6人制バレーと9人制バレーの違い 1
猛獣達が小声で言ったことを気にしながら、その日は和解の酒に浸り、午前2時頃であったろうか帰宅した陽介だった。
さて、陽介は監督を引き受けた訳だが、陽介がやっていたバレーボールは6人制。以前にも述べたが世界中で盛んに行われいるもので、当然ながらオリンピックの種目としても人気のある競技である。しかし陽介が監督をするのは9人制。そもそもルールが違う。
ちなみにバレーボールは1895年頃アメリカで考案され、その後カナダ、キューバ等に紹介され、日本には1913年に紹介されたと聞いている。しかしその頃はまだしっかりとしたルールが出来上がっておらず、日本において独自のルールが作られていったらしい。コート内の人数は当初16人であったが、その後12人に変わり続いて9人制バレーボールに近いものが出来上がっていったという。1947年に国際バレーボール連盟が結成され、アメリカ式のルールを修正し国際ルールが出来上がった。(実際アメリカ式のルールがどういうものだったかは、筆者はよく知らない)日本が国際バレーボール連盟に加盟したのは1951年であったが、当時の日本のバレーボールの多くが9人制であったため、国際試合で行われる6人制バレーボールは、日本においてまだよく知られていなかった。1953年に日本で6人制が採用されるようになり、1964年東京オリンピックからバレーボールが正式種目に加わり、大松監督率いる『東洋の魔女』の女子が金メダル、坂上監督(確かそうだったと思うが…)率いる男子が銅メダルを獲得した。コンビネーション・バレーが確率されたのはこの頃からで、回転レシーブ、時間差攻撃など日本独自の技が編み出された。日本では協調性を学ぶスポーツとして、中学校や高校で体育の授業で取り入れることが多かったことから、一般的にも定着した競技だと聞いている。
陽介が監督を引き受けた当時の9人制バレーボールで、6人制とルールで違うのは、コートに入れるプレーヤーの人数はもとより、ベンチに入れる人数も違っていた。またプレーするにあたり一番違うのは、6人制ではサーバーがローテーションでサーブを1回ずつしか打てないのに、9人制ではローテーションはないが、サーブ順が決められており、そのサーブ順通りに打たないと反則になるがサーブは2回打てること。さらに現在の6人制のルールでは、ブロックに当たった回数を数えず3回以内のコンタクトで相手コートに返せばOKだが、9人制はブロックに当たった回数を数えた上で3回以内のコンタクトで相手コートに返さなければならない。ただし例外があり、ネットにボールが触れた場合は1回多くプレーヤーがコンタクトでき、合計4回以内のコンタクトで相手コートに返せばOKとなる。(1964年の東京オリンピックでは、ブロックに当たった回数を1回と数え、3回以内のコンタクトで相手コートに返すルールであった。9人制のネットに触れれば1回ボールコンタクトの回数が増えるというルールはなかった)さらに、6人制ではブロックのオーバーネットは認められているが、9人制ではブロックのオーバーネットは認められない。そして男子の9人制バレーボールでは、コートの大きさも縦に1.5mずつ、横に75cmずつ広くなっている。その他ネットの高さやメンバーチェンジのやり方など、ルールの違いは多々あるが、決定的に違うのはこのあたりだろう。




