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陽介、弱小ママさんバレーチームの監督になる! 6

 しかし、陽介の言ったことを念頭に置きながら練習をしているメンバーは、ほとんどいなかった。きっと自由にやりたいのであろう。或いはやっているように見せかけているのだろう。陽介が気付かないと思って…。陽介は、監督初日の慣れない指導に加え、基礎練習を続けさせていることもあり、メンバーはすでに練習がつまらないと感じているのうだろう思い、しばらくサーブ練習を続けたが、休憩をはさんで今日練習に参加しているメンバーを、グー・パーじゃんけんで2チームに分けてミニゲームをすることにした。


 当然ながら両方のコートに9人ずつ入れる訳ではなく、せいぜい5人ずつであった。「ではこれからミニゲームをします。得点は11点先取。ルールは基本的に9人制バレーボールですが、得点がどちらかに入るごとに、ローテンションを行います。従ってサーブはそのローテンションが行われる順番で打って下さい。」と言い、さらに「なぜローテーションを行うかというと、試合当日メンバーが揃わなかった時、チームの中でその来れなかったメンバーのポジションを埋めなければならなくなります。その時に「私は前衛をやったことが無い!、セッターをやったことが無い!」ということを言わないようにするためです。確かに身長が低いから前衛をやっていないなどの理由はあります。ただ9人揃わなければ、試合そのものを棄権しなければならなくなってしまいます。したがって、メンバー誰しもがこのミニゲームを通じて前衛や後衛・セッターを一応経験しておいてほしいのです。また前衛や後衛・セッターの気持ちを少なからず感じてほしいのです。」と説明して、「コートに9人いる訳ではないので、広く感じると思いますが、空いているスペースは、コートに入っているメンバーでカバーしあって下さい。それと、せっかく今日からあらたに基礎練習を始めた訳ですから、パスの時の体重移動の方向や、サーブを打つ時の心構えを十分に気にしながらやってみましょう!遊びの要素が多い練習ですが、目的を持って臨まないと本当にお遊びになってしまうから…」と言って、ミニゲームを開始した。


 陽介のホイッスルで始まったミニゲームだが、想像以上に監督の指示を聞かないプレーの連続で、さすがの陽介も嫌気がさし、大した指示も出さず淡々と4~5セットやり、その日の練習を終えた。


 いつもであれば、三々五々勝手にネット等を片付け、着替え、『これからの時間』に備え21時に体育館を出るのだが、陽介は練習が終わったあと参加したメンバー全員を集合させ、その日の総括と練習が終わった挨拶を交わすことにした。


 監督初日、陽介にとっては、前途多難な船出であった。


 

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