*登場妖精紹介*
※実際に伝えられている妖精を参考に紹介していますが、あくまでこの小説の中の参考ですので正しい情報だけではありません。
人物以外にも精霊やら妖精が増えてきたので、会話上の解説を振り返らず解るように基本情報を記載しておきます。
後は、一般的な妖精で大して解説をされずに流されたのも参考までに。
*首なし紳士
首のない男の姿をした妖精。コシュタ・バワー(首無し馬が引く馬車)に乗って、片手で手綱もう一方の手には自分の首を持っている。
嘆き妖精と同様『死を予言する存在』であり、近いうちに死人の出る家に現れる。そして、戸口の前に停まり家人が戸を開けるとタライにいっぱいの血を顔に浴びせかける。
姿を見られる事を嫌っており、姿を見た者は鞭で目を潰される。だが、コシュタ・バワーは水の上を渡る事が出来ないので、川を渡れば逃げきれる。
*嘆き妖精
女の妖精。気に入った家の家人の死を泣き声で予告すると言われている。複数が泣いた場合、死者は勇敢な人物か聖なる人物であった証とされる。
たとえ故郷を遠く離れている者にも、故郷にいる家族の死を伝える。
どんなに熟睡しようと飛び起きるほどの凄まじい叫び声で泣き、泣いている時姿は見えない。
長い黒髪で緑色の服に灰色のマントを着た女性の姿。目はこれから死ぬ者のために泣くので燃えるような赤色。バズヴと呼ばれる大鴉とも言われる。
*ベン・ニーア
白い鳩の姿をした妖精。主の命令でモルディーヌを助けてくれた。嘆き妖精の変種で泣く妖精と呼ばれる。人の姿だと、真っ白な髪に赤い瞳。緑の服、灰色のマントを着た美少年。
*メリュジーヌ
上半身は美女の姿だが、下半身は蛇や魚の姿で、背中にはドラゴンの翼が付いている。ドラゴンメイドやセイレーンとも呼ばれる。
泉の妖精プレッシナと王エリナスの子。母親の出産時に禁忌とされていた妖精の出産を父が見てしまったために、メリュジーヌと2人の姉、メリオールとプラティナは妖精の国に戻される。仕返しに父を洞窟に幽閉した。ところが母は夫を愛するがゆえに、娘達に呪いをかけた。呪いは、週に1日だけ彼女の下半身が蛇の姿となるというもの。誰かと愛を育むには、その1日に彼女の姿を見ないという約束を果たせる者。ある伯爵の前に美女の姿で現れて求婚し、妻となって後は彼を助けるが「日曜日に必ず沐浴するので、決して覗かない」という約束を夫に破られ正体を知られる。夫は人間でないことを知っても知らぬふりで妻を愛し続けたが、2人の間に生まれた気性の荒い異形の10人の息子達の一人が殺人を犯した事に激昂し、息子達の欠陥原因を彼女の正体のせいだと罵倒した為、傷ついた彼女は正体を消した。
他者には不妊改善、豊穣、さらには再生を生み出す存在とされる。
*家妖精
家に住みつき栄えさせる妖精。
容姿は身長は1メートル弱で、茶色のボロをまとい髪や髭は伸ばし放題。鼻は低くしわくちゃな顔。
家人のいない間に家事を済ませたり家畜の世話をするなど、人間の手助けをする。人間はその礼として、食べ物などを部屋の片隅にさりげなく供えて応え、決してあからさまに付与してはならない。もしあからさまだったり衣服を与えてしまうと怒って家を出て行ってしまう。
*悪霊
悪い妖精の総称。
良い妖精に対する存在。
親切にしても、人間に対して好意的になるということはない。
助けてくれたお礼をすると言って故意に恩人を傷つけ、ありとあらゆる方法で幸運をさらってしまう。
大半は集団で人を狙って、妖精の矢を射かけたり、家畜を襲い、病気にさせたり、穀物を枯らしたりする。
半人海馬や黒い小人、赤帽子という一人暮しの妖精もいる。
悪霊に対しては、堅いパンの皮や、灰、ナナカマドの実で作った十字架、開いたナイフが効くとされる。
旅人たちはこれらを身につけ、自分を守る。
*赤帽子
人に強烈な殺意を持ち襲う、極めて危険な加害性の強い妖精。素早い悪鬼。
長く薄気味悪い髪、燃えるような赤い眼、突き出た歯に、鋭い鉤爪を具えた、醜悪で背の低い老人の姿をしており、赤い帽子と鉄製の長靴を身に着けて杖を携えている。斧を得物とし人間を襲う。彼らの名の由来となる帽子の赤は犠牲者の血で染められたものであり、惨殺した溢れ出る血潮で常に赤錆色にするのが至上の喜び。
廃墟となった城や塔、過去に凄惨な殺しや、流血沙汰になったりした現場に棲み、墓地などにも出没。
弱点は、ロザリオ等の十字架とされる。捕まったときに聖書の文句を二言三言口にすれば姿を消すという。
*半人海馬
水妖の一種。海中に棲む。
毒の息で不作や病の流行や干ばつをもたらすとされている。
半人半馬に似て、馬の様な体に人の様な上半身、重たそうに前後に揺れる巨大な頭。顔はブタの様な鼻と長く裂けた口からは煮立った薬缶のような蒸気が吹き、赤い大きなひとつ目は燃え盛る石炭のように真っ赤でギラギラしている。前足の周りにはぴらぴらしている肉厚のひれがあり、両手は地面に届くほど長い。最も気持ち悪い特徴は、皮膚のない剥き出しの筋肉が脈打っているという点。黄色い血管の中を黒い血が流れているのが見え、太い白い筋肉が伸びたりよれたりするという。
皮膚がないので淡水をかけると追い返すことができる。また、海藻を焼いた時の煙の臭いも嫌うが、これを行なうと激しく怒る。
*黒い小人
人間に敵意を持っている妖精。群れをなさず、単独で現れる事が多い黒い小人。
旅人などの単独又は少人数でいる人間を誘惑や挑発をする。人間がそれに乗ってしまうと大惨事を招く。
ある旅人が羊飼いの小屋で一夜を明かそうと小屋に入ったら現れ、『焚き火の近くに寄ればいい』と言った。旅人は咄嗟に何かの罠だと思って部屋の隅で一夜を明かした。夜が明けると小屋は幻となり、旅人はあと一歩という谷底の崖の上ぎりぎりにいたという。