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12月 遠征 親睦大会 2

 それぞれの座る位置が決まり、着席したのを確認すると、開催県の企業の重役が乾杯の音頭をとり始まった親睦会。参加者が各々グラスを重ねてている様子を見て、企業の担当者が、「それでは、明日の試合の健闘を祈念して、皆さんで楽しい時間をお過ごし下さい!」とアナウンスした。


 陽介とA区の連盟役員は、対戦相手2チームの女性監督を前に緊張しながら、「明日はお手柔らかにお願いします!」と申し出た。しかし対戦相手2チームの監督はそろって、「聞いてますよ!、今までとは違い、かなり練習を重ねているチームが今回のA区の代表だって…」


 陽介とA区の連盟役員は、愛想笑いをして対応したが、内心は「誰が余計な情報を流してるんだ!?」という思いだった。


 最初の会話で出鼻をくじかれた陽介のテーブルでは、お互い気を遣いまくって世間話をし続け、時間が過ぎるのをひたすら待ったが、その他のテーブルでは栄竹クラブの強者達が主導権をとり、テーブルを支配していた。


 中でも彩姉さんと和気ちゃんの猛獣コンビが同席した席では、早くも懇親会終了後の二次会の話で盛り上がっていた。


 「皆さん初めまして、よろしくお願いしますネ!、私達都会で生活してるから、仕事とかで中々チームメイトと一緒に飲む機会ががなくて、今日みたいな親睦会を本当に楽しみにしてたんです!、親睦会が終わったら、私達の部屋で二次会やりましょうよ!、袖すりあう中も何とやらで、こういう機会はあまりないから絶対仲良くなりましょうよ!」と、なかば強引に、しかも飲まない機会を探す方が大変なくらいなのに、飲み会の機会がほとんど無いというウソまでついて、絶対に断れないように二次会に誘っていた。


 さらに、明日対戦するチームのエースが誰だとか、セッターが誰だどか、レシーブの中心選手が誰だとか、根掘り葉掘り聞きまくり情報を集めていた。


 熟女の世間話は、想像以上にプライベートまで遠慮なく入り込む。恐ろしい限りだ。


 そういえば、A区をバスで出発する時、彩姉さんと和気ちゃんが、とんでもなく大きなバックを重たそうに持っていたのを陽介は思い出したが、懇親会が終わった二次会でそれが何だかやっと分かった。


 お互いの健闘を誓いあい、約2時間の懇親会が終わり、各々部屋に戻ろうと席を立ったところで、彩姉さんから、「永竹クラブは、私達の部屋で二次会をやります。国吉クラブさんと八葉クラブさんも一緒なので、皆なさん必ず参加して下さい!」と、指令が出た。


 永竹クラブはもとより、国吉クラブも八葉クラブも断ることが出来ない状況だ。


 陽介は、もう一度温泉に入ってから合流する旨を伝え、遅れて彩姉さんの部屋に行った。


 部屋に入った陽介は、目を疑った。


 10人部屋には既に布団が敷かれていたが、その布団を四方の端にたたんで寄せ、その布団の上に紙コップを手に持った永竹クラブのメンバーが取り囲むように座っている。さらにその中央に部屋にあった旅館のテーブルを置き、国吉クラブと八葉クラブの監督、選手がそれぞれ3人ずつ座らされ、そのテーブルに彩姉さんと和気ちゃんが陣取っていた。しかも大した会話も無く、昔映画でよく見た抗争の和解にやってきた親分を、組の若い者が取り囲んでいるようなシーンそのものだった。


 陽介が、「皆なお揃いで、親睦を深めていますか?」と、あまり気の利かない言葉でテーブルの近くに座ると、よっちゃんが紙コップにビールを注ぎ陽介のところに「はい、ビール」と言って持って来てくれた。


 陽介は、「何か、凄い威圧感があるんだけど、何でこんな配置で座ってるの?、これじゃあ国吉さんも八葉さんも居心地が悪いんじゃない?」と言い、「スミマセンね、いつも飲み会では皆なうるさいくらい賑やかで、お店の人に注意されるくらいなんですけど、今日は借りて来た猫みたいに静かで…、居心地悪いですよね?」と笑いながら国吉クラブと八葉クラブの面々に話した。


 すると国吉クラブのメンバーが、「あれっ?、さっき親睦会で、普段はあまり飲む機会が無くて…と言ってましたけど、よく皆さんで飲むんですか?」と聞いて来た。


 陽介は、「はい。飲まない日を探す方が大変なくらい飲んでますよ!、少なくとも毎週1日多い時は週3日くらいは飲んでますね!」と笑いながら話したが、慌てて彩姉さんが、「陽ちゃん、余計なこと言わないでよ!、私達は飲む機会が少ないからって言ってるんだから!」と小さい声で陽介に言い、「さあさあ、一緒に飲みましょう!」と国吉クラブと八葉クラブの面々に言い、大きなバックから有名な銘柄の日本酒を取り出した。


 陽介は、あの大きくて重そうな荷物の中身は、日本酒だったんだとこの時初めて知った。しかも一升瓶である。あのバックの大きさからいって1本しか入っていない訳はない。


 国吉クラブの監督さんが、「まあまあ、この日本酒わざわざ東京からお持ちになったんですか?、重かったでしょう?」と彩姉さんに言うと、「そんなことないんですよぉ~、皆さんと一緒に飲みたくて!、さぁ、飲みましょう!」と、彩姉さんは笑顔で言った。

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