5月 一般大会 2試合目 11
普通にセッターに返ったボールを、レフト#17よっちゃんにトスを上げると、ドリーム化繊の中衛ライトは遅れずに、2枚ブロックが揃う。
しかし、二段トスは基本的に高いトスなので、むしろゆっくりブロックを飛べるはずなのに、なぜ遅れてしまいしかもブロックのタイミングも悪く、ブロックの手の平もコートの外に向いてしまうのだろう?
ヒョットするとドリーム化繊の中衛ライトは、6人制バレーボールの経験が長く、セッターが上げるトスに対してはその経験からブロックにつけるが、9人制バレーボールの二段トスにあまり慣れていないので、タイミングがとりにくいのかも知れないと、陽介は思った。
ましてや、企業チーム・ママさんチームにかかわらず、普段の練習で二段トスからの攻撃を受ける練習や、そのブロックの練習をすることは、普段の練習に参加している人数から考えても難しい。
もちろん、全国大会に出場するようなチームや、チームの構成員がプロ級である場合は別だ。
いずれにせよ、ドリーム化繊の中衛ライトは、二段トスからの攻撃に対し、ブロックに難がある。
そこを狙おうとしたのが、陽介の考えであったが、弱小ママさんバレーチームには、もっと試合の経験を積ませないと、チョッとしたプレーで、動揺し収拾がつかなくなってしまう。
永竹クラブも、今まさにその状態だった。
ドリーム化繊のサーブ。
永竹クラブは、バックセンター#3キーちゃんがレシーブ。
セッター#2ヤマちゃんは、ライト#1ヨシちゃんにトスを上げたが、大きく流れてしまいアンテナに当たり、アウト。
陽介はタイムアウトをとった。
永竹クラブ6ー4ドリーム化繊
ベンチに戻って来たメンバーに、「マメちゃん、ナイスレシーブだったねぇ~!、皆なあのナイスレシーブを無駄にしちゃダメだよ!」と、皆が思っていることを、代表して陽介が言って見せた。
さらに陽介は、「せっかく良い内容の試合が出来ているんだから、早く切り替えて、僕が指示した事をプレーにいかしてやりましょうよ!」と言って、円陣を組みコートに送り出した。
しかし、気持ちの切り替えには、かなりの時間が必要であった。
陽介が監督になってから、永竹クラブの普段の練習は、基礎練習とレシーブ練習に時間を多く使い、中でも『追わないボールは一生拾えない!、ボールが少しでも上がったら、必ず追うように!』と、練習をしてきた成果が、この試合までは少なからず出ていた。
しかし、毎回決勝戦まで進出するドリーム化繊と対戦して、1セット目は良いところが無かったが、2セット目の自分達のプレーに可能性を見たのだと、陽介は思った。
だが、経験が少ないが故、#6マメちゃんのレシーブをつなげなかったことで、自分達のプレーの可能性を、早々に諦めてしまったようにも、陽介には見られた。
本来であれば、キャプテンをはじめとするチームの中心選手が、そういったプレーの直後に、「もったいないよ!、マメちゃんゴメンね。ホロー出来なくて、皆な次からは絶対にボールを落とさないよ!、切り替え、切り替えて行こう!」などと、コートの中で言って、チームをまとめたりするが、弱小ママさんバレーチームでは、それに期待するのも酷かも知れない。
何とかしてやりたいと、陽介は思った。
ドリーム化繊のサーブ。
ハーフセンター#6マメちゃんがレシーブ。セッター#2ヤマちゃんは、中衛レフト#8ハリちゃんにトス。
#8ハリちゃんのアタックは、ドリーム化繊のバックレフトがレシーブ。
ドリーム化繊のセッターは、速くて低いトスをレフトアタッカーに上げる。
永竹クラブは3枚ブロック。
中衛ライト#19イケさんがワンタッチ。
ハーフセンター#6マメちゃんが、ライト#1ヨシちゃんに二段トス。
また#1ヨシちゃんの前に3枚ブロックがついた。
ライト#1ヨシちゃんは、その3枚ブロックの真後ろにフェイント。
ドリーム化繊の3枚ブロックの真後ろには、誰もいない。ボールは、コートに落ちた。
永竹クラブ7ー4ドリーム化繊




