陽介、弱小ママさんバレーチームの監督になる! 3
チョッと険悪な雰囲気になったところを、陽介に監督を頼んだ一人で、猛獣御一行様の総帥、彩姉さん(北極グマ)が、「みんな陽ちゃんに監督頼んだんだから、言うこと聞いて頑張ろうよ!」と言った。その一言に渋々と練習を再開したメンバーであったが、いずれにせよ酷いパスで、「これでよくコンビネーションバレーをやりたいと言ったものだ。これじゃぁ先が思いやられる」と陽介は思った。
5分間のパスを終え、陽介は皆を集めてパスの指導をした。
「皆さん、今のままのパスでは残念ながらこの先勝つために練習を続けて行くのは無理です。まず皆さんはバレーボールのパスの基本的な体重の移動が、上方向ではなく前方向だということを認識して下さい。ただパスをすればいいということではないのです。」
一、オーバーパスでもアンダーパスでも、パスを出す相手に向かい体重の移動は前方向。上方向に体重を移動すると、ボールは上方向に上がり、相手に届かないか目標と違うところにボールが行ってしまいます。長年基礎練習を積み重ねてきた人や、プロの域の人は、手だけで或いは基本と違う体重移動をしてもその経験からボールをコントロール出来ますが、一般的にはバレーボールのパスにおける体重の移動は前方向です。したがって体重移動を前方向にしようとすれば、かかとが上がり、パスを出した後に必然的に足が一歩前に歩くように出るはずです。その時に気持ち程度にかかとを外側に向けていると、膝の内側に力が入り、前に出やすくなります。本当に気持ち程度でいいのです。
二、パスを出す時は、パスを出す相手の名前を大きな声で呼びましょう。そのことによって目標がより明確になって、正確に相手にパスを出せるようになります。
三、パスを出す時は、自分の立っている位置で動かずに待っているのではなく、パスが来ることを予想して、常にリズムをとりながら、出来ればボールが自分のところに来た時、後ろから前へ動き、ボールをキャッチするようなつもりで捉え、そのまま体重を前方向に移動し、歩くようなつもりでやりましょう。
と陽介は伝え、「そのことをふまえて、もう3分オーバーパスをやります!」と言った。
一同は返事すらしなかったが、陽介は強引にホイッスルを吹き、これまた自前のストップウォッチを押して練習を再開させた。




