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11月 一般大会 19

 ベンチに戻って来たメンバーに「何とかして、このサーブを切ろう!、そのためにはナイスカットは要らないよ!、とにかくコートの中にレシーブして二段トスを上げよう!」さらに、「ヨシちゃん、頑張って!、今長身レフトアタッカーのサーブが続いてて、疲れてレフトのポジションまで戻るのが遅くなってるから、狙うならストレートコースだよ!、さあ皆な今は我慢してとにかくサーブを切ろう!」と陽介は言って、円陣を組みコートに送り出した。


 タイム明け、プーアルの長身レフトアタッカーのサーブが続く。


 永竹クラブは、バックライト#9井口ちゃんがレシーブ。セッター#6マメちゃんはライト#1ヨシちゃんにトス。


 #1ヨシちゃんは、ブロックに遅れた長身レフトのストレートコースめがけアタックを打った。


 しかし主審の吹笛。


 #1ヨシちゃんの打ったアタックは、ネットを越えなかった。


永竹クラブ7-15プーアル


 プーアルの長身レフトアタッカーのサーブが続く。


 永竹クラブは、バックセンター#3キーちゃんがレシーブ。乱れたボールをバックライト#9井口ちゃんがレフト#2ヤマちゃんに二段トス。


 #2ヤマちゃんは、プーアルの2枚ブロックを避けアタックを打ち込んだ。


 プーアルは、バックレフトがレシーブ。セッターは中衛レフトにセミのトスを上げ、決めた。


 しかし、ここでプーアルが突然タイムアウトを要求した。一般的に自分達のチームが有利な展開をしている時は、リズムを崩したくないのでタイムアウトを自分の方から要求することはない。


 どうやら、長身レフトアタッカーのサーブが続いたため、自分のポジションまで戻る体力が無くなってしまったらしい。確か、東京に転勤になって間もないといっていたので、練習不足なのであろう。


永竹クラブ7-16プーアル


 陽介は、相手がとったタイムアウトで戻って来たメンバーに、「このタイムアウトをきっかけに、長身レフトアタッカーがサーブを打っているうちは、おそらくレフトポジションには戻らずレシーブに入ると思います。だとすると多分レフトには中衛レフトがまわるので、今度は2枚ブロックをしっかりついてレシーブもコースに入りましょう!、中衛レフトのアタックはシャープだけど、それほど打点は高くないから絶対にブロックは機能するはずだから!、とにかくこのサーブを早く切ろう!」と言ってコートに送り出した。


 しかし、陽介の指示もむなしく、タイム明け以降プーアルの長身レフトアタッカーのサーブに対応することが出来ず、5点を連続して献上し、永竹クラブはこのセットをおとした。


永竹クラブ7-21プーアル


 陽介は2セット目が始まるまでのインターバルで、「どうしますか?、このままで行きますか?、それとも相手のレフトアタッカーに対してブロックにつくのをやめますか?」とメンバーに聞いた。


 しかし、皆な寡黙で何もしゃべらない。


 陽介は、「黙っていては分からないので、何か言って下さい!」と言った。


 すると、コーチ登録の三輪さんが、「陽ちゃんは、どう思うの?」と聞いて来た。


 陽介は、「僕がどう思おうと、やるのは選手です。この方が良いと思って僕が指示をしても実際やらない選択をしたのも選手ですから。だから僕は選手に選択してほしいと思って聞いているんです」と答えた。


 三輪さんは、「じゃ、陽ちゃんはヤッパリレフトからの打って来るアタックにブロックはつかない方が良いと考えてるのね?」


 陽介は、「そうです。」と答えたが、同時に「しかし、選手が納得しなければ、特に中心選手であるキャプテンが納得しなければ、成り立ちませんので、皆なで決めて下さい。」と言った。


 とその時、マネージャーの彩姉さんが、「陽ちゃん、あまり子供みたいなこと言うのはやめて、ちゃんと指示を出してよ!、陽ちゃんの今の言い分じゃ、まるで監督がいないのと同じじゃない!」と言い出した。


 陽介は多少ムッとして、「そういう状況にしたのは、僕ですか?、何で僕だけが責められなければならないんですか?、ではハッキリ言いましょう。」と言ったところで、大御所の#4川さんが、「今は試合中だから、監督の指示にしたがって、頑張ろうよ!」と言って、陽介が#1ヨシちゃんを責めようとしたのを遮った。


 永竹クラブの雰囲気は、最低最悪。


 正直言って、バレーボールをやれる雰囲気ですらなかった。 

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