弱小ママさんバレーチーム 再び1
再び
2005年早春、一人のデブが立ち入ってはいけない団体に顔を出した。
名前は陽介、身長180㎝・体重118㎏、生活習慣病を宣告され、やむを得ず体を動かさなければならなくなった故の選択であった。今思えば勇気ある選択であった。
その団体は、家庭婦人大会を主戦場としている9人制バレーボールチーム(いわゆるママさんバレーチーム)、「永竹クラブ」である。
ところで皆さんは、ママさんバレーがどういう競技かご存知であろうか?
9人制のバレーボールで、いわゆる家庭婦人を経験した者が構成員となって行われる競技で、その人口はかなり多い。一口に家庭婦人と言っても、結婚したての若い家庭婦人もいれば、子育てが終わった者・バツ1バツ2・・・など、幅広い年齢層から構成されている。また男性には全く理解できない事柄でバトルが始まったり、寡黙になったり、収拾がつかなくなったりするなど、国会の紛争がまともに見える現場である。争いごとが好きで、その渦中に身を置きたい人は、弱小ママさんバレーチームの男子監督を、是非お勧めしたい。
さて、陽介は高校生の時バレーボール部活動に励み、大学生の時は母校のコーチとしてその培ってきた技術などを高校生に指導していた。大学卒業と同時にバレーボールから離れ、サラリーマンを経験した後、実家の家業を継いでいた。
ところが日頃の不摂生が祟り、40歳を目前にを生活習慣病宣告され、運動することを余儀なくされた。陽介は友人に運動する機会がないかと相談し、友人も通っていた地元のママさんバレーチームに顔を出すことにしたのだった。
最初は自分のなまった体を動かそうという思いだったので、なんとなくチームの練習を見ながら、ストレッチなどで体を動かしていたが、そこは「三つ子の魂百まで」、自分もバレーボールをやりたくなってきた。
陽介のやっていたバレーボールは6人制、現在オリンピックをはじめ世界で行われているバレーボールの種目であった。しかしママさんバレーは9人制で、陽介には初めての経験であった。とは言え、レシーブ練習などの基本的な動きは6人制と変わるまいと思い、「僕も練習に参加させて下さい!」とコートの中に入った。