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27 お留守番と護衛

読んでいただき

ありがとうございますヽ(・∀・)


まだまだ続くレフの攻撃。

 

 ラダフィーナの早期発見により、慌てて身支度を整え直したモルディーヌ達は出迎えの為に階段を降りて行く。

 丁度、レフと一緒に明るいオレンジ色の髪の少年が玄関ロビーから応接室へ案内されるところだった。

 レフが先にモルディーヌ達に気付き顔を上げた。少年がレフの動きにつられて気付き口を開いた。


「ごきげんよう麗しきお嬢様方。美しく成長された皆様に久方ぶりにお会いでき光栄です。こんな今シーズンの終わりでなく、もっと早くお会いできなかった事が悔やまれますよ」


 昔の面影を少しだけ残し、優しげだが逞しく成長した17歳の幼馴染み。リアン・ガウェンディックが顔を上げて、モルディーヌ達に気付くと優雅にお辞儀してきた。

 昔は一緒に草地を転げ回りケンカもした近所の少年。まだ子供っぽさが多少残ってはいるが紳士服を着こなし立派になったものだ。

 元から可愛らしい顔立ちの少年だったが、今は柔らかい目許が印象的なイケメンの部類に入る整った顔立ちになっていた。


「へぇ。タニミア好みに成長したわけね」


 階段を降りきり、揃ってカーテシーをしながらタニミアに小声で言ったら肘で小突かれた。地味に痛い。

 ふと、タニミアに視線を移したリアンの緑の瞳が輝く。


「タニミア!昨日は楽しかったよ。是非また時間があれば一緒に出かけてもらえるかな?今日はずっと護衛で一緒にいられるなんて嬉しいな!」


 犬の耳とちぎれそうなぐらい振るしっぽが見える気がする。素直で忠犬っぽい。

 分かりやすくタニミアに好意を寄せるリアンは周りにいる他の幼馴染み達など見えなくなった様だ。さっき同い年は子供だとか言っていたタミニアの表情は満更でもない様子で頬を染めていた。いつもと違う様子の従姉が可愛い。


 恋するとキラキラして可愛くなるっていうもんね!

 私もそうなるのかな?


 チラッとレフを見ると、彼はずっとモルディーヌを見ていたようで、ばっちり目が合ってしまう。朝のやり取りから先程の従姉妹達との会話を思い出して少し気まずい。


「今日は作戦上俺が君の側に付くことは出来ないから、代わりにリアンを連れてきた。全員と顔見知りなリアンならゴツい兵士が来るより気楽だろ?まだ若いが腕は優秀だから、多少は任せられる。・・・ところで、機嫌は直ったか?」

「何の事?」

「ニーアが君に怒られてからずっと反省していた。正直奴等は人を理解できず勝手なことをするが、やらないと誓ったなら約束は守る。可能ならばまた護衛に付けても大丈夫かと気になってな。アレでもいてくれると何かあった時俺に知らせをすぐくれるから駆けつけられる」

「ふーん?私まだ怒ってるのよ。何にも色々と教えてくれないご主人様がしっかりして監督してよね。貴方は私をニーアのお嫁さんにしたいのかしら?」


 モルディーヌがそっぽを向くと、レフが距離をつめて振り向かせるべく顎を掴んできた。距離の近さに抱き締められた時を思い出しそわそわしてしまう。

 今は漂うシダーウッドの香りも心を落ち着けてくれない。


「そんなわけないだろ。何があってもあんなアホ妖精に譲らない。だが、君も俺以外に隙を見せるな。あまり周りを誘惑してると、君の返事を待たずにさっさと結婚して俺が閉じ込めるぞ」


 息がかかるくらい近く。レフに耳許に囁かれたモルディーヌは急激に体温が上がり、カッとしてしまった。


「失礼ね!そんな事してないわよ!もし隙があるなら貴方の言う不可抗力ってやつよ。だいたい、ニーアの事だって、匂いで貴方かと思って油断しっ――――――い、今のなし!!」

「いや、待て!今どういうつもりで、っぶ!?」


 混乱したモルディーヌは咄嗟に全力で両手を上げ、レフの顔ごと口を塞いだ。絶対顔を見せられない!!

 ふと横から視線を感じて振り向くと、従姉妹達とリアンが呆気に取られて此方を、特にレフを見ていた。

 モルディーヌの気がそれた隙に、周りなど気にもしないレフに手を剥がされ、そのまま腕の中に囲われた。また捕獲!?

 顔を塞がれ周りの視線が見えてなかっただけかもしれないが、見えてても気にしなさそうだ。わざとやってる策士か、素でやってる天然!?


「俺の魅力不足で嫌われないなら、もう黙秘権は行使させない」

「じゃあ、保留。・・・だめ?」


 カッとなった失言が悔しい。真っ赤な顔でむくれたままレフを見上げると、レフが口許を手で覆って視線をさ迷わせた。


 あれ?照れた?

 これは・・・押せばいける?


「私、朝の事で驚いて悲しくて、これ以上考えて貴方を嫌いになりたくないわ。昨夜待ってくれるって言ったの嘘だったの?」

「あ、ああ。そう、だな。わかった・・・もう少し待つ」


 項垂れたレフから脱出成功したモルディーヌは、タニミア達に「モルは天使じゃなくて小悪魔だったのね」と呟かれた。違います。悪魔並みに謎のまま迫ってくるのはこの人です。

 リアンはレフとモルディーヌの顔を交互に、驚愕の目で見ていた。何でだろう?


「まさか、レフ兄様が・・・モルディーヌの事だったのですか?兵士が噂してましたが本当に?」

「兵士が噂?」


 リアンの呟きに、モルディーヌとレフは首を傾げた。

 レフ兄様とか呼んで仲良さげだ。しかし、みんな彼をレフと呼んでいるが、ずっと偽名を使っているのだろうか?あの兵士が呼ぼうとしていた名前が気になる。もうちょっと、ちゃんと聞いておけばヒントを得られたかも知れないとモルディーヌは歯噛みした。

 首を傾げるふたりの様子にリアンはさも重大な事を告げるようにごくりと唾を飲み込んでから口を開いた。


「昨日、レフ兄様がヴォルフォレスト・ハイガーデンで溺愛する恋人と仲良くデートしていたと聞きました。普段は鉄仮面の冷血人間と言われるレフ兄様が、親密にエスコートしたり、人前で恋人の髪に愛おしげにキスしていたり、危ない目に遇いそうになった恋人をずっと抱き締めていたり、ただの兵士に嫉妬したり、誰も見たことのない微笑みで恋人へ接するので別人かと疑ったと兵士達が騒いでいましたよ」

「何ですって!?何でそんなにばっちり見られているのよ!?誰も恋人だなんて言ってないわよ?違うもの!」


 いや、何かその辺だけ強調されたら恋人みたいだけど。

 その直前に話をするまで本気で殺されると思ってましたが?

 キースの妹のアンに狙われた馬車事故だって、狙われた私からしてみたらそんな甘い雰囲気に見られてるなんて心外だわ!

 こんな謎だらけのわけわからない人!

 でも、抱き締めてくれる腕に安心してしまうのは何故?

 2、3回目は殺す気がないとわかっていたとして、1回目は?

 誰に抱き締められているかわからなかった状況なのよ?


 いくら狙われた後とは言え、普段のモルディーヌはそんなホイホイ人にすがり付く様なふしだらな事はしない。ぶつかってもすぐに身体を離して謝るぐらいだろう。誰にぶつかったかわからない状況なら尚更だ。むしろ、狙われた直後だからこそ警戒する筈だ。

 次々と色んな事があったせいで考えもしなかった。

 ずっと赤らんでいる顔を見せたくなくて、バレない様にこっそりレフを盗み見る。

 が、すぐに目が合ってしまう。何でよ!


「そうだな、俺の想い人だと兵士に言った。しかし、いずれ恋人になるならば噂になっていようが関係ないな。それで虫除けしている間なら広い心で君を待てるかもしれない」


 恥ずかしさで戦慄くモルディーヌと、頷きながら機嫌の良さそうなレフ。

 モルディーヌが良い返事をすると決めつけるようなレフの反応に、ムッとしてレフを睨み付けて返す。本当に、どういうつもりで言っているのだろう。


「全部事情とやらを聞くまで考えないんだから!前にも口説かないでって言ったでしょ!」

「無理強いはしたくないが、口説くのは止めない。俺を選ばせる為にも止められない。―――――さて、名残惜しいが俺はそろそろ戻る。後はリアンに任せるからしっかりやれよ」


 しれっと言い捨て、リアンに顔を向けるレフの横っ腹をグーで殴るが、まだ距離が近いせいか威力が足りない。しかも腹筋が硬いせいでびくともしない。むぅ。

 リアンは嬉々としてレフへ敬礼した。


「承知しました!お任せ下さい、レフ兄様!」

「ああ。ニーアには外を見張らせるから、何かあったら知らせろ。モルディーヌ、大人しくしていろよ」


 レフはそう言って当たり前の様にモルディーヌを引き寄せ、頭のてっぺんにキスしてから去って行った。まるで恋人の様に。

 モルディーヌは暫く呆気に取られて突っ立っていたが、じわじわ全身火がまわったかのように熱くなる。今、従姉妹達がにやにやしているであろう方を絶対見られない。


 この空気どうしてくれるのよ!




昨日更新できなかったので

今日はもう一回更新できるように頑張ります!


次から作戦進めます!

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