陽介、弱小ママさんバレーチームの監督になる! 5
陽介は、監督になる前に永竹クラブの練習や試合を何回か見ていた訳だから、今更サーブの不甲斐なさに頭を抱えなくてもいいはずななのに、何でこんなにショックであったのであろうかと自問自答した。よく考えてみれば、永竹クラブに顔を出し始めた頃、陽介は20年近くバレーボールから遠ざかっていたこと。今思えば、その頃からサーブの練習しているところをあまり見かけなかったこと。試合においては、レベルが低い地域だったが故に、永竹クラブのサーブの弱さが目立たなかったこと等が原因で、あらためて監督という立場でチームを見た時、そういう事であったのであろうと思った。いや思い込むことで自分を納得させた。
5分が経過し、陽介はホイッスルを吹き練習を止め、メンバーを集合させパスの練習の時と同様に指導を始めた。
一、サーブは、第一試技ではなく、一番最初の攻撃だと思って打つこと。
二、ネットの上の白帯から、上方50cm位の所を狙い、早くて低くいサーブを反対コートのエンドラインまで打てるように、打つこと。
三、サーブがネットを超えない人は、まずボールを、反対コートのエンドラインまで投げる練習をしましょう。
そして、その理由を言った。「一般的に、ただサーブを入れるだけでは、相手に簡単にレシーブする機会を与え、攻撃を受ける可能性が高いです。また、皆さんが相手コートの指示された場所にサーブを打てるとは中々思えないので、エンドラインまで頑張って打ちましょう。サーブを前衛、或いは中衛がはじいても、後衛がそれをホローする可能性がありますが、後衛がはじけばサービスエースになる可能性が高いからです。」陽介はメンバーを諭した後、「では、そのことを念頭に、もう一度サーブの練習をします!」と言った。
(一同)無言。
陽介はパスの練習の時と同様に、無理矢理ホイッスルを吹き、練習を再開させた。




