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なんかさわやかな死臭漂う感じの詩集

しじみのし

作者: せぶこ向坂

 ぼくはしじみ


 みんな大好き おいしいお出汁がでる あのしじみだよ


 お酒をのんだあとにも良いらしい あのしじみだよ



 今日はそんなぼくのことを 少しだけ知ってもらいたいんだ





 こんな小さなからだだけど 寿命はだいたい7年くらい


 長生きすると10年よりももっと


 けっこう長生きでしょ



 あさり君とくらべると 小さく縮んでるように見えるんだって


 だからちぢみ しじみ



 漢字でかくと 蜆


 小さなものという意味で虫 浅瀬に現れるから見


 ふたつ合わせて蜆なんだって


 ぼくは貝なのに 虫だなんて とってもふしぎ



 ぼくはよく おみそ汁のお出汁として使われているよ


 でも みんながみんな ぼくの身まで食べてくれるわけじゃあない


 あんなにたくさん使うんだから 少しは食べてほしい かな


 つくだ煮のほうが ちゃんと食べてくれるから


 まだ いいかな



 遠いくにからやってきた ぼくの仲間もたくさんいるよ


 今ではみんな あっちこっちでげんきに暮らしているよ


 みんなも とってもおいしいんだ



 でも でも





 ぼくは うそをつきました


 ほんとうは 食べてほしくなんてない


 ほんとうは 死にたくなんてない



 なんで生きているのかは わからないけれど


 やっぱり 死にたくはないよ



 でも ぼくたちはとっても小さいから


 虫なんて言われちゃうくらいに 小さいから


 大きなにんげんには かなわない



 だから せめて


 ぼくたちをころすなら


 ぼくたちをねこそぎ連れていって ころすなら


 遠いくにから連れてきて ころすなら


 せめて ぜんぶ食べてほしい かな





 ぼくたちのからだは小さいけれど


 ぼくたちの声が とどくといいな



 とどいたら いいな









 しじみのし しじみのし


 いや たぶんにんげんのし




 ところで私は貝類を食べません




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― 新着の感想 ―
[一言] 実は切ないなんて、しじみから想像出来なかった。 深い。とても味わい深い“し”ですね。
[良い点] なんかおもしろかったw
2018/11/06 09:41 退会済み
管理
[良い点] 読後感が最高でした。 [一言] 途中お茶吹いたんですが。構成が素敵でした。
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