12月 遠征 親睦大会 28
#11ジャイアントパンダが下を向けば、相方の北極グマもショボンと下を向く。猛獣コンビは一蓮托生だ。
国吉クラブのジャンプサーブが続く。
永竹クラブは、バックレフト大御所の#4川さんがサーブの勢いに押され、ボールを大きくはじく。
国吉クラブのサービスエース。
陽介は、2回目のタイムアウトを要求した。
永竹クラブ7-16国吉クラブ
タイムアウトで戻って来たメンバーは、「そもそも、全国大会ベスト8と対戦していること自体が反則なんだよ!、見たことない攻撃ばかりだしジャンプサーブの威力も半端ないもん」と口々に言った。
陽介は、「相手がどうであれ、永竹クラブは自分達のプレーが出来るように頑張ろう!、それが結果として1点もとれなくとも…。ボールはしつこく最後まで追いかけて、サーブは低くて速くて奥まで、パスは必要以上に丁寧にやろう!、頑張って!」とだけ指示をしてコートに送り出した。
タイム明け、国吉クラブのジャンプサーブが続く。
永竹クラブは、ハーフセンター#16イソちゃんがレシーブしたが、サーブの勢いに押されそのボールは直接相手コートに返った。
国吉クラブは、小柄なハーフセンターが直接左利きの中衛ライトに二段トス。それと同時に国吉クラブでは身長の高いセッターが「A、A…」と言って速攻に入る。
左利きの中衛レフトは二段トスを打とうと助走を始めたが、速攻に入って来ているセッターを左目で見て、何とネットにボールを当てて、そのボールを中衛レフトに長いBクイックのトス上げた。
永竹クラブは、またもや何が起こっているのか分からない様子。
陽介の指示で、中衛レフトの#8ハリっちゃんはストレートコースをマークして、すでにブロックに飛ぼうと腰を沈めている。
レシーバーも、中衛ライトが打つことを前提にレシーブを構えていたので、レシーブの陣形を立て直すことが出来ない。
相手のレフト側をマークする#11和気ちゃんと#1ヨシちゃんのブロックも、そのレシーブを前提としていたので、中衛ライトの#11和気ちゃんはフェイントカバーに意識があって、突然上がったBクイックに全くブロックに付けない状況だった。
国吉クラブの中衛レフトは、左利きの中衛ライトがネットプレーを使って上げたBクイックのトスを、4コンタクト目で綺麗に永竹クラブコートに打ち込んだ。
永竹クラブ7-17国吉クラブ
永竹クラブは、コートに入っている者もベンチにいる者も、皆な国吉クラブの攻撃を感心するばかりだった。
このセット、ベンチスタートの#2ヤマちゃんは「どうするの?、このままじゃぁあっけなく負けちゃうよ!?」と、陽介に聞いた。
陽介は、「何か考えるよ!」とだけ言って、その場をしのいだ。
国吉クラブのジャンプサーブがまだ続く。
永竹クラブは、バックセンター#3キーちゃんがレシーブ。セッター#6マメちゃんはレフト#17よっちゃんにトスを上げた。
#17よっちゃんは、なりふり構わず思いっきりアタックを打った。
国吉クラブはそのボールをバックセンターがレシーブ。#17よっちゃんのアタックの威力に押されて乱れたボールをバックレフトが左利きの中衛ライトに二段トス。
中衛ライトはネットから離れてしまった二段トスを、軽くはたいて相手コートに返した。
永竹クラブは、中衛レフト#8ハリちゃんがオーバーでセッター#6マメちゃんにパス。#6マメちゃんはライト#1ヨシちゃんにトスを上げたかと思ったら、トスフェイント。
タイミング良く鮮やかに決まったと思ったトスフェイントに、国吉クラブの小柄なハーフセンターが突っ込みそのボールを何とか上げた。
しかしそのボールは、真っ直ぐ自陣ネットに当たってしまったが、そのネットボールをセッターがホロー。あらためて中衛レフトが左利きの中衛ライトにトスを上げ、やはり4コンタクト目で中衛ライトはそのトスを決めた。
陽介は、「正直言って、打つ手なし!」と、心の中でささやいた。
永竹クラブ7-18国吉クラブ
国吉クラブのジャンプサーブが続く。
大御所の#4川さんがサーブを打って以来ずーっと、このジャンプサーブだ。
永竹クラブは、バックライト#9井口ちゃんがレシーブ。セッター#6マメちゃんはライト#1ヨシちゃんにトス。
#1ヨシちゃんは、チームの劣勢を受けて弱気なフェイントをした。
国吉クラブは、フェイントカバーに入っていたセッターがのボールをホロー。小柄なハーフセンターがレフトアタッカーに二段トスを上げた。
レフトアタッカーは、永竹クラブの2枚ブロックからブロックアウトをとった。
永竹クラブ7-19国吉クラブ
陽介は、何か行動してリズムを変えないといけないと思い、このタイミングで#4川さん⇒#13シズさんのメンバーチェンジをした。
国吉クラブのジャンプサーブは終わらない。
永竹クラブは、代わったばかりの#13シズさんがレシーブするも、大きくはじかれサービスエース。
国吉クラブが、セットポイントを握った。
永竹クラブ7-20国吉クラブ
続けて陽介は#8ハリちゃん⇒#19イケさんのメンバーチェンジを行った。
「何とかリズムを永竹クラブに戻したい」という、このセット最後の陽介のあがきだった。
国吉クラブのジャンプサーブが続く。正直嫌気がさすくらいだ。
永竹クラブは、ハーフセンター#16イソちゃんがレシーブしたが、勢いに押され中衛ライト#11和気ちゃんの頭上ネット寄りにボールが上がった。
#6セッターマメちゃんがそのボールをトスしようと、中衛ライト#11和気ちゃんの方へ走る。
しかし#11和気ちゃんは微動だにせず、そのボールを助走無しでダイレクトで打とうと構えている。
そこへセッター#6マメちゃんが走って来る。
皆が予想していたように、#11和気ちゃんに思いっきりぶつかってしまった。
#11和気ちゃんはぶつかった拍子にバランス崩し、ボールを打つことが出来ず失点。
永竹クラブは、たった4人しかサーブを打つことが出来ず、このセットを落とした。
永竹クラブ7-21国吉クラブ
主審の第一セット終了の吹笛。
しかし#6マメちゃんは、まだ立ち上がれない。コートに顔を伏せたままだ。
皆な心配そうに#6マメちゃんの顔を覗き込む。
やっと立ち上がったが、鼻から血が出ていた。
それはそうであろう。子供が力士にぶつかって行く有り様と大して変わらない状況で、しかも顔面から当たったのだから…。
国吉クラブも心配そうに#6マメちゃんの様子を見ていたが、ぶつかったもう一人の#11和気ちゃんを心配していたのは、そう、相方の#15北極グマ彩姉さんだけだった。
それでもセッター#6マメちゃんは、血染めのユニフォームのまま、「2セット目も大丈夫だから、スターターで使って下さい!」と陽介に申し出た。