ありえない呼び出し 2
さて、『急用』と言われて22時30分にラーメン屋まで出向いた陽介であったが、ラーメン屋に入ってビックリした。昨日行かなかったから、さぞかしムッとしているのでろうと構えて行ったのに、意外にも猛獣御一行は静かに飲んでいた。
「どうも昨日は来れなくてスミマセンでした。急用って何ですか?」と陽介が聞くと、北極グマが「陽ちゃんゴメンね。どうしても急ぎ伝えてお願いしたいことがあるのよ!」と、すでにだいぶ酔っぱらているのもかかわらず、冷静な口調で話し始めた。陽介は「バレーのことでしたらお断りしますよ!」と言い置き話しに加わった。ところが北極グマが「それがさ~、バレーのことなのよ!」。
陽介はその言葉を聞いた瞬間席を立った。でも座った。ご想像の通り、北極グマのたくましい腕につかまれ、引きずり込まれたのだ。
北極グマは、陽介の感情を全く無視して「陽ちゃんが私達をイヤなのは分かっているのよ。でもね、陽ちゃんがこの前帰っちゃってから(帰って良いと言ったのは、そっちだろうに!)、何回も話をして(いや、絶対に『飲んで』の間違えだと思うが…)、やっぱり試合に勝ちたい!。だからもう一度コーチしてくれないかしら?」と、のたまわった。と同時に猛獣4人が頭を下げてお願いしてきた。
陽介は心の中で、「またまた、調子の良いことを言って、喉もと過ぎれば何とやらで、俺を抱き込んで『これからの時間』でストレスを発散させようという魂胆じゃないの?頭を下げているのも、油断させて様子を見ながらスキを見て食べちゃう、赤ずきんのオオカミのごとくじゃないの?でもそのオオカミは、赤ずきんに腹切られて石を詰められたはずなんだけど…」などと思っていた。(ちなみにこの時、オオカミふんする怖い老婆の面持ちに猛獣御一行様の顔が似ていただけに、素直に受け止められなかった)
そして、「皆さん、お気持ちは分からないでもないですが、ましてや僕が帰った後の大会でボロボロに敗けた訳ですから…。でもね、永竹クラブにはちゃんとした監督がいるでしょ?その監督を差し置いて、僕がチームを作っていくのは無理ですし、道理が通りませんよ」と丁寧に諭すように、また自分が引き受けないように話をした。
しかしながら北極グマは、陽介の話を予想してたかのように「陽ちゃんがそう言うと思って、陽ちゃんさえ受けてくれたら、今の監督は一線を退いて陽ちゃんを監督にするって、自分から申し出てくれたのよ!」「お願いだから引き受けて!チームを勝たせてくれないかしら?」




