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選手の思い、監督の思い 3

 結局宴会になってしまった4人の話し合い。


 しかしながら、中学生や高校生の女子を指導するのとは訳が違い、ましてや家庭婦人という立場で頑張っている選手の思いと、中年の男子監督の思いの違いを痛感させられた。一日でもあった。


 陽介は次の練習日、メンバー全員が揃ったのを見計らって、コートで話を始めた。


 「皆さん先日の一般大会お疲れ様でした。試合後の飲み会で色々な意見が出たことを、先日三輪さんをはじめ数人の方から聞きました。皆さんが思っていることはごもっともだったかも知れません。ミニゲーム等でやっていたとはいえ、普段の練習ではやっていないポジションで戦うことを監督に指示された訳ですから。それと勝つことだけにこだわって、皆さんの感情や不安を考えず指示を出し、結果として敗けてしまったことは、全て監督である僕の責任だと思います。つきましては、これからは練習に入る前に、その練習の目的を説明します。そしてチームプレーに磨きをかけ、優勝を目指し一緒に頑張りましょう!」と言い、


 「それでは、7月の企業の冠が付きます『家庭婦人大会』に向けて、練習をして行きたいと思います。まずは、出来ることを正確にやれるようになるために、あらためてパスの練習をします!」とメンバーに伝えると、


 一同 「えぇぇぇ~、また同じことやるの?」


 陽介は、「そうです。まずはパスです。パスをしっかり出来るようになりましょう!」と言い、練習に入った。


 パスの練習が終了すると、今度はいつものようにサーブとサーブカットの練習させた。


 陽介は、次のアタック練習に入る前に、


 「いつもは僕がセッターにボールを出して、セッターがそれを各アタッカーにトスを上げる練習をしてましたが、今日からは9人をコートに入れ、アタックを打たないレシーバーに、コート反対側から僕がボールを投げ入、それをレシーバーがセッターにパスをします。より実践に近い状況で練習をするためです。」と説明した。


 すると、さっきまでいつもと変わらないパスの練習を指示されて、嫌々パスをやっていたメンバーが、陽介の投げ入れるボールを、セッターに上手くパスが出来ない。


 陽介は練習を止めて、「1対1でパスをすることは、だいぶ上手になりました。しかし周りに人がいると、それだけでまた違う気を遣い、上手くパスが出来なくなってしまうことがあります。本番の試合なら尚更かもしれません。この練習でそういった環境に慣れて下さい。」と言った。


 アタッカーには、レフト・中衛レフト・中衛ライト・ライトのポジションを交代で打たせ、


レシーバーはバックレフト・バックセンター・バックライト・ハーフセンターを交代で、さらにコート反対側でボール拾いをしているメンバーと交代でコートに入れるようにした。


例外として、ヤマちゃんだけはハーフセンターからのレシーブとアタックをさせるようにした。


セッターは、マメちゃんとキーちゃんをメインに。そしてヤマちゃんにも練習させた。


 陽介は、次の企業の冠が付いた家庭婦人大会に向け、より実践に近い練習を重ねることにした。


 5月の一般大会が終わってから、7月の家庭婦人大会まで、1ケ月と少し。練習回数で言えば10回前後。


 全員が揃うのは、その内数えるくらいしかない。


 陽介は、根気よく説明と練習を繰り返し、大会2週間前の練習日に「今度の家庭婦人大会は、2枚ブロックでセッターは、マメちゃんで行きます。」とメンバーに伝え、いつもより早くスターターとベンチ入りメンバーを発表した。 

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