困った! 練習が出来ない夏休み
勝利の美酒に酔った永竹クラブだが、優勝をするとチームの意識が、変わって来る。
それまで嫌々やっていた練習も、少しずつではあるが自分から進んでやるようになった。自分達に何が必要でどうすれば試合に勝てるのか?
優勝したことにより、皆な分かって来たようだ。
陽介は、普段の練習でいちいち細かいことを言うのをやめた。メンバーの自主性を尊重しようと考えたからだ。
相変わらず、パスやサーブなどの基礎練習に時間をかけたが、以前のように文句を言う者はほとんどいない。その他の練習も進んでやる。したがって体力もつく。
今の所、チームとしては非常に良い状況だ!
7月の企業の冠が付いた家庭婦人大会が終わると、次は9月の家庭婦人大会。
永竹クラブは、7月の家庭婦人大会で、A区家庭婦人の女王『蕨クラブ』を破り優勝した。しかし3月の家庭婦人大会では惜敗している。
その意味では、9月の家庭婦人大会では、永竹クラブの現段階の実力が試されることになる。
しかし、永竹クラブが練習のために借りている体育館は、公立小学校と中学校。8月は夏休みで毎年借りることが出来る日程が決まっている。しかも今年度は、体育館の改修工事も重なり、9月の家庭婦人大会までに体育館を使用できるのは、何と3回しかなかった。
さらに、夏休みは子供のいる家庭では、色々とスケジュールがあり、全員が練習に参加出来る日が元々少ない。
陽介は、大御所2人にお願いして、他区の練習日に永竹クラブをまぜてもらえないか?
あるいは、参加出来るメンバーだけで練習試合をしてもらえないか?と、必死に練習場所を探した。
陽介は、せっかくチームが良い状況にあるので、ここで中だるみをして、元の木阿弥にならせたくなっかたのだ。
大御所2人が尽力をしてくれたおかげで、普段使用している体育館の使用回数に加え4回練習が出来た。
陽介は、大会前最終練習日の1回前に、スターターを発表し、最後の練習日に実戦練習をした。
ただ、レギュラーが揃ったのは最後の2回だけで、練習不足は否めない状態で9月の家庭婦人大会に、臨むことになった。
陽介が選んだスターターは、7月の家庭婦人大会と同様。
#1ヨシちゃん(キャプテン・ライトアタッカー・像アザラシ)
#2ヤマちゃん(ハーフセンター)
#3キーちゃん(バックセンター)
#6マメちゃん(セッター)
#8ハリちゃん(中衛レフト)
#9井口ちゃん(バックライト)
#13シズさん(バックレフト)
#17よっちゃん(レフトアタッカー)
#19イケさん(中衛ライト)
ベンチ
#11和気ちゃん(中衛・ジャイアントパンダ)
#15彩姉さん(レシーバー・北極グマ)
#16イソちゃん(レシーバー・中衛もこなす、3月に入部した新人)
「皆な、自分達のバレーボールをやって、また優勝しよう!」と陽介は言って、円陣を組ませ、キャプテンのヨシちゃんに声が得させて、練習を終えた。
陽介はモチベーションを上げるために、この日から試合直前の練習終了時に円陣を組ませるようにした。