7月 企業の冠が付いた 家庭婦人大会 3
タイムアウトでベンチに戻って来たメンバーに、「今日の蕨クラブの攻撃は、レシーブ出来ます。こちらのレシーバーもコースに入っているし、全体的にリズムも良いです。ただし、気を抜いてはいけません。蕨クラブはいつものレフトエースがいないとはいえ、他のメンバーはあまり変わってないのだから。さぁこのまま行こう!」と言って円陣を組み、キャプテン#1ヨシちゃんに声掛けさせて、コートに送り出した。
タイムアウト明け、主審のサーブ許可の吹笛。
#9井口ちゃんのサーブが続く。
蕨クラブは、バックレフトがレシーブ。セッターは、なんちゃってBクイックを使ったが、全くコンビが合わず、ネットにかける。
永竹クラブ6-0蕨クラブ
前回の家庭婦人大会で、A区連盟史上最長試合時間を記録した両チーム。主催企業も観客も、白熱した決勝戦を期待していたに違いない。
しかしこの決勝戦、意外にも永竹クラブの強さだけが目立ち、
第1セット 21-8
第2セット 21-10
で、あっさり永竹クラブが優勝してしまった。
永竹クラブのメンバーは大喜び。
2セット目の終盤にメンバーチェンジした、#11和気ちゃんと#15彩姉さんもコートで優勝の瞬間を迎えた。
しかし、陽介も永竹クラブのメンバーも、何か物足りなかった。優勝出来て本当に嬉しいのだけれど、心の底から喜びを味わうのとは、チョッと違うように感じていた。
ただし、この大会に今日参加した全チームの中で、1番だったのが永竹クラブだという事実は変わらない。
閉会式で一連の表彰が終わり、主催企業が、「12月の親睦試合のA区の代表を永竹クラブにします」と発表すると、永竹クラブのメンバーはさらに喜んだ。大会で優勝したことよりも、遠征に出れることの方が、嬉しいと思えるくらい喜んだ。
陽介も「1年で優勝させる」という公約を実現できて、ほっとした。
大会終了後、A区連盟の顧問が陽介のところに来て、「いゃ~、永竹クラブは強くなったねぇ~!、いくらレベルの低いA区だとしても、あなた達は自分達のバレーボールをやったよ。皆な君の指導に感謝してると思うよ。蕨クラブのエースが不在だとかという問題じゃなく、選手は良くやったよ。」と言って誉めてくれた。
陽介は大会終了後、体育館の外で今日の試合で、自分達のバレーボールが出来たことを総括し、連盟顧問が永竹クラブのことを誉めていたことを伝えた。
そして、「皆な、優勝おめでとう!」と大きな声で言って、メンバー全員で『これからの時間』を過ごすため、中華料理屋に向かった。