いくらレベルが低いA区の試合でも、全てのセットを10点以下に抑えることは中々出来ない。


 そして優勝した後の『これからの時間』で、「この大会に限って言えば、永竹クラブのミスが少なく、対戦したチームのミスが多かったことも幸いしました。それにしても自分達のミスが少なくサーブも凄く良かったし、レシーブもしつこく、ボールがコートに落ちなかった。練習の成果が出たのだと思います。」と陽介は総括した。


 さらに陽介は、「今度は5月の一般大会です。ネットは10cm高くなりますが、全員が家庭婦人の資格で戦う試合ではありますが、決勝戦に進出して今日の試合以上に練習の成果が出るよう、願わくば優勝出来るよう皆で練習をしましょう!、今日は素晴らしい内容でした「優勝おめでとう!」。カンパイぃ~!」と音頭をとった。


 皆な、練習では何だかんだと文句を言っていたが(今年は今の所そうでもなかったが…)、優勝すればやはり気分は良い。


 ヤマちゃんやマメちゃんなどは、大はしゃぎで飲みまくっていた。「私達、何か強くなったんじゃない!?、だってさ昨年と違って相手の攻撃とかレシーブしやすかったし、私のアタックも結構決まってたしネ!、トスもみんなナイストスだったよ!(以上#1レフトヤマちゃんの弁)」


 「実はさ、私も物凄くトスを上げやすかったんだよネ!、チャンスボールが返って来れば皆な正確に私にパスしてくれるし、チョッと苦しいレシーブでも意図して高く上げてくれるからボールに追いつけてトスを上げられたし、本当に今日は楽だった!(以上#6セッターマメちゃんの弁)」


 と、お互いに何回もグラスを重ねカンパイを繰り返していた。


 大御所の2人も、「ヤッパリ勝つと皆な笑顔ネ!、楽しいわ!」と喜んでいた。


 そんなん中、今日はどうしても都合がつかず応援に来れなかった彩姉さんが、「遅れてコメン~ん!、優勝したんだって!?、おめでとう!!!」と言って入てして来た。


 「今日は仕事でどうしても応援に行かれなかったから、気になって気になってしょうがなかったのよ!、でもまた優勝出来たから、皆なと美味しいお酒が一緒に飲めて、本当に嬉しいわ!」と言って、「皆な、優勝おめでとう!」と言って席を立ち、生ビール片手に「カンパイぃ~!」とそのたくましい右腕を高々と上げた。


 彩姉さんが来たので、北極グマ(彩姉さん)とジャイアントパンダ(和気ちゃん)の猛獣コンビが揃い、和気ちゃんも饒舌になって来た。


 和気ちゃんが、「こんな短期間に永竹クラブが複数回優勝したことは、今までになかったよね!?、長い歴史の中でも初めてじゃない?」と言うと、彩姉さんも「そう言われてみれば、本当だ!、凄いね私達!」とあらためてビックリしていた。


 大御所2人も、「確かにこんな短期間で、複数回優勝した記憶はないわ!」と自分達のことなのに、感心するばかりであった。


 『これからの時間』も中盤に入ったころ、A区の連盟から1本の電話がヤマちゃんの所に入った。


 言い忘れていたが、ヤマちゃんはA区の連盟役員でもある。連盟役員と言っても加盟している各チームから必ず1人は連盟の一員とならねばならない決まりがあり、そのなかで2名が役員となるので、ヤマちゃんはその内の1人だった。


 ヤマちゃんはその電話に、「えーっ!?、マジで!?、本当に!?」と言う単語をひたすら連呼しながら応対していたが、最後に「分かりました。皆なと相談してご返事します。ありがとうございました。」と言って電話を切った。


 皆なその様子を見て、どんな話をしたのか興味深々で、ヤマちゃんの発言を待った。

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