表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/66

 10年前の家族  レフィハルトside

本編の合間に名前だけ出てきたレフィハルトの家族の最期の会話です。

過去話なのでレフをレフィハルト表記にしてあります。


真面目な会話は期待しないで下さい!

 

 ―――――10年前。


 イノンド王国に無くてはならない名門中の名門。

 エイルズベリー辺境伯爵家。

 現当主エイルズベリー辺境伯の次男ユリフィス・マクビウェルは王宮内兵舎所属の第5部隊3班の班長を勤め、もうすぐ第5部隊の副隊長に昇進予定の実力者である。

 背が高く顔立ちも整った美丈夫で女性にとても人気であったが、彼は大変な愛妻家として知られていた。

 一方、妻であるメルローラ・マクビウェルはある日いきなり現れた素性が知れない女であると噂されていた。彼女は大変美しく、月の女神と称される美貌であった為、嫉妬や羨望で良からぬ噂を立てられているというのが大方の見方だ。実際は妖精女王の娘であり、その正体を公にできなかっただけだが。

 そんなマクビウェル夫妻には目に入れても痛くない程可愛がるふたりの子供がいた。

 母親似の美貌に、若いながら文武両道な資質は父親似の13歳になる息子レフィハルト。

 父親と母親両方の柔らかく優しげな部分を集めた愛くるしい5歳の娘フェレイラ。


 この美しく仲睦まじい一家が毎年決まってユリフィスが有給休暇を取れる夏も終わる秋口頃に、王領地の森にあるエイルズベリー家が所持する屋敷に行くのは知れた話だ。

 今年は珍しくユリフィスの友人家族も集まるのでいつも以上に賑やかになる予定であった。


 王領地手前の森を走る一台の馬車。

 ガタゴトと街道を移動する馬車の手綱は御者に任せ、マクビウェル一家は馬車の中で旅を楽しんでいた。


「今年はイシュタトンに会えるだろうか?奥方が亡くなったばかりで暫く会えていないから会いたいな。気の早いコークの家族は着いたらしいけどね」


 父ユリフィスが友人達について話題を出す。

 レフィハルトは物心つく頃からイシュタトン伯爵というユリフィスの学生時代の後輩には会った事がない。赤子の頃にはよく会っていたらしいが、どうやらイシュタトン伯爵のひとり娘の出産辺りから奥方の体調が思わしくなく、イシュタトン領からあまり出る事がなかったらしい。その為、王宮勤めの父とはたまにしか会っていなかった様だ。

 コークと呼ばれているのは、イノンド王国の現国王陛下コークランディル・フォンターネ・イノンド様。同級生で仲の良かったユリフィスは特別にコークと愛称で呼ぶことが許されている。

 どれだけ楽しみで先乗りしているのだと思うが、何度も会った事のあるレフィハルトは国王陛下の性格を思い浮かべて納得した。

 母メルローラは首を傾げて夫に微笑みかける。


「どうでしょう?イシュタトン伯爵は気まぐれ屋さんですからね。確か、小さなお嬢さんがいるのでしょう?」

「ああ。フェレイラの2歳上で7歳になるのだったかな?かなりのお転婆さんだが将来有望な可愛いお嬢さんらしい。レフィハルトのお嫁にどうだろう?」


 呑気なユリフィスがさらっと息子の婚約話を振ってくる。

 年の近い子供を持つ貴族出身の親達にはありがちな話題だが、イシュタトン伯爵の娘に会った事のないレフィハルトとしては、興味もないので本人の居ないところで適当に決めてもらって構わなかった。どうせ拒否権もないだろうし、下手に自分で探すより楽だろうぐらいの気持ちだ。

 その為、無言で流して両親の会話に参加しない事にした。


「あらあら。彼が可愛いお嬢さんの婚約を許してくれるかしらね。ユリフィスだって、冗談でコーク様がヴォルディ様のお嫁にフェレイラをって言われて怒っていたじゃない?」

「コークのあれは、冗談じゃない可能性が非常に高い!君にだって本気でふざけた求婚して義母様を怒らせていたじゃないか。絶対にフェレイラをヴォルディにはやらんぞ!だから、レフィハルトには会わせているが、今後もフェレイラには会わせない!!」


 ユリフィスが馬車の屋根に向かって叫ぶのを聞きながら、これさえなければ完璧超人と言われている事を思い出す。

 レフィハルトが王宮に顔を出した時に知り合ったユリフィスの部下曰く、家族大好き過ぎてレフィハルトやフェレイラが赤子の頃は片時も目を話したくないと愚図り、昇進の話を断ってまで仕事を減らすという暴挙に出たらしい。

 まぁ、そんな父をとても尊敬しているし愛している。感情の薄い自分がハッキリ家族を愛していると言えるのは、過剰に愛を表現する父のお陰かもしれない。


「でも、今回は子供達全員一緒に遊べるのでしょう?フェレイラだけ仲間外れは可哀想よ。フェレイラはヴォルディ様に会いたくない?」

「だあれ?レーラは、おばーさまに会いにきたのよ!おばーさまに会える?」


 メルローラの言葉に、まだ自分の名前を上手く発音できないフェレイラが首を傾げた。

 毎年王領地のエイルズベリー邸に行くのは妖精女王の祖母に会う為なので、フェレイラはそちらの方が気になる様だ。


「ええ。フェレイラのお祖母様は、フェレイラとレフィハルトに会えるのをとっても楽しみにしているわよ!」

「ふふふっ!レーラも楽しみ!!レフルトおにーさまは?だれに、1ばん会いたい?」


 可愛い妹が擽ったそうに笑い、ずっと黙っているレフィハルトに話を振ってきた。


「俺?・・・俺はお祖父様かな。魔術を教えて欲しい」


 少し考えて祖父を出す。

 妖精女王の夫である祖父が人間に魔術を教えてみたいと話していたのを思い出したのだ。

 今年辺りからレフィハルトもどうだと誘われていたが、集中的に修行する2年間は親元を離れるように言われた。祖父には協力してもらい、両親の説得をして離れる許可を貰いたい。

 レフィハルトは将来魔術師になり、軍に入って父とは別方向から実力主義の改革の手伝いをしたいと考えていたのだ。軍には15歳から入隊できるので、2年修行してからなら丁度良い。


「あ!レーラもおじーさまに会いたいな!レーラもまじゅしゅ?ならうのよ!」

「フェレイラはまだ無理だよ」

「なんで!?レーラだってできるもん!レフルトおにーさまのいじわる!いじわるなおにーさまきらいよ!!」


 フェレイラはレフィハルトの真似をしたいだけだろう。何でも兄の真似をしたい年頃だ。そもそも魔術師が何かもわかっていない。

 しかも、あまり幼いと力の制御が難しいらしいから無理だと言ったのだ。それでも愛する妹に嫌いと言われてしまいかなりへこんだ。

 予想以上のダメージに、撤回してもらうべく言い訳をする。


「意地悪じゃない。俺と8歳離れてるフェレイラにはまだ少し早いと思っただけだ。嫌いなんて言わないで、俺はフェレイラが大好きだから。お祖父様に教えてもらえるか聞いてみるからさ、ごめんね?」


 そっぽを向きながら頬を膨らませ、足をパタパタと動かしていたフェレイラが後半の言葉にチラッとレフィハルトを見る。何をしても可愛い妹だ。


「むぅ!レーラもほんとはレフルトおにーさまだいすきだからゆるしてあげる!」

「レフィハルトばっかりズルい!お父様だってフェレイラ大好きだぞ?勿論、メルローラもレフィハルトもみんな愛してる!!」

「ふふっ。ユリフィスのそう言うところ、私も愛してますよ?」

「メルローラ!!」


 フェレイラの御許しにホッとしている間にユリフィスが騒ぎ出した。そのままメルローラとイチャイチャし出すので、サッとフェレイラの目元を覆う。

 両親を愛しているし仲が良いのは喜ばしいが、正直子供の前では控えてほしい。自分だけならば気にしないが、フェレイラの教育上宜しくない気がする。


「お父様、お母様。イチャイチャするなら子供のいないところでして下さい。フェレイラがヴォルディとか、どっかのガキと気軽にキスし出したらどうするんですか?」

「なっ!?赦さん!そんなガキ締め上げて、」

「こらっ。ユリフィス違うでしょう?」

「だって、メルローラ!わたしのフェレイラが!!」


 そう思うなら気を付ければ良いのに。

 メルローラは焦るユリフィスを笑いながらあしらっていた。


「困ったお父様だこと。ねぇ、フェレイラ。キスは1番好きな人としかしちゃ駄目なのよ?」

「1ばん?じゃあ、これからレフルトおにーさまだけしかちゅーしちゃだめ?」

「なぁっ!?フェレイラ!お父様は?何でレフィハルトなんだ!?」

「だって、おとーさまはおかーさまが1ばんでしょ?だからレーラはおにーさまが1ばんよ!レフルトおにーさまもレーラが1ばんでしょ?」


 父には悪いがちょっと優越感に浸る。フェレイラは無意識だが、からかうと面白い父が悪いと思う。


「ああ。お兄様もフェレイラが1番だ」

「わーい!」

「ぐぬぬぬっ。俺の子達の仲が良いのは嬉しいが、お父様は仲間外れにされて悲しいぞ!」

「あらあら。ユリフィスには私がいるでしょう?」

「メルローラー!!俺には君だけだ!」

「・・・お父様煩いです」

「レフィハルトが酷い!?」

「ねー!レーラ馬車あきちゃった!よーせーの道でいきたい!!」

「なぬ!?じゃあ、いつも仕事でお父様と一緒にいれないんだから、お父様もフェレイラと一緒に行こうかな?」

「あらあら、ユリフィスはフェレイラと違って妖精界で簡単に動けないから駄目よ。フェレイラだって、まだ迷子になるかもしれないからひとりは駄目」


 メルローラが笑顔でばっさり切り捨てる。

 確かに、いくら優秀なユリフィスと言えど普通の人間である。幼く判断に不安があるフェレイラとふたりで妖精界になど行かせられない。

 メルローラがフェレイラを連れて行くのもユリフィスが騒ぐので無し。

 だからと言って街道を走る馬車を空にするのも、端から見たら不審すぎるので論外である。


「「え~~~」」


 ユリフィスとフェレイラが声を揃えて嘆くのを一頻り眺めてから、仕方ないのでメルローラに提案する。


「俺がフェレイラと一緒に行きましょうか?」


 幼いフェレイラが馬車でじっとしているのは飽きるだろう。そして、レフィハルトならば自由に妖精界を出入りできる。日頃聞き分け良く信用を得ていた事もあってかメルローラが思案してくれる。


「あら?レフィハルトが連れてってくれるの?そうねぇ、そうしてもらおうかしら」

「わーい!レフルトおにーさまといっしょ!」

「はい。馬車を空にする訳にもいかないでしょう。お父様ひとりで残すと煩そうですし、お母様はお父様と存分にイチャイチャして下さい」


 メルローラが頷くのを確認してユリフィスを見やると、がっくり肩を落として項垂れていた。


「レフィハルトの俺の扱いが酷い!!父としての威厳が足りないのか!?」

「いえ、お父様の事は全面的に尊敬してます。ただ唯一、家族に甘過ぎて心配ですが」

「ぬぬっ、なかなか可愛い事を言うじゃないか。俺の家族は最高過ぎる!」

「ふふっ、良かったですね。レフィハルトはお兄様としてきちんとフェレイラの面倒を見てあげてね」

「はい。では、行こうかフェレイラ。俺の手を離したら駄目だからな」


 母の言葉に頷き、止めた馬車から降りてフェレイラとしっかり手を繋ぐ。


「はーい!」


 元気よく返事をする妹を連れて、両親に手を振って別れる。

 この時、これが両親の最期になるとは思ってもみなかったのだ。


 そして、ふたりと離れた道中で馬車をブロメルに雇われた賊が襲い、不運にも両親は崖から墜ちた。

 様子を見に行ったレフィハルトもアルマン・ブロメルに切られてしまい意識を失う。


 重傷を負ったレフィハルトが目覚め、この件の詳しい真実を知るのは数週間後であった。




ユリフィスはこんなキャラでした!


週一くらいで小噺書く予定です( ̄∇ ̄*)ゞ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ