11月 一般大会 20
最低最悪の雰囲気のまま2セット目にむかった永竹クラブ。
結局プーアルの長身レフトアタッカーが打つアタックに、ブロックをつくのか?つかないのか?決める前に、2セット目にむかうインターバル終了の吹笛が副審からあった。
永竹クラブメンバーは、誰がどう見ても不穏な雰囲気で、インターバルで何かあったことを醸し出していた。
陽介も当時はまだまだ若輩で、女性プレーヤーに対し十分気を遣って言動をしていたつもりだが、こういう事態になると、やはり腹立たしいと思ったり面倒臭いと思ったりするこたが多々あった。
それは女性を軽視している訳ではない。ただ、物事を解決しようとする時、何故その場でハッキリ言わないのか?陽介には理解できなかった。
勿論、皆な大人であるし多くは子の親でもある。だから気を遣って物を言わないという選択肢は当然ながらよく分かる。しかし原因がハッキリしているのにもかかわらず、その原因には蓋をし、その原因を指摘する者には物を申す。そしてその原因を取り除く勇気もない。弱小ママさんバレーチームには、何よりも優先する諸事情があるのは陽介も経験してきたが、チームを指揮する監督として個人の性格ではなく、プレーについて指示していることをやろうとしないならば、そもそも監督はいらない。仮に嫌々でも指示通りにプレーをして、どうしても納得いかないとチームが判断すれば、試合の後で監督を解任すればいいだけのことだ。
永竹クラブは、陽介が監督になって以降、弱小であることに変わりはないが確かにスキルが上がり、試合内容も良くなっている。したがって自分達は強くて何でも出来ると勘違いする時期に入ったのかもしれない。
この勘違いをしてしまう時期は、永竹クラブに限らず強くなっていく過程でよくあることだ。そしてこの時期が、チームが分裂・崩壊する危機に陥る可能性が高い。
なぜ勝てないのか?ということを、本来であれば、勝てない原因をハッキリとチーム全体が把握して、その原因をチームで解決しなければならないのに、原因が分かっているのにもかかわらず蓋をして、他の原因を探し追及しはじめてしまう。
陽介にも色々と問題はあったであろうが、この試合に限っては、「もうどうなってもいい!」と陽介は本気で思っていた。監督としては最低の判断ではあるが…。
2セット目が始まった。
サーブ権は、1セット目の最後のサーバーがプーアルの長身レフトアタッカーだったので、永竹クラブ。
サーバーは#2ヤマちゃんだ。
バックセンター#3キーちゃんが、いつものように中衛レフトに入り、中衛レフトだった#8ハリちゃんがレフトに入った。
#2ヤマちゃんは、強いサーブを打った。
プーアルは、バックセンターがレシーブ。セッターが長身レフトアタッカーにトス。長身レフトアタッカーは、永竹クラブんのライト#1ヨシちゃんの1枚ブロックの上から、ストレートコースにアタックを打ちこんで決めた。
相変わらず#1ヨシちゃんは、あまり意味のないブロックに飛ぶ。体力の無駄遣いだと陽介は思った。
永竹クラブ0-1プーアル
プーアルのサーブ。
永竹クラブは、ハーフセンター#16イソちゃんがレシーブ。セッター#6マメちゃんはレフト#2ヤマちゃんにトス。
#2ヤマちゃんは、プーアルの2枚ブロックからブロックアウトをとった。
永竹クラブ1-1プーアル
永竹クラブのサーバーは、#8ハリちゃん。
#8ハリちゃんも力強いサーブを打った。
プーアルは、バックレフトがレシーブ。セッターは長身レフトアタッカーにトス。レフトアタッカーはまたもストレートコースにアタックを打ち込み決めた。
しかし今度は、#1ヨシちゃんはブロックに飛ばなかった。
その時、バックライト#9井口ちゃんが、「ヨシちゃん、ブロックに飛ぶのか?飛ばないのか?、どっちかにしてよ!」と大きな声で言った。
#1ヨシちゃんは、返事もしない。
マネージャーの彩姉さんは、「陽ちゃんどうするのよ?、尚更嫌な雰囲気になっちゃったじゃない!、何とかしてよ!」と陽介にせまった。
陽介は、「チームで何とかしないとね!、今の状態は僕ではどうにもなりませんよ。」とアッサリと言った。
永竹クラブ1-2プーアル
この後プーアルのサーブが続き、その間永竹クラブはサーブレシーブが乱れ、チャンスボールを相手コートに返し、プーアルは6本立て続けに長身レフトアタッカーにアタック打たせ、決めた。#1ヨシちゃんはその6本のアタックにブロックをついたり、つかなかったり。バックライト#9井口ちゃんの怒りは頂点に達した。
そして#9井口ちゃんが、「ヨシちゃん!!!」と大きな声を出したところで、キャプテン#1ヨシちゃんが自らタイムアウトを副審に要求した。
永竹クラブ1-8プーアル