君との想い出を金庫に大事にしまうよ。
『俺と君との物語。』
俺たちの出会いは最悪だった。
俺は付き合っていた彼女に散々、いいように使われるだけ使われて!
最後は彼女から捨てられた。
俺がコツコツ貯めていたお金も全て彼女に困っているからと貸したからだ。
彼女が言うには......。
『父親が倒れて突然! 入院する事になってしまってお金がいるの?
100万円貸して欲しい! ねぇ~お願い!!!』
『わわ.わかったよ。』
『父親が手術する事になって! 保険がきかないから、もう100万円
貸して欲しいの! ごめんね、絶対に返すから!!!』
『わ.わかった。』
『父親が亡くなったの、葬儀とか諸々お金がいるのよ~! 500万円で
いいの貸して~ お願い! 必ず返すから!』
『えぇ!? 500万円!? わわ.わかったよ。』
『今度は母親の体調が悪くなって! どうやら癌らしいの? 保険に入って
ないから、そうとう入院費やいろいろお金がかかるらしい? だからお願い!
300万円でいいの? ねぇ? お願い貸してくれない!?』
『うう.うん』
『私の弟が交通事故を起こしたらしいの! 相手の人をケガさせてしまったって!
慰謝料として800万円いるらしい。 お願い! 私の弟を助けて~!!!』
『あぁ、ううん。でも? もう俺もお金ないよ~!』
『わかった。これでもう、アナタには頼まないから! 今までごめんね!』
......最後、彼女がそう言った時が、彼女と会う本当の意味での最後だった。
俺はアイツの金ずるだっただけだ!! 俺の事を好きだった訳じゃない!!!
俺のお金に興味があったんだ!
ここまできてはじめて、あの女に騙されたと気づくなんて~!
アイツは俺に、お金を返す気なんて! これっぽちもなかった。
あの女の携帯番号は繋がらないし家も勝手に引っ越している。
手掛かりは、何一つなかった。
俺があの女に貸した金は【数千万円】になっていた。
俺はこの女のせいで! 『女性不信』になった。
これがキッカケで、女性を信じれなくなったんだ!
◇
でも? こんな最悪な事が起きた後に... 『君が出てきた!』
俺は女性不信で、女性にウンザリしていたし君に対して冷たい態度も
たくさんしたのに、、、君は俺を優しく受け入れてくれた。
君は病気だったのに、しかも 『治らない病気』だった。
自分のことだけで、精一杯なはずなのに俺の事をちゃんと見てくれていた。
君と一緒にいる時間は物凄くね?
俺の凍った心をゆっくりと溶かしてくれるように安らいだんだ!
君はいつの間にか? 俺の心のよりどころになっていたんだよ。
◆
でも君は突然! 俺に冷い態度を取るようになった。
俺はまた、あの女の事を思い出した。
君の病気の事を知らなかった俺は、君の冷たい態度をそのまま受け止めて
しまったんだ。
□
そして俺は、後になって知ることになる。
君が俺に何故? あんなに冷たい態度をとったのか......?
それが病気の事が原因だったなんて...?
そんな事、、、今更言われても......。
君は俺に黙って、既に一人で逝ってしまった後に気づくなんて!
そんなの、そんなの、、、ヒドイよ!!!
■
俺は君との想い出を心の金庫にしっかりとしまい込んでいる。
もっと早く君と逢っていたかった。
君の事をもっと知りたかった。
君の病気の事も、ちゃんと理解しておけばよかった。
途轍もなく後悔している!!!
後悔しても、後悔しきれないぐらい......。
『君はもう俺の隣にいない!』
最後までお読みいただきありがとうございました。